◆シリーズ: キュートランスフォーマー
◆ 発売日: 2015年2月21日 `
◆ 価格 : 999円 `
ビークルモード
G1期のマイスター(ジャズ)は、
ポルシェ935ターボに変形する事が
個性の一つとなっており、後のリメイク版も
ポルシェを意識した形状の
スポーツカーとなる場合が多かった。
キュートランスフォーマーでは
トヨタ・スプリンタートレノ AE86という
予想外の車種が選ばれており、
非常に珍しいマイスターとなった。
サイド
ディフォルメされたチョロQスタイルが
特徴的だが、2ドアクーペタイプのトレノを
リアルに立体化しており、
フロントのリトラクタブルヘッドライトは
格納した状態を再現。
キュートランスフォーマーは
メーカーライセンスを取得しているだけに、
各部の再現度は非常に高く、
カーモードの造形も優れている。
リア
全体は黒い成形色で造られており、
ボディの大半を白く塗装している事に加え、
ウィンカーランプやテールランプも
塗り分けているという、
細かな塗装が見事なアイテムだ。
通常のTFトイでは
ボディやフレームを成形色にして
ウィンドーを塗装する場合が多いが、
QTFマイスターは逆転した方法だ。
ポルシェのイメージが強い
マイスターだけに、日本車に変形するのは
Qトランスフォーマー版が初めてかと思いきや、
2004年に『トランスフォーマー バイナルテック』シリーズで
マツダ・RX-8に変形するマイスターが既に登場している。
しかしRX-8は曲線を中心としたボディラインで
ポルシェに似た雰囲気だった為、
Qトランスフォーマーのトレノの様な
角張った車体のマイスターは貴重である。
トランスフォーム!
ロボットモード
G1マイスターも胸部に車体フロントが
収まるスタイルだっただけに、
キュートランスフォーマー版は
マイスターのイメージを
再現する事に成功している。
頭部はG1アニメ設定を基にアレンジされ、
余裕の笑みを浮かべている表情が
マイスターらしさを引き立てている。
リア
ウィンドーとルーフを背負う変形工程は
G1マイスターと同じであり、
カーモードフロントの胸部等も含めて
G1版と共通点が多い。
腕部と脚部の変形は大幅に異なるが、
全体像はマイスターとして違和感の無い
スタイルを構築していると言えるだろう。
首が回転し、肘には可動軸を備え、
肩、股関節、膝はボールジョイントにより
自在に動かす事が出来る。
カーモードの塗装箇所が多いQTFマイスターだが、
ロボットの可動部に塗装は施されていない為、
塗装剥離の心配も無く気軽にポーズ付けが出来る。
『豊富な知識で
司令官の右腕として活躍。
クールなリーダーシップで
オートボット軍団を引っ張る。』
アニメ『キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎』の
終盤の第11話に登場したマイスターは、
お土産を持参して現れる等、気の利くスマートな
エリートというキャラクター性で描かれた。
この点はG1所期アニメの
『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に於ける、
沈着冷静で時には気さくなG1マイスターの
イメージを取り入れている様だ。
又、アニメ・キュートランスフォーマー第11話では、
トランスフォーマーは同じキャラクターでも、
コンボイとオプティマスプライムの様に
複数の名前を持っているので紛らわしいという問題に対し、
マイスターは「世代によって呼び方が変わる」という
簡潔明瞭な答えを恰好良く導き出し、皆を納得させた。
数十年の歴史を重ねてきたトランスフォーマーには
幅広い年齢層のファンが存在している。
この為、キャラクターの呼び名が世代によって変わるという
事実を公式アニメで明確に示した事により、
各人が馴染みのある名前で自由に呼べば良いという
当たり前の事が正式に確立された。
マイスターが登場した1期第11話は、
キュートランスフォーマーの2期も含めた
全てのエピソードの中で
最も意義ある物であったと言えるだろう。
QTFマイスターが変形するスプリンタートレノ AE86は、
実車も高い人気を誇ったが、実車以外でも有名な車種だ。
そもそも1983年に登場したトレノ AE86を、
2015年発売のトイに採用する理由は、
当時の実車の人気による物ではない事は明白だ。
それはトレノ AE86が登場する
コミックの人気に関係している。
2010年代に於いて、1980年代に人気を博した
旧型車であるスプリンタートレノ AE86が語られる際、
漫画『頭文字D』(イニシャルD)の存在は避けて通れない。
QTFマイスターの変形モードの車種は
間違いなく頭文字Dを意識した物で、
白と黒のツートンカラーのトレノに類似した
ボディカラーのTFとしてマイスターを選んでいる。
キュートランスフォーマーでは、
頭文字Dに登場する車種を意図的に導入しており、
車体のカラーも同じ物にしている。
・白黒のトレノ・AE86 → 頭文字Dの主人公の車 (マイスター)
・黄色のマツダ・RX-7 → 主人公のライバルの車 (サンストリーカー)
・白のマツダ・RX-7 → ライバルの兄の車 (ドリフト)
・オレンジのトヨタ・86GT → 原作者がイラストを描いた車(ホットロディマス)
但し、頭文字Dに登場する白のRX-7は2代目のFC型なので、
QTFドリフトの3代目RX-7・FD型とは異なるが、
これはドリフトがサンストリーカーの型を
流用したリデコ品の為である。
頭文字Dに登場する白いRX-7に合わせて、
白いスポーツカーTFの
ドリフトを選んでいる事が分かる。
これ等のQTFは、頭文字Dの人気にあやかった
車種選定である事は確実だが、
キュートランスフォーマーは頭文字Dと
コラボしている訳ではないので、
頭文字Dに関連した車種のアピールは
一切行われていない。
↓
この為、些か中途半端なイメージになってしまった感は否めず、
頭文字Dモチーフの車種を複数取り入れているという
メーカー側の意図が伝わらなかったと思われる。
しかしマイスターやサンストリーカー等が、
それまでに無い車種に変形するという
新しい試みはファンを楽しませてくれた。
マスターピース等のリアル志向のシリーズでトレノのマイスターを
製作していたならば、多くのファンの反感を買う事になったであろうが、
ディフォルメスタイルのキュートランスフォーマーだけに、
従来とは別車種でも然程気にならず受け入れる事が出来た。
更に頭文字Dの車種を取り入れるというアイディアが無ければ、
トヨタ車に変形するマイスターやホットロディマスが
登場する事は無かっただろう。
誰も思い付かないであろうアイディアは驚くべき物であり、
加えて単に奇を衒うのではなく、キャラクター性も考慮している事により、
QTFマイスターは好感の持てるアイテムとなった。
◆参考にならない比較◆
⇒ ロボットヒーローズ オートボット ジャズ `
⇒ ビークール B-15 緑のスポーツカー オートボット ジャズ
⇒ TFクロニクル EZコレクション マイスター `
⇒ TFジェネレーションズ TG-02 オートボット ジャズ `
キュートランスフォーマー
トヨタ スプリンタートレノ AE86
QT-11 オートボットマイスター