プルバックゼンマイを搭載したTFトイは
様々なタイプが存在するが、チョロQの様に
「走行する事」に重点を置いた物は
G1期のスロットルボットが
代表格と言えるだろう。
一気に6種類が登場したスロットルボットは、
スポーツカータイプの他、
フォルクスワーゲン・ビートル、ジープ、
ダンプトラックと車種もバラエティに富んでおり、
収集欲を刺激するラインナップとなっている。
ワイドロードはダンプトラック型の
スロットルボットで、他のメンバーとは異なる
パワフルなスタイルが魅力のTFであった。
◆ 名前 : ワイドロード
◆グループ: スロットルボット
◆ 役割 : 輸送員
◆ 変形 : ダンプトラック
◆シリーズ: トランスフォーマー2010
◆ 発売 : 1987年4月
◆ 価格 : 500円
パッケージ
ビークルモード
フロント左側に配置された運転席を考慮すると
巨大なダンプトラックというデザインだが、
設定上、スロットルボットは
ミニボットの様な小型TFである。
ダンプトラックに変形しても
巨大なロボットとは限らないという所が
G1TFの自由な面の一つであり、
変形モチーフのビークルのサイズが
そのまま当て嵌まるのは
ムービーシリーズぐらいであろう。
リア
大型の荷台には青いカバーパーツが
取り付けられている。
ダンプトラックにも拘わらず荷台全てを
覆っている奇抜さが特徴的だが、
これはロボットモードで荷台部分が
ボディに変形する為で、ロボットモードの
スタイルを考慮した措置である。
サイド
スロットルボットはプルバックゼンマイを
搭載している事が最大の特徴であり、
走行ギミックを第一に設計されている。
車輪は金属シャフトでホイール同士を
繋いでいるので回転はスムーズ、
タイヤにはゴム素材を使用している為、
空回りする事は無く勢い良く走行する。
チョロQと同じ様に車体を後ろ側に引くと
ゼンマイが巻かれ、手を放すと前方に直進する
という定番の走行ギミックを備えている。
『トランスフォーマー2010』が展開した
同時期に発売されていたミニボットと同価格の
500円という安価なトイである事に加え、
ロボットへの変形とゼンマイを搭載した
遊び甲斐のあるスロットルボットは、
御値打ち感のある非常に魅力的なトイだった。
サイバトロン戦士は自動車に変形する者が
多い事が特徴の一つで、コンボイやドラッグ等、
トラックに変形するキャラクターは
G1初期から存在しているが、
ダンプトラックに変形するサイバトロンは意外にも
スロットルボットのワイドロードが初である。
ビルドロン師団の影響で建設車モチーフは
デストロンのイメージが強かった事もあり、
ダンプトラックのサイバトロン戦士は目新しかった。
トランスフォーム!
ロボットモード
ダンプトラックのフロント部が
つま先に配置され、荷台全体が
起き上がってボディと腕部を構成する。
幅が広く四角いボディは、
スポーツカータイプが多くを占める
スロットルボットの中では特異なスタイルで、
パワフルなイメージを引き出している。
リア
荷台後部を展開して背中に配置する事で、
バックパックを背負っているかの様な
スタイルとなる。
脚部に配置されたタイヤが
取り付けられたシャーシは、
一見するとカーモードそのままの様に思えるが、
後部のゼンマイユニットは可動式に
なっているので、ロボットモードでは
シャーシの長さを縮めている。
スロットルボットはチョロQと同様の
プルバックゼンマイを利用した
走行ギミックをメインにしたトイであり、
壊れ難さも考慮している為か、
腕部や脚部の可動箇所は
一切無い造りが特徴となっている。
可動箇所が無くても、
それを補って余りある走行ギミックや
独特なディフォルメ加減のデザインが
優れている為、価格以上の
満足感を得る事が出来るトイである。
ビークルモードで走行するだけではなく、
ロボットモードでも同様に
プルバックゼンマイで走行出来る所が
スロットルボットの優れた面の一つだ。
スロットルボットの特殊な体型は、
ロボットモードでも安定して
走行出来る様に設計した為と思われ、
元から意図していたデザインと考えられる。
『4500kg.まで運ぶ事が出来る。
手とタイヤを使って
新しい資源を見付ける事が出来る。
自惚れ屋でうわべだけの所が有り、
人をその外見で判断する。
異常なくらい清潔好き。』
テックスペック
・体力 : 9
・知力 : 4
・速度 : 2
・耐久力: 9
・地位 : 5
・勇気 : 7
・火力 : 1
・技能 : 5
スロットルボットの日本版は箱が小さい為、
データを掲載するスペースが
限られている事もあり、
テックスペック数値のチャート表が
省略されている事がマイナス面と言えよう。
又、同様にバイオ設定もスペースの都合で
簡略化されており、原語版では
ワイドロードの設定は
より詳しい物となっている。
資源を発見する際に使用する手やタイヤには
センサーが設置されている事や、
普段は自分は油まみれで汚れているのにも
拘わらず潔癖症で、綺麗になるまで自身の
ボディを磨く事に多くの時間を費やしている等、
日本版では省略されている記述も多いので、
テックスペックの原語版にも目を通せば、
よりトランスフォーマーを楽しむ事が出来る。
アニメに於けるスロットルボット達の露出は少なく、
『トランスフォーマー2010』で初登場したのは
最終エピソードだった事に加え、
ほとんど活躍しない内に『宇宙ペスト』に
感染してしまうという、不憫な役回りだった。
スロットルボットは続編の
『トランスフォーマー ザ・リバース』や、
日本版アニメ『トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ』
の方が活躍の場が多い。
それでもメインメンバーとなる事は無く、
脇役である事に変わりはないが、
『トランスフォーマー ザ・リバース』に於ける
ワイドロードは台詞もあり、
コンボイ司令官率いるサイバトロン戦士の
一人として戦闘に参加している。
突如、襲撃してきたデストロン軍団に対し、
勇んで飛び出して行くワイドロードの勇士を
目にする事が出来るが、
ゴリラモードのエイプフェイスに
敢え無く投げ飛ばされてしまう姿は哀愁が漂う。
日本版TFアニメ作品の
『トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ』
に於けるスロットルボットは、
ゴールドバグが率いる部隊として
何度も登場している。
しかしヘッドマスターズが
主人公に据えられている作品だけに、
こちらでもスロットルボットは脇役の域を
脱する事は出来ず、全軍対決の様なシーンで
画面に映る事はあっても個々の目立った活躍は
ほとんど無かった事が惜しい所だ。
しかしながら、謎の隕石を処理する為に
スロットルボット部隊が出動するという、
数少ない活躍シーンが描かれた事は
評価出来る物であった。
その際、ワイドロードは
「行くぞ、チェイス!」と意気込んで
仲間のチェイスと共に隕石に接近するが、
謎の隕石の正体であるデストロンが造った
メタモルフォーゼ星の超重力によって
身体を捻じ曲げられて敗退してしまう。
勢い勇んで立ち向かいながらも、瞬く間に
返り討ちに合ってしまうワイドロードの姿が、
海外版の『トランスフォーマー ザ・リバース』でも
日本版の『トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ』でも
描かれているという偶然が非常に興味深い。
最初から引き立て役にする事が
決まっていた様な扱いが気の毒なTFだが、
記憶に残るシーンだった事もあり、
却ってプラスになったと捉える事も出来る。
膨大なキャラクター数を誇る
トランスフォーマーでは脇役的な存在も
度々登場するが、それはG1期の頃から
続く伝統の一つとなっている。
しかし目立たない存在ながらも
キャラクター性は個性的に設定されている事は、
ワイドロードの例を見ても理解出来る。
スロットルボットの様な
最安値の価格帯で遊び重視のTFトイでも、
手を抜かずに他に類の無いキャラクターを
作り上げている姿勢が、トランスフォーマーを
長期シリーズとして確立させた
要素の一つと言えるだろう。
◆参考にならない比較◆
⇒ スロットルボット C-95 ロールバー
トランスフォーマー2010
サイバトロン スロットルボット
C-97 情報指揮官
ゴールドバック 未開封