本来、低年齢の子供向け玩具シリーズである
トランスフォーマーは、各ロボットの名称も
子供に分かり易い物を採用している。
原語版よりも簡単で言い易い日本名の
『コンボイ』、『ジャガー』、『コンドル』等は、
ダイアクロンやミクロマン時代からの
名称を受け継いだ物だが、
キャラクターイメージを明確に表しており、
非常に巧いネーミングだ。
分かり易さを優先したネーミング方法は
他社製ロボットシリーズでも見る事が出来、
マシンロボの海外版ゴーボッツで
登場した『バッドボーイ』は、
全く捻りが無い物の「悪役」という事が
子供にも即座に理解出来る潔い名称と言えよう。
◆ 名前 : バッドボーイ
◆グループ: G1ゴーボッツ
◆ 役割 : 次元探査実験部隊
◆ 変形 : フェアチャイルド・A-10 サンダーボルトⅡ
◆シリーズ: トランスフォーマー コレクターズエディション
◆ 発売 : 2004年3月末
◆ 価格 : 3500円
パッケージ
ビークルモード
アメリカ空軍のA-10 サンダーボルトⅡは、
対地攻撃を目的に開発された
近接航空支援専用機。
機首先端に装備された30mm.ガトリング砲は、
毎秒65発~70発の発射速度で
徹甲弾や劣化ウラン弾を発射し、
戦車、装甲車等のあらゆる車両を
破壊する火力を有している。
リア
ディフォルメされている物の機体形状は
A-10を再現しており、直線翼の主翼や
後部に設置された2基のターボファンエンジン等、
A-10各部の特徴を明確に
表現している事が見て取れる。
又、機体後部にはシークレットエンブレムを
貼付する為の四角い枠が設けられており、
TFトイらしさが表れている。
ランディングギアも造形されており、
3点で接地して機体を支える。
明確なタイヤは無いが、着陸脚先端部分は
円形の窪みがモールドされており、
タイヤの雰囲気を作り出している。
元々ミニボットとして製作された
小型トイながらも、各部の造形は
抜かりが無い所は流石と言えよう。
G1ゴーボッツは、復刻版シリーズの
『トランスフォーマー コレクション』で
2004年に発売された『12 ミニボットチーム』
のリカラー版アイテム。
6体セットのミニボットチームの中で、
A-10攻撃機に変形するパワーグライドの
リカラー版として製作された物が
バッドボーイだ。
トランスフォーム!
ロボットモード
機首が変形した頭部が大型の為、
ロボットモードもディフォルメされている
雰囲気を放っているデザインである。
長い腕部や膝下の脚部が繋がっている事等、
全身各部が特徴的なスタイルの
ロボットモードだ。
リア
ジェット機の主翼を背負うのではなく、
折り畳んでボディ側面に配置する変形は
画期的な物で、小サイズトイながらも
一捻りした変形工程が見事。
足部分の尾翼に加えて後部ランディングギアが
踵を兼ねているアイディアが素晴らしく、
ジェット機モードの各パーツを無駄なく
活かしている設計には感心するばかりである。
G1パワーグライドの型としては
初のリカラー版であるバッドボーイは、
ライトグレーとダークブルーというボディカラーにより
大幅なイメージチェンジを果たし、
新鮮味溢れるトイに仕上がっている。
更には所属する軍団は
悪役のデストロンとなっている事も、
パワーグライドのイメージを
払拭する物であった。
悪者だから『バッドボーイ』という、
この上なく安直な名称は、
数あるトランスフォーマーの中でも
珍しい存在と言える。
しかしながら、このネーミングは本来
トランスフォーマーの物ではなく、
周知の様にバンダイのマシンロボの海外版で、
トンカ社が発売していた
『チャレンジ・オブ・ザ・ゴーボッツ』で
名付けられた物である。
G1ゴーボッツの面々は、1980年代に
展開したトイシリーズ『GOBOTS』及び
アニメ作品『CHALLENGE OF THE GOBOTS』の
キャラクターをモチーフにしている為、
名称は当時のゴーボッツの物を受け継いでいる。
日本の『マシンロボ』で発売された
MR-47 フェアチャイルドロボの海外版が
ゴーボッツのバッドボーイである。
トランスフォーマーに於ける
『バッドボーイ』と言うと、1988年の
『トランスフォーマー 超神マスターフォース』
に登場したデストロン・ヘッドマスターJr.
が想起される。
デストロン・ヘッドマスターJr.3人の中でも
特に際立っていたのは、僅か13歳という
若年ながらも年上の不良達を従え、
暴走族を統率していたワイルダーであり、
彼は「バッドボーイ」の筆頭と言えよう。
又、1997年のCG版ビーストウォーズの
日本語吹き替え版では、
サソリに変形するデストロン兵士・スコルポスに、
「オラオラ!」が口癖の与太者口調で話す
キャラ付けが成された。
スコルポスはアニメ劇中でもダイノボットに
「不良少年」と形容された事があり、
日本語版ビーストウォーズに於ける
「バッドボーイ」的な存在だ。
G1ゴーボッツ・バッドボーイの基になった
アニメ『チャレンジ・オブ・ザ・ゴーボッツ』に登場する
当時のバッドボーイも、生意気な態度で
敵を侮辱するキャラクター性で描かれている。
しかし悪の軍団レネゲイドのリーダー、
サイキルの命令に逆らう様な事は無く、
バッドボーイの名称とは裏腹に
与えられた任務を遂行する
忠実な悪の兵士である。
A-10攻撃機に変形する能力を
活かしているシーンも描かれており、
正義の軍団ガーディアンの
F-15戦闘機に変形するリーダー1と
ドッグファイトを繰り広げた事もある。
リーダー1とは何度か戦っているが、
バッドボーイが同じくレネゲイドに所属する
SFジェット機に変形する
ファイター(マシンロボ・MR-03 ジェットロボ)と
コンビを組んだ際は、リーダー1を
追い詰める程の戦闘力を披露している。
ゴーボッツ(マシンロボ)版バッドボーイは、
深い色味のオリーブ色で
軍事的なカラーリングであったが、
G1ゴーボッツ・バッドボーイは
ライトグレーのボディカラーで
全く雰囲気が異なっている。
両者はA-10攻撃機に
変形するという共通点はある物の、
カラーリングは受け継いでおらず、
特殊なモチーフを採用している。
G1ゴーボッツ・バッドボーイのカラーリングは、
G1当時にミニボットとして製作された
パワーグライドの試作品カラーを再現した物。
グレー&ブルーのパワーグライドは、
1985年の日本版業者向けカタログに
掲載されたジオラマ写真に写っており、
バッドボーイはこれを基にしている。
正義の軍団のリーダーで
ナンバー1戦士だから『リーダー1』、
オートバイに変形する
悪のリーダー『サイキル』は、
CYCLE(サイクル)とKILL(殺す)を
組み合わせた名称だ。
『チャレンジ・オブ・ザ・ゴーボッツ』では、
低年齢の児童でも理解出来る
非常に分かり易いネーミングが多く、
『バッドボーイ』もその一人である。
トランスフォーマーでは
流石に採用しないであろう名前の為、
『バッドボーイ』という名称は
違和感と共に印象深い物となっている。
◆参考にならない比較◆
⇒ 84 G1ゴーボッツ トレッズ `
⇒ 84 G1ゴーボッツ スモールフット
マシンロボ MR-47
フェアチャイルドロボ
トランスフォーマーユニバース
USAエディション パワーグライド