本腰の古館伊知郎キャスターの冷静さの中に秘められた気迫 | カレイドスコープ

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報道ステーションでは、毎年3月11日は、「福島の原発事故被災者と放射能被曝問題」について長い尺をとって特集している。
今年も、視聴者を忘却の彼方から呼び戻すような、
客観的で考えさせるような内容の濃い番組が流された。

相変わらず他人ごとで冷酷無慈悲な安倍内閣の閣僚と自民党の議員たち

3月11日。
昨夜は、二つの注目すべきテレビ番組が放送された。

ひとつは、古館伊知郎キャスターの報道ステーションの特番「福島県・甲状腺がん特集」。
もうひとつは、田原総一郎の「朝生 激論 どーする!!原発再稼動」だ。

報道ステーションの「甲状腺がん特集」は、日本のジャーナリズムの面目躍如といった優れた内容だった。


番組の冒頭に、厚生労働大臣の塩崎恭久のコメントを持ってきたのは、視聴者に、ある問題提起を行うためだった。

記者が、「福島の健康調査で116人の子供が甲状腺ガンになっていることが確定したこと」について、塩崎恭久に訊いた場面

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分かるだろうか。
国民の生命と健康をあずかる厚生労働省のトップである塩崎は、「116人の子供の甲状腺ガンは環境問題の範疇である」と言ったのである。

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つまり、塩崎恭久は、環境(それは、コストで換算できる場合が多い)の問題であって健康問題ではない、と言い切ったのである。

安倍晋三をはじめとするこの内閣の閣僚すべてが、常に「人間の命、健康をコストで計る」のである。

待機児童問題についても同じだ。予算、予算、予算。
そのくせ晋三が外遊したときには、数十兆円の大判振る舞いだ。

子育て支援も、どうやら反故にしようとしている。選挙が終われば「すべての約束を破る」のが安倍ギャング一派である。

保育園に入れない待機児童を抱えて、いったいどうやって働きに出ればいいというのか。若い母親たちの怒りは頂点に達している。
「何がウーマノミクスだ。アベノミクスがダメなら、次のお題目か」と。

ウーマノミクスについては、ジャパン・タイムズ、エコノミストをはじめ、海外のメディアが酷評している。「安倍晋三は、女性を人としてではなく経済動物として見ている」と。

国民の多くの共感を呼んだ「保育園落ちた日本死ね!!!」――待機児童問題に一石を投じた匿名のブログ記事について、何を思ったか塩崎は、自分の息子の保育園に月20万円、4ヶ月で80万円払った金持ち自慢をはじめて、傍聴していた母親たちにますます反感を買ったのだ。(ツイート)

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ここにも、安倍閣僚の馬鹿が一人いた。

安倍晋三は、野党に、国民に約束しておきながら今まで放置してきた待機児童問題を追及されて、慌てて「GDP600兆円達成!待機児童ゼロ必ず実現!」と言い出した。

そして、国民の記憶が薄れかけてくると、再び放り出すのである。これをこの3年間、数百回繰り返しているのである。完全に精神病である。

子供が生まれたのに、保健所に預けられない・・・」 

官僚が、“安倍特別仕様”で、これ以上ないほど平易に書いた答弁書を慎重に確認しながら、しかも、いつものようにルビがふられているにも関わらず「保育所」を「保健所」と読み間違える。

ついうっかりではなく、日頃から、女性と同様、子供をモノとして見ているからこそ、こうした「ありえない」間違いが生じるのである。

さらに酷いのは、2月29日の衆院予算委員会で「保育園落ちた日本死ね」のブログについて質問した山尾志桜里議員に対し、自民党の平沢勝栄議員他、数名の自民党の議員がいっせいにヤジを飛ばして質疑を妨害したことだ。

平沢勝栄が、この失態について、午前中のワイドショーに出演して弁明を行った。


平沢勝栄は、「匿名の記事など国会で取り上げるべきではない」の一点張り。問題のすり替えに終始しようとしているが、司会者の質問には答えない。

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平沢は、安倍晋三の家庭教師のうちの一人だった。
しかし、逆に平沢は、安倍晋三から「話のはぐらかし方」を学んだに違いない。
どこの国の内閣の閣僚も、こんなことを言う人間など一人もいない。これが、安倍政権の冷酷さなのである。

安倍晋三と
菅義偉のメディア恫喝は常軌を逸していると海外メディアも

この特番の内容については、すでに多くの視聴者から称賛の声が上がっているので、これ以上取り上げない。

むしろ、私が注目しているのは、原発利権から利得を受けている利害関係者、東電、安倍政権の支援者たちから、いつものように暴力的・犯罪的な抗議の声が古館キャスターと取材チームに襲い掛かることを承知で放送に踏み切ることができたのは、古館チームの覚悟もさることながら、大手メディアの内部で生じている微妙な変化だ。

古館キャスターに対しては、局だけでなく、事務所や関連会社にまで、何度となく白痴エセ右翼の街宣車がやってきて、がなりたてていたことをほとんどの人は知らない。

報道ステーションの岩路真樹ディレクターの謎の死(死の状況から、世間では他殺と見ているが)が頭をよぎったことだろう。これで犯人の背後にある政治勢力の影が見えてきたようなものである。

官房長官の菅義偉が、法令違反を繰り返す、見かけによらずいかに悪質な犯罪者であるか、分かろうというものである。
単純バカの安倍晋三と比較しても、菅義偉の陰湿さと卑劣さは他に比肩するものがないほどである。

この異常さは、すでに外国メディアでも取り上げられている。
そうだ、まさに異常な内閣と異常な官房長官なのである。

先進国の内閣では、「ありえない、存在してはならない」人間が、この国では平然と官房長官をやっていられるのは、ひとえに寿司トモのお陰と、愚鈍な国民の感性の鈍さゆえである。

テレ朝の局としての表立ったバックアップがない中、この報道圧力の中で放送できたことは「勇気の賜物だ」と大半の視聴者は言う。
古館氏のチームは、「局が放送しないのであれば、すぐに降りる」くらいのことを言ったに違いない。

だから、他のメディア、電波ジャーナリストが、口ではたいそうなことを言いながら委縮してしまう中、「日本のジャーナリズムの面目躍如」と書いたのである。

この番組は、「勇気」などという安値の決意からではなく、「使命感」から放送可能になったものである。

「使命感」は、人から言われて培われるものではなく、その人の「死生観」、「哲学」の発露から出てくるものである。

これは、生きるか死ぬかのリスクを取った経験がある者でなければ理解できないだろう。




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