『ロボットマスターズ』の世界観は、
数あるTFワールドの中でも
最も基本となるG1世界に属しており、
コンボイやメガトロン、スタースクリーム等、
トランスフォーマー創生当初から
馴染みのあるキャラクターも多い。
更にエアハンターの様な新規キャラクターの
導入も行われており、ロボットマスターズで
新たに加わったTF達も元々G1世界に
存在していたとする設定面は斬新な物であった。
◆ 名前 : エアハンター
◆グループ: デストロン
◆ 役割 : 剣闘士
◆ 変形 : ロッキードマーティン・F-22 ラプター
◆シリーズ: ロボットマスターズ
◆ 発売日: 2004年7月15日
◆ 価格 : 780円
パッケージ
ビークルモード
ステルス性能を最重要視したF-117は
機体形状が特殊であった為、
機動性に皺寄せが発生していた。
この問題を克服し、ステルス性と機動性を
両立させたF-22は、突起物が無い機体形状で
レーダー反射面積を極限まで小さくすると共に、
高出力のツインターボファンエンジンにより
アフターバーナーを使用しない状態でも、
アフターバーナー使用時のF-15と
同等の機動力を発揮するとされている。
リア
F-22はアメリカの次世代戦闘機の筆頭
という事もあって、トランスフォーマートイでも
F-22に変形するアイテムは多い。
エアハンターと同型トイの
マシーンウォーズ・タイプの他、
TFスーパーリンクやムービーシリーズ等でも
数多く登場している。
実写映画版スタースクリームの
変形モードに選ばれた事で、
F-22型のTFは飛躍的に増加した。
機首及び機体後部の底面には、
収納可能なランディングギアを搭載。
元々はG2後期に開発されたトイ故に、
G2版ジェット機型TFと同様に
リアルな機体形状に加えて
可動式の着陸脚が標準装備されている。
ベーシッククラスの小型トイだが、
非常に完成度が高く、ビークルモードでも
様々なアイディアが盛り込まれている。
エアハンターは、スモーククリアの
黒い機体にオレンジ色の塗装が
施された独特なカラーリング。
機首と尾翼にはオレンジ塗装に加えて
デストロンマークもプリントされている等、
他の同時期に登場したトイも含めて
『ロボットマスターズ』のフリップチェンジャーは
塗装面に力が入っていた。
トランスフォーム!
機首を下ろすと全身に組み込まれた
ギアとスプリングの力により、
一瞬でロボットモードに変形する
フリップチェンジャー。
奇妙な点は、説明書には
ロボットからジェット機への
変形方法は掲載されているが、
ジェット機からロボットへの一発変形の説明は
一切載っていない事で、パッケージにも
瞬間変形に関するアピールは全く無い。
ロボットモード
1997年にアメリカのトイショップ、
ケイビートイズ限定で発売された
マシーンウォーズ・メガトロン及び
メガプレックスのリカラー版で、
日本に於いてはビーストウォーズⅡ・スラスト
に続き2体目。
同型トイだが、エアハンターは
黒、オレンジ、グレーのボディカラーにより
従来のTFのイメージは無く、
新規キャラクターとして納得の出来映え。
リア
それまでのMWジェット機型フリップチェンジャー
と異なるのは、キャノピーや
集光ギミック用の目のパーツ以外にも
クリアパーツをふんだんに使用している事で、
ロボットのボディやジェット機の機体の大部分が
クリアブラック成形の素材で構成されている。
関節部は全て
ボールジョイントが採用されており、
首、肩、肘、股関節、膝が自在に可動する。
全身のクリアパーツの破損には注意が必要だが、
関節部はノーマルのグレー成形のパーツなので、
ポージングに関しては然したる問題は無いだろう。
『軍団の風紀や規律が保たれる事を
重んじる高潔な兵士。
エネルギーを一人でも多くの仲間に
分配すべきと主張している。
剣技“イリュージョンマスター”の
使い手で、修行を怠らない。』
テックスペック
・ランク : 8
・パワー : 8
・ディフェンス: 8
・スタミナ : 9
・スピード : 9
クロミウムショット
クロミウム(CHROMIUM)、
又はCHROMEという言葉は、
殊、玩具に於いてはメッキ加工が
施された物を指す。
武器名称から推察するに、同シリーズの
リジェやバウンドローグの武器の様に
メッキ処理する予定があったのかもしれない。
ジェット機型フリップチェンジャーには
小型銃の他に、
長銃身アタッチメントパーツが付属している。
取り付ける事で銃身が2倍以上長くなり、
全くの別物に見える銃に変化させる事が出来る。
銃とアタッチメントパーツは、
脚部裏側のスペースに収納しておく事が出来、
ロボット、ビークルモード共に
余剰パーツをなくす事に成功している。
エアハンターは脚部、銃ともに
クリアパーツの為、長期保存する際は
取り外しておいた方が良いだろう。
聖断剣“鎧斬”
これを「せいだんソード・がざん」と読む。
「鎧をも切り裂く、聖なる者を滅する剣」
という様な意味だが、全て漢字にした上、
「剣」のみソードと読ませている所が面白い。
尚、説明書では「せいだんけん」
とされており統一感に欠ける。
パッケージにはエアハンターの
モットーらしき一文の
『俺は宇宙(そら)と共に敵を切り裂く!!』
も記載されており、大仰な武器名称も相俟って、
エアハンターは少々常軌を逸した精神の
持ち主である事が窺える。
規律を重んじ、剣技の修練を絶やさない
という面も、悪の軍団デストロンの兵士
としては奇異な存在である。
又、スタースクリームに対しては
一定の評価を示しており、
優れたスピード能力を認め、
時には判断が的確だとも口にしている。
誰もが信用していないスタースクリームの
長所を見極めているのは、剣の修行に励む
武人ならではの感覚と言えよう。
しかしスタースクリームに
絶対的な忠誠を誓っている訳ではなく、
ロボットマスターズのストーリー序盤では
真のデストロンリーダーである
初代メガトロンが行方不明になっていた為、
後釜に納まっていたスタースクリームの
派閥に属しているだけに過ぎない。
この点はエアハンターと同じジェットロンの
ウイングスタンも同様。
集光ギミック
頭頂部の窓に光を当てると、
クリアイエローの目が鮮やかに輝く
集光ギミックを内蔵している。
エアハンターの場合は頭部もクリア素材の為、
頭部全体が透ける所が
独特な雰囲気を醸し出している。
エアハンターは『ロボットマスターズ』で
初登場した新キャラクターだが、
スタースクリーム直属の配下として
設定されているジェットロン兵士だ。
同じくジェット機型フリップチェンジャーの
ウイングスタンとコンビを組み、
行動を共にしている所は、
G1ジェットロンのコンビであった
スカイワープとサンダークラッカーを
彷彿させる。
この様な新規のキャラクターにも拘わらず、G1時代から
存在していたと設定されているTFは、2000年代から増加している。
これは2000年代前半から発売されていた復刻版のリカラーTFを、
G1世界に属する新キャラとして位置付けた事が影響している。
主にTFコレクターズエディションで発売された
復刻版リカラーTFの設定面での手法を、
ロボットマスターズでも取り入れた形である。
後年のTFレジェンズやTFユナイトウォリアーズ等では、
新規キャラのG1TFは度々登場する事になるが、
当時はG1リメイクシリーズが定着し始める時期で、G1リメイク作品は
『ロボットマスターズ』や『バイナルテック』ぐらいしか無かった為、
「新キャラだがG1TF」という設定は目新しい要素であった。
同様の例は海外版でも見受けられ、パラレルワールドではある物の
IDWコミックスのG1世界では、従来のTF達の中に2000年代後半に創作された
新規キャラのドリフトやグラインドコア等が存在している事が挙げられる。
端的に言えば「後付け設定」なのだが、数十年経過しようとも、
トランスフォーマーの中心になるのはG1世界である事が理解出来る。
長期に渡り展開するトランスフォーマーだけに、
G1世界の追加設定や新キャラクターは年々増え続け、
中にはG1の世界観を無視した奇を衒った物も存在する。
しかし『ロボットマスターズ』は、G1トランスフォーマーの
優れた世界観や設定を崩さず巧く活かしており、
リスペクトが感じられるシリーズであった。
エアハンターの様に新規キャラクターながらも
G1TFとして違和感の無いTFこそ、
ファンが求めている物なのだ。
⇒ ◆参考にならない比較◆
⇒ RM-08 ウイングスタン
トランスフォーマー
ビーストウォーズⅡ
D-15 スラスト