
実写映画『トランスフォーマー』で
衝撃的な活躍を残し、
悪のパトカー型トランスフォーマーという
キャラクター性を確立したバリケードは、
主な活躍は実写版映画第一作目のみにも
拘わらず、その後も数々のトイが
発売され続けた人気キャラクターだ。
この流れは低年齢の児童向けシリーズ
『ボットショット』にも取り入れられ、
日本版の『ビークール』にも
導入された事も頷ける展開だった。
しかし日本のファンを驚かせたのは、
ビークール・バリケードは
それまでの悪役という個性を根底から覆す、
完全に新規のキャラクター性が
与えられていた事である。

パッケージ

ビークルモード
モチーフキャラクターは
実写映画版『トランスフォーマー』に
登場したバリケードの為、
変形モードはマスタングを意識した
マッスルカータイプの黒いパトカーとなっている。
黒いボディのサイドに白の塗装が入り、
ルーフにはパトランプが設置されている事で
パトカーという事が認識出来る。

リア
ムービー・バリケードと異なる所は、
車体後部に大型リアウイングが
設置されている事。
これはビークール特有の瞬間自動変形を
行った際に、勢いで倒れない様に
リアウイングが支えを兼ねている為。

サイド
ビークール・バリケードの仕様は、
先行して発売されていた海外版の
ボットショット・バリケードと
ほとんど同じである。
成形色や塗装箇所は全く同じで、
ロボットモードの胸部パネルのみ
日本独自の物に変更されている。

日本版ビークールはボットショット版よりも
塗装箇所を増やしている特徴があったが、
バリケードのカラーリングは
元々シンプルな物だったので
変更する必要が無かったのだろう。
ハズブロの公式画像では、
タイヤのホイールがシルバーに塗られていたが、
製品ではボットショットもビークールも
未塗装という面も共通している。
ヘンケイ!


走行させてバンパーのスイッチが押されると、
スプリングの力でフロント部が跳ね上がり、
ドアが左右に開き、車体底部に収まっていた
ロボットの脚部が起き上がって、
一瞬でロボットモードに変形する。

バリケードはボットショットの
最初期シリーズのWAVE1でラインナップされた
初期アイテムの一つだが、瞬間自動変形の
メカニズムは確立されていたので、
後発のアイテムと精度の差は無い。

ロボットモード
実写映画版バリケードを基に
アレンジを施したデザインで造形されており、
クリーチャー的で不気味なイメージだった
映画版と比べると、
G1トランスフォーマーの様な
子供でも馴染めるスタイルと顔に
変更されている事が特徴。
大きな変更点は、目、鼻、口がある
顔になった事であろう。

リア
ディフォルメされたデザインのボットショットは、
低年齢向けトイシリーズであり、
このコンセプトは日本版の
ビークールでも受け継がれている。
ムービーシリーズのTFを
単にディフォルメしただけではなく、
複雑なデザインをシンプル且つ
子供にも受け入れられる様にアレンジして
纏め上げている手腕は評価に値する。

バリケードはパトカーに変形する為、
カラーを変更して別キャラクターが製作され、
日本版、海外版共にパトカーTFの
代表格であるプロールが登場している。
又、カーモードのフロント部を
差し替えたバージョンの
リデコ版ではケンザンが製作されており、
日本限定アイテムとなった。

バリケードとしてのリペイント版は、
海外で発売されたボットショット5体セット
『ディセプティコン ファイアーアサルトチーム』
の一員として、オレンジ色主体の
バリケードが発売されている。
ボットショット版プロテクトボット5体セットでは、
バリケードの型を使用したパトカーTFの
ストリートスマートが登場する予定だったが、
ボットショット・プロテクトボットセットは
キャンセルされ未発売となった。

バリケードは2007年に公開された
実写映画第一作目の
『トランスフォーマー』に登場した
ディセプティコン兵士で、
パトカーに偽装して人間社会に
潜伏している好戦的なTFだった。
パトカーを変形モチーフに
していながらも悪役という、
映画版のキャラクター性を引き継いで、
ボットショット版もしかめ面をした
悪役に相応しい表情が与ええられている。

しかし日本版のビークールが
住む世界『びっくりワールド』では、
オートボットやディセプティコンの
軍団分けが無く、正義と悪の
ロボットの対決という概念も無い。
商品名にオートボット、
又はディセプティコンと冠してあっても、
それは商標登録の都合によるネーミングで、
設定的には意味を成していない。

海外のボットショットでは悪役だった為、
バリケードの顔は如何にも悪そうな表情で
造形されているが、日本版のビークールでは
全く異なるキャラクター性が与えられており、
バリケードは警官ながらも明るく陽気で
ノリが良いキャラクターとして描かれている。
映画のバリケードとは対極と言うべき性格設定となり、
トイの顔のイメージとのギャップが激しいビークールとなった。

↓
バリケードはトイを使用した動画・ストーリームービーの
『信号はまもろうね!のまき』に登場しており、
同型で同じくパトカーに変形するプロールと共に
街のパトロール任務に従事する警官として活躍する。
更に登場と共に、それまでの映画版バリケードの
イメージを覆すキャラクター性を披露し、
TFファンを驚かせる事になる。

ビークール・バリケードは
アメリカンパトカーという変形モードを有する為、
キャラクター性もアメリカンである事が強調されており、
異様に明るく、妙なアクセントと英語交じりの口調で話すという、
日本のマンガやアニメで描かれる、いわゆるステレオタイプの
アメリカ人というキャラクターに仕上げられている

↓
ビークールの世界・びっくりワールドには、
日本やアメリカといった特定の国家は存在しない筈だが、
バリケードは「アメリカン」である事が
強調されたキャラクターだ。
世界観が矛盾している感は否めないが、
元々就学前の幼児を対象としている
トイシリーズなので深く考えてはいけない。

ビークールマーク
『止まれ』を示す道路標識。
六角形の標識に、英語で『STOP』と
書いてある所がアメリカンだ。

パトカーのシンボルであるパトライト。
赤と青の2色ライトがアメリカンだ。

道路には欠かせない信号機。
縦型の形状がアメリカンだ。

↓
基になったボットショットではムービー・バリケードを
意識して製作されている為、額の連なったツノ飾りや
頭部形状が類似しており、赤い目も受け継いでいる。
又、胸部はカーモードのフロント部の様な形状で
造形されているという特徴が確認出来る。
胸部にはフロントグリルやバンパーらしきモールドがあり、
両脇の金属ネジをヘッドライトに見立てている事が見て取れる。

↓
カーモードもムービー・バリケードと同様に
黒を主体としたパトカーで、パトランプが赤と青の2色を
使用している面も再現されている。
日本のパトカーは白主体なので、黒いパトカーは幼児にとっては
見慣れない車である為、『アメリカンパトカー』という名称で
日本のパトカーとは違うという事をアピールしているのだろう。

↓
ビークール・バリケードの様に楽観的で明るいキャラクター性は、
イメージ上の『アメリカ人』として度々描かれてきた定番の物だ。
しかし基となったムービー・バリケードの様な、
公的権威を利用した凶暴な悪徳警官というキャラクター性も、
様々な映画やドラマでよく目にする為、
アメリカ人のイメージの一つになっている事は皮肉と言えよう。

ムービー版バリケードのキャラクター性とは正反対の
ビークール・バリケードは、車種がアメリカンパトカーだけに
キャラクター性まで『アメリカン』である事を追求している稀なTFだ。
更に胸部パネルも全てアメリカを意識したイラストという、
必要以上とも思える拘り振りには目を見張る物がある。
たとえ対象としている幼児が理解出来なくても手を抜かず、
アメリカンという統一性を貫いたキャラクターを作り上げた事は、
驚きと共に大人のファンも充分に楽しませてくれた。

⇒ ◆参考にならない比較◆
⇒ MD-02 ディセプティコンバリケード `
⇒ EZコレクション バリケード `
⇒ レジェンドクラス リーコンバリケード
⇒ SS-21 ディセプティコンバリケード `
⇒ TLK-02 バリケード `

トランスフォーマー ビークール
B17 アメリカンパトカー
ディセプティコンバリケード