マイナス金利の導入は日本のDOOMSDAYへの一里塚 | カレイドスコープ

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政府がつくった債務の対GDP比が、デフォルトしたギリシャより悪い日本。そんな国がマイナス金利を導入すると、2年後、3年後に何が起こるのか。
(この記事はメルマガ第146号の一部のみです)

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ここまで、長々と、「あなたの居場所にやって来るもの」について書きました。
じっと、同じ場所に立ち止まっていれば、こうした未来に、あなたは、すっぽり覆われることになります。

では、あなたは、「あなたの居場所にやって来るもの」から逃げるために、いったんは後退しますか? それとも、嵐の中を捨て身になって前身しますか?
それは、あなた自身が選択することなのです。

いよいよ終盤のプロセスに入った日銀と政府

さて、私たちは現実に戻りましょう。

まず、もう一度、「マイナス実質金利」について解説しておきます。
最近ですが、マイナス実質金利を関係に説明している動画がアップされました。
ごく基本的なことなので、知っている人は、スルーしてください。

松田氏の解説では、マイナス実質金利の環境下でお金をそのままにしておくと、価値が減価し、それは実質的な増税と同じことになるので、「隠れ増税」と言っています。

本ブログやメルマガでは、これを「ステルス増税」と書いてきましたが、両方とも、同じ意味です。

中央銀行や政府は、名目金利を基準にして景気の先行きを発表します。
しかし、それが経済の実態を反映していないことは、実質賃金が4年連続で下がり続けていることを例に説明しました。

重要なことは、実質金利が、今後、どうなっていくか、なのです。それをあらかじめ予想して、預金などの購買力の減価を防ぐことが資産の防衛になるのです。

通常、預金には一定の利息がつくので、わざわざ「プラス実質金利」とか「プラス名目金利」などと、頭に「プラス」とつけないのです。

A 実質金利=名目金利-(予想)インフレ率

しかし、今回のマイナス金利の導入によって、現在は、こうなっています。(下)
私たちは、「マイナスの世界」に暮らしているのです。考え方を逆転させなければならないのです。

B マイナス実質金利=マイナス名目金利-(予想)インフレ率

具体的な例を挙げると、こういうことです。

世の中、不景気で銀行から金を借りる会社や個人が、ほとんどいない。だから、さまざまな手数料と、企業などへの貸し出し金利で儲けている銀行は儲からない。

仕方がないので、銀行も預金者に対する金利を低くせざるを得ない。その金利はプラスの金利ですから、名目金利・年利0.1%であるとしましょう。
100万円を1年間預けても、金利はわずか1000円です。1年後に全額、引き出した時の受取額は100万1000円です。

さらに、2%のデフレが進行している過程での(予想)インフレ率は、(-)2%です。

これをAに当てはめてみると、以下です。

実質金利=0.1-(-2)=0.1+2

となって、実質金利は2.1%ということになります。

デフレが、マイナスのインフレであることを知らない預金者は、1年間、銀行に預けておいても、わずか1000円しか増えないと嘆きます。
しかし、実質的には、元本に対して2.1%分増えているので、1年後に全額、引き出した時の受取額は100万1000円で変わりませんが、いざ、それで物を買おうとすると、102万1000円分の買い物ができるということになります。

これは、目には見えないのです。

たとえば、1年前に欲しいと思っていた軽自動車が100万円で売られていました。
しかし、1年の間にデフレが2%進行して、100万円の値段で売られていた軽自動車は、98万円に値段を下げなければ売れなくなってしまったのです。

その預金者は、1年間、銀行に預けていたお陰で、2万1000円分、同じ軽自動車を安く買うことができるというわけです。これは、目には見えないのです。「目には見えない金利」のことを実質金利と言います。

反対に、マイナス金利が導入された場合を見てみましょう。それは現在です。

一般の預金者の預金には、まだマイナス金利は導入されていませんが、民間銀行が日銀に開設している当座預金には、-0.1%のマイナス名目金利がかけれられていますから、いずれは個人の預金にも「名目上」で反映されるでしょう。

マイナス名目金利は、-0.1%です。
現在は、食品を始めとして生活雑貨や日用品では物価が上がっています。
しかし、分かりやすくするために、便宜上、(予想)インフレ率を0%としましょう。つまり、1年後も、インフレ率は0%と予想するのです。

これを、Bに当てはめると、

マイナス実質金利=-0.1-0=-0.1

となって、実質金利はマイナスとなり、それは、マイナス実質金利で表されます。この場合、インフレ率はゼロですから、マイナス名目金利とマイナス実質金利は同じ-0.1%です。

その預金者が、100万円を銀行に1年間、預けておいて、1年後に全額、引き出した時は、-0.1%の金利が掛けられているので、受取額は99万9000円となって1000円減っています。

インフレ率が、-(つまり、デフレ)でもなく、+(普通のインフレ)でもなければ、その軽自動車の値段は1年後も100万円で変わっていないので、買うためには、マイナス金利で目減りした分1000円だけを補てんすればいいのです。

マイナス実質金利は、このように見かけ上は、インフレが進行したように見える場合があります。

さて、日銀がマイナス名目金利を導入した本当の目的は、いったい何でしょう。知っている人は、おそらく銀行の上層部だけでしょう。

それは、日本の中流層のお金を引き出させて、資産に向けさせることです。
そのために、黒田総裁は、「マイナス金利の拡大」もありうる、と宣言しました。

つまり、現在、日銀の当座預金には-0.1%の金利がかけられていますが、これを将来は、-0.2%、-0.5%にするかも知れませんよ、と言っているのです。そうすれば、2%のインフレ目標は達成できると言っているのです。

10~12月の実質GDPが速報値で、前期比0.4%減、年率換算では1.4%減と発表されました。
実質賃金が、減り続けている(購買力が低下し続けている)のですから、実質GDPが減るのは当然です。日本のGDPは内需が約80%、輸出入分が、20%前後を行ったり来たりしているのですから。

安倍政権のアベノミクスは、GDPの80%を占める内需の振興策をまったくといっていいほど行わず、経団連加盟企業の多くを占めている輸出型企業に対して優遇措置ばかり講じています。

しかし、トリクルダウンは起きなかったことが証明されてしまったのです。
アベノミクスが虚構と言うよりは、安倍政権が、お題目ばかり唱えていて、アベノミクスに息吹を与えるような政策ができなかったことによる失敗です。

実効のある内需振興策とは、安倍首相の祖父・岸信介がやったような中小企業に優遇措置を与えて、労働者の賃金を増やすことで達成されます。

それが、日本の中流層の足腰をしっかりしたものにして、彼らの購買力を高めてきたのです。

その結果、実質GDPを増やすことができるのですが、安倍政権は、景気浮揚政策とは、まったく正反対のことをやり続けているのです。

「旧・3本の矢」は、有名無実の中身が空(くう)であったことが判明しました。
そこで、安倍首相は、「新しい3本の矢」構想を発表しました。

GDP600兆円を目指す」と、高らかに宣言したのは良いのですが、それは、数量ベースで生産を増加させることによってGDPを増やす内実の伴った産業振興策ではなく、相変わらず日銀の金融政策に頼っています。確実に失敗するでしょう。

それは、お店の売上がちっとも増えていないのに、鉛筆舐め舐めして、帳簿の数字を書き換えるようなものです。

日銀が果敢に国債を買い入れ、膨大な量の1万円札を印刷してもインフレにならなかったのですから、次はマイナス名目金利をいじくるはずです。

B マイナス実質金利=マイナス名目金利-(予想)インフレ率

マイナス名目金利のマイナス幅を拡大していけば、当座預金に塩漬けにされたままの莫大な現金は少しずつ外に出てくるでしょう。竹筒のところてん突きを、じわっと押し出した時のように。

しかし、安倍政権が、相変わらず実効のある経済振興策を一切やらないのですから、企業の資金需要は増えません。
当然、銀行は、だぶついた円の貸出先を見つけることはできないでしょうから、しぶしぶ資産に振り向けるしか手はなくなります。

新規国債を買い入れて高く売る、というモデルは最初のうちだけで、すぐに崩れますから、国債は買いづらくなります。

しかし、国債とは、好んで民間銀行が買っているのではなく、政府からの“指令”によって買わされているので、今後も仕方なく銀行は買い入れるでしょう。これは、規模を縮小した量的金融緩和です。

まず、民間銀行は、有望なアセットに投資するはずです。
それを、マスコミが大々的に報じると、次に個人の預金者が同じように預金を引き出して、少しずつ投資に振り向けるはずです。

しかし、政府は新規国債を増発しなければ、資金を調達できないのです。国債を喜んで買う銀行は少なくなるので、自ずと指標である10年国債の金利は上昇していきます。

おそらく、オリンピックがやってくる2020年の前に、国債の利払い増の負担に耐えられなくなった政府は、白旗を上げてしまう可能性が出てきました。

これが、「マイナス実質金利」が仕掛ける罠なのです。まさしく、マイナス金利は「両刃の剣」なのです。

残念ながら、「マイナス実質金利」は目で確認することができないので人々は、自分が陥穽に落とされても気が付かないのです。資産バブルが崩壊するまでは・・・

(これは、全文の4分の1程度です。全文はメルマガでお読みください)

※注意:この記事は、2月29日の配信ですので、すでに前月のバックナンバー扱いなっています。
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