恐竜ロボット・ダイノボットは、G1期の頃から
金、銀、赤のボディカラーである事が定番であり、
後に登場する様々なグリムロックもG1カラーを受け継いでいる。
実写版独自のカラーを取り入れる傾向がある
ムービーシリーズは別としても、
アニメ作品の『トランスフォーマー アニメイテッド』の他、
『変形!ヘンケイ!トランスフォーマー』等のリメイク版も
G1グリムロックと同系統のボディカラーである事が伝統であった。
しかし2015年の『トランスフォーマー アドベンチャー』では、
それまでのグリムロックのイメージとは大きく異なる
『緑』のボディカラーが採用され、ファンを大いに驚かせた。
◆ 名前 : グリムロック
◆ 役割 : 恐竜戦士
◆グループ: ダイノボット
◆ 変形 : T-REX
◆シリーズ: トランスフォーマー アドベンチャー
◆ 発売日: 2015年12月12日
◆ 価格 : 4000円
パッケージ
TAV-35 EZコレクション オートボット VS ディセプティコンセットと題された
4体セットには、オプティマスプライム以外の3体が野獣タイプのTFが選ばれている。
同時発売されたTAV-34 EZコレクション チームバンブルビー VS メガトロナスセットは、
自動車と戦車というビークルに変形するヒューマンタイプのTFをセットにしており、
意図的にセット内容を差別化している事が窺える。
ビーストモード
アメリカン・カートゥーンらしさが表れた
誇張したキャラクターデザインのTFアドベンチャー故に、
実際のT-REXとは大幅に異なる姿が特徴。
突き出た下顎や太く逞しい前脚が特徴的で、
恐竜としてパワフルなイメージが強調されている。
サイド
左後脚の円形のモールドは、本来コードステッカーを貼付する為の物で、
海外版では円形ステッカーが貼付されていたが、日本版は敢えて採用せず、
アニメ劇中のカラーリングを再現している事に好感が持てる。
尚、日本版はTFコードが印刷された用紙が別途に付属している。
リア
尻尾は接地しないスタイルながらも、
足の裏の面積が広い事もあり自立させる事に問題は無い。
T-REX、即ちティラノサウルスをモチーフとしているTFだが、
アドベンチャー版グリムロックは背中から尻尾に掛けて
背鰭が備わっているデザインから、宛ら怪獣の様な姿。
肩の回転とボールジョイント接続の股関節により、
恐竜モードでも様々なポーズ付けをする事が出来る。
又、尻尾の基部に備わっている変形用の可動軸を利用すれば、
尻尾を上方に動かす事が可能なので表情を付けられる。
トランスフォーム!
ロボットモード
恐竜モードのパワフルなイメージを
そのまま引き継いだマッチョ体型。
G1グリムロックと同じく恐竜の脚が
腕部に変形するので肩幅が広く、
逆三角形体型を作り出している。
リア
T-REXモードの上半身はロボットの脚部に変形し、
ヒンジで移動した膝下部分のパーツで
恐竜の頭部が隠れるという秀逸な変形工程だ。
恐竜モードの尻尾は背中に配置され纏まりが良く、
小サイズのEZコレクションとはいえスタイルは抜群。
可動箇所は両肩と股関節で、ボールジョイントを
使用している為、比較的可動範囲は広い。
但し、股関節は横と後ろ側にはよく動くが、
大腿部の形状により腰パーツと干渉する為、
前方向の可動は制限された物になっている。
『トランスフォーマー アドベンチャー』のキャラクターデザインは、
目や口が露出した「素顔」である事が基本となっている。
G1期以来バイザーとマスクという顔デザインが特徴のグリムロックだが、
アドベンチャー版グリムロックは素顔を露出したデザインにされている。
EZコレクション版ではバトルマスクを装着した状態を再現しており、
従来のグリムロックの様なバイザー&マスクの顔デザインで造形されている。
『力強いダイノボット戦士。
オートボットのメンバーの中でも
トップクラスの怪力の持ち主。』
ダイノボットはG1期から伝統的に金、銀、赤のボディカラーだったが、
TFアドベンチャー・グリムロックは緑色という、新たな試みが斬新であった。
黄色のバンブルビー、青のストロングアーム、赤いサイドスワイプ等、
オートボットのメインメンバーが原色で纏められているのは、
児童向けシリーズ故に分かり易さを考慮しているからだろう。
各キャラクターのイメージカラーがはっきりとしている為、
グリムロックも敢えて従来とは異なる『緑』を採用したと考えられる。
ここで何故、従来のグリムロックには無い『緑』を選んでいるのかという
疑問がよぎるが、これは西洋文化独自の感覚が関係している。
全ての人や状況に当て嵌まる訳では無い物の、
欧米の文化では『緑』は不気味さや不吉、毒等を連想する
比較的ネガティブな印象の色であり、
悪魔や怪物のイメージカラーである場合も多い。
アメリカ人にとっては、モンスターの色は
漠然とだが『グリーン』である事がしっくりくる様だ。
怪獣映画の筆頭である『ゴジラ』の最初の映画が
1950年代にアメリカに輸出された際、
本来は灰色掛かった黒の体色である初代ゴジラを
アメリカ版のポスターでは緑にしてしまっている。
二足歩行肉食恐竜の姿に似ているモンスターのゴジラは、
アメリカ人の感覚では緑色である事を当然とし、
緑以外の発想が無かったという逸話である。
TFアドベンチャー・グリムロックの基となっている
実写映画『トランスフォ-マー ロストエイジ』に登場する
グリムロックも多少緑掛かったボディカラーだ。
映画に於けるT-REXモードのグリムロックは、完全に『怪獣』である。
映画版グリムロックも“モンスターはグリーン”という
欧米人ならではの感覚が影響していると言える。
トランスフォーマー アドベンチャーのメインキャラの中で、
唯一の恐竜型TF・ダイノボットのグリムロックは、
カーモードに変形する他のメンバーとは異なる異質な存在だ。
通常のオートボットに対し、恐竜ロボットであるグリムロックは
“モンスター”のカテゴリーに属する為、
ボディカラーに緑色を選んでいると考えられる。
「怪獣(モンスター)は緑色」である事が、アメリカ人及び
その子供達には最もイメージし易く受け入れ易いのだ。
↓
又、『トランスフォーマー カーロボット』に登場する
ショベルカーTFのビルドハリケーンは、グリーンのボディカラーで
海外名はグリムロックだが、アドベンチャー・グリムロックと
ビルドハリケーンの緑色をこじつけるのは強引過ぎるだろう。
2015年版『TRANSFORMERS ROBOTS IN DISGUISE』(TFアドベンチャー)と
2001年版『TRANSFORMERS ROBOTS IN DISGUISE』(TFカーロボット)を
結び付けようとするのはTFマニア的な発想で、現行の児童を対象としている
アドベンチャー・グリムロックの緑色は子供が理解し易いカラーを選択しているのだ。
『トランスフォーマー ロストエイジ』版ダイノボットのトイは、
各キャラクター毎にカラフルなボディカラーが与えられていた。
緑色のアドベンチャー・グリムロックも、自由なカラーリングの
ロストエイジ・ダイノボットの前例があってこそと言えるだろう。
恐竜部隊ダイノボットに、伝統的な金、銀、赤以外の
ボディカラーのダイノボットが多数登場した事は、
トランスフォーマーが時代と共に変化も取り入れている証拠である。
◆参考にならない比較◆
⇒ 限定EZコレクション グリムロック クリアバージョン `
⇒ TAV-35 EZコレクション オートボットVSディセプティコンセット オプティマスプライム