株式会社高谷 | 米粉商品開発等支援対策事業 取組事業の紹介

「みんなで食べられ、一緒に笑顔になれる」食品を増やす活動を、米粉から

15年ほど前から米粉の可能性に魅せられ、米粉を使ったパンやパンケーキミックスなどさまざまな商品に加え、オリジナル米粉「米粉 清水っ粉」も開発・販売している大阪府高槻市の株式会社高谷(以下、高谷)。「米粉麺や米粉パンをわざわざお店まできてたくさん買ってくださる小麦アレルギーのお子さんを持つお客様もいますよ」と米粉商品の意義を感じていると話すのは、高谷の代表取締役である高谷直樹さん。「高槻市は水が綺麗で温暖差もある。おいしいお米が穫れる土地。故郷に貢献したいと米粉の伝道をしてきたが、やっと時代が追いついてきた」と話します。

「みんなで食べられ、一緒に笑顔になれる」食品を増やす活動を、米粉から
たくさんの“からまり”をつくり、広げる「米粉の伝道師」

たくさんの“からまり”をつくり、広げる「米粉の伝道師」

「パン屋で米農家で、米粉の伝道師です」 オリジナルの「米粉伝道師」シャツを着て笑顔で自己紹介する高谷さんは、ご実家のベーカリー「タカヤベーカリー アローム清水店」を受け継いでパン屋さんを営みながら、米粉を使った商品を次々開発しています。

「今回は米粉商品開発等支援対策事業を活用して、新たに製麺機やパッケージの機械を購入しました。これで新しい米粉商品『からまる米すたー』を開発・販売できました。米を『まい』と読んで、マイスターという意味を込めています。米粉をよく知る私が考えた、いろんな用途に使える米粉麺です」

「からまる米すたー」は、ショートパスタのマカロニの形状。茹でてパスタとして使うのはもちろん、マヨネーズと和えてマカロニサラダに、揚げればおかきのようになり、中華餡とからめておこげ風あんかけもお勧めだそうです。
「揚げてからチョコとからめてスイーツにしてもおいしいですよ。和洋中どんな調理法ともからみやすい。そしてねじねじのこの形状がソースとからまりやすい。だから『からまる~』なんです」 といって、高谷さんはまた微笑みます。

たくさんの“からまり”をつくり、広げる「米粉の伝道師」

地元高槻市のおいしいお米を、いろんな商品で日本中に伝えたい

高谷さんと米粉との関わりの始まりは、15年ほど前。全国にコンビニエンスストアが出店を始めてパンを売り出したころにさかのぼります。ベーカリーの新たな武器に、と米粉配合のパンを販売。その特性を研究する中で、米粉の魅力の虜になったそうです。

「コンビニがやっていない食品をつくろうをと始めたのですが、小麦粉アレルギーのお子さんを持つ方が『子どもがパンを食べられると喜んでるんですよ』と買ってくれるようになり、そういう人にパンのおいしさを届けられた、と嬉しくなりました。ものづくりをしていると、人に喜んでもらうのがなにより嬉しいですね」

そこから米粉パンのラインナップを増やすとともに、ミックス粉など他の食品の製造も始めた高谷さん。米粉とともにその夢が広がっていったと話します。
「米粉の麺をつくるために製麺機を購入した際、オプションを取り付ければねじねじのショートパスタもつくれる。さらに麺切りの機能も足せば、製造も楽になりますよと言われたんです。その時は購入できませんでしたが、本事業を活用して念願のそれらの機能を備えた製麺機を買うことができました」

「米粉パンや麺が名物になって、知名度が上がって米粉の消費が上がれば、地元の農家さんにも貢献できる。高槻市には米農家さんが多いんです。うちもずっと米農家でした。高槻市にはおいしい水があり、寒暖差のある気候で、良いお米がつくれるのです。その米にプライドを持っていた祖父の思いに、米粉商品で応えたいですね。そして地産地消の商品をつくることで、米農家の収入を増やし、高槻市でお米をつくる仕事の魅力を次の世代にも伝えていきたいと思っています」 その思いから、米粉として使うのは高槻産のお米だけにこだわっていると高谷さんは話します。

米粉の魅力を伝えること。それはたくさんの人を笑顔に、幸せにすること

「いろんな人に出会うことで、米粉で描く夢が広がっている」と話す高谷さん。今回の「からまる米すたー」が実現したのもある出会いがきっかけだったといいます。
「京都の図司穀粉さんと知り合え、米粉の特性をより活かせるようになりました。パンに合うもの、麺に合うものと、同じ米粉でも必要な特性は変わってきます。ずっと和菓子業界にさまざまな米粉を納めていた図司穀粉さんのノウハウを活用できるのは、私にとって大きな武器になっているんです」

米粉の魅力を伝えること。それはたくさんの人を笑顔に、幸せにすること

その他にも、クラフトビールを製造している方と知り合い、そのビールに合わせて「からまる米すたー」のおつまみに出すイベントを行ったりと、米粉をきっかけにさまざまな輪が広がり、からみ合う人が増えているそうです。
「いまはその輪を大きくしようと、『からまる米すたー』を持って地元の飲食店に紹介しています。みんな米粉でできていることに驚いて、おもしろがってくれますよ。いくつかのお店ではメニューに使ってくれていますね。それも和洋中いろんな使い方で。『からまる米すたー』は、つくり手がわくわくして使い方を次々と思いつく食品なんです。皆さんからアイデアをもらって、米粉のおいしさや使い勝手の良さ、魅力がもっと広く伝わると良いなと思っています」

「からまる米すたー」が順調に地元に認知されているのを感じている、と高谷さん。
「幼稚園や保育園、小学校や学童に米粉パンを納めると、喜ばれるんです。小麦粉のパンはアレルギーの子が食べられないから、その子だけ別のものを食べないといけないでしょう。みんなといるときは、一緒のものを食べて、喜びを分かち合いたいもの。米粉のおかげで、そういったさみしい気持ちになる子が一人でも少なくなればいいな、と活動しています」

今後もアイデアがたくさんあるという高谷さん。いつも「自分が食べられる」ではなく「みんなで食べられるもの」をつくりたいとアイデアを探しているそうです。「米粉ならみんなで楽しめる。みんなが笑顔になれる食材だ」。そう信じて、高谷さんの米粉で幸せを伝える伝道師としての活動はこれからも続きます。