
海洋生物に於いて食物連鎖の頂点に君臨するシャチは、
高い知能と捕食者としての獰猛さを兼ね備えている。
キラーホエールの英語名を持つシャチだが、『ビーストサーガ』に於いて
サメのキラーシャークの方が海では最強の存在とされているのは、
サメが無差別に暴れまわる凶暴なイメージを備えているからであろう。
両者の対決があれば面白い展開になったかもしれないと、
想像を膨らませてくれる事もフィギュアが持つ魅力の一つだ。

パッケージ

フロント
体色が黒いシャチと同様にオルリッチの
ボディも黒の成形色を使用しており、
これに対し明るいブルーのアーマーが引き立つ。
黒い目は成形色のままだが、その代わりに目の周りの
アイパッチと呼称される模様は白く塗装されている。

リア
頭部が大きいサイズなので体格が良く見える。
流線型の身体を持つシャチと同様に、
アーマーは曲線を多用したデザインが採用されている。
後頭部を覆うアーマーには二つのジェット噴射装置の様な
モールドがあり、水中でのスピードが速い事を表現している。

同じく海洋生物の代表格であるホオジロザメのキラーシャークは、
全身凶器で腕部にもカッターが装備されていた。
シャチのオルリッチは体型こそ類似している物の、腕部には
武器ではなく生身の鰭が露出しており、差別化されている事が分かる。

オルリッチの腰は前後共に毛皮で覆われている事が特徴。
これはシャチがアラスカ海域に生息する事から、この地域の
先住民エスキモーの毛皮を着用するスタイルを取り入れた物だろう。
アイディアは見事な物だが、毛皮のパーツがボディと干渉して
脚部の可動範囲が大幅に制限されてしまっている事が難点だ。

『パワー重視の戦闘では押し返された事は
一度も無い、頼りになるアニキ肌。
戦闘を離れると間の抜けた一面も見せるが、
それが愛嬌にもなっている。』

『アルダイルが南海公国に楯突かないのは、
ドンホエール大公ではなくオルリッチが居るからである。』
・好きなもの: 生肉 `
・嫌いなもの: クレーム `
・対戦成績 : 83勝9敗2分け

南海公国の戦闘面を一手に担う筆頭戦士のオルリッチは、
シャチという特性から巨漢のキャラクターとして登場している。
クジラのドンホエールには及ばない物の、
イルカのドルファンよりも一回り以上大きい
体格の戦士として描かれている。

快活でさっぱりとした気性の好人物だが、
極力戦闘を避けるドンホエール大公の方針には
戦士として少なからずフラストレーションを感じている。
しかしライオーガにすら牙を剥く、鱗板宮殿城主アルダイルが
手を出せない程の実力を備えており、戦闘能力は相当に高い事が窺える。

アニメに於いては、禁呪メガテンペストによって
出現した水の竜との戦闘にドルファンと共に参加し、
キャプテンイーグルを始めとする風の戦士団や
グロリア王国軍のビパップ達と共に戦っている。
その際には必殺技のコールド・ボムを放って
水の竜を凍らせて動きを止め、キャプテンイーグルが
とどめを刺す為の下地を作るという功労者となった。

バトルロット
イルカのドルファンと同様にシャチの全体像を
アレンジしたビーストエンブレムとなっている。
試作段階のエンブレムは白と黒の配色が逆転していた為、
黒いボディと白いアイパッチのシャチその物だったが、
製品では逆転したカラーのシャチになっている。
これはパンダのジャンジャンや黒豹のレパーミントも同様。

マジックロット
装備しているのはレベル1の『ブースト+4』。
『BS-20 陸海空DXスターターセット』には6種類の
マジックロットが付属しており、更にレベル2の
ダイスが4種類入っている嬉しいセット内容だ。

コールド・ボム
『撃ち出したサイコロットが氷の塊に変化し、
敵の直前で爆発させる技。』
シャチが北極海周辺に生息するする事から
着想を得たと思われる必殺技。
実際の動物の生態も取り入れているアイディアが巧い。

武器&防具
シャチの形状をした剣には、シャチらしく
アイパッチもモールドされている。
正三角形の形状をした盾は、渦を巻いた波を
表している様な造形が施されている。

↑
ビーストカード
民族衣装の雰囲気も漂わすフィギュアと異なり、
イラストでは腰の毛皮部分がほとんど目立たない為、
未来的でメカニカルなイメージとなっている。

海のビーストは4つの陣営に分かれており、
南海公国はドンホエール、デスハート団はキラーシャーク、
龍宮王国はオトヒメ、鱗板宮殿はアルダイルが治めている。
キラーシャーク率いるデスハート団の圧倒的な武力により、
他の派閥は干渉し合わない様に危うい均衡を保ち続けている。

本来、南海公国が海全体を統治する立場にあるにも拘わらず、
ドンホエール大公は平和主義を貫きデスハート団と争う事を避けている。
デスハート団の横行を黙認する様な状況にオルリッチは不満を感じており、
戦士として戦場に赴きたいという願望もあるのだが、ドンホエールに対する
忠誠は絶対的な物の為、葛藤を抱えているという奥深いキャラクターとなっている。

海のビーストはデスハート団を中心に描かれていた為、
南海公国のビーストは脇役とされてしまった事が惜しい。
活躍の場が少ない為、南海公国に属するビーストの数も
少数であったが、怪我の功名として南海公国の全ての
ビーストがフィギュア化された事は嬉しい誤算であった。
南海公国のビーストは3体のみではあるが、キャラクターが揃うと
ディスプレイする時にも見映えする為、楽しさも倍増するのである。

◆参考にならない比較◆
⇒ 南海公国 BS-20 ドンホエール `
⇒ 南海公国 BS-08 ドルファン `
⇒ BS-20 陸海空DXスターターセット ウルフェン `
⇒ BS-20 陸海空DXスターターセット レパーミント `
⇒ BS-20 陸海空DXスターターセット オウルマイティ
⇒ BS-20 陸海空DXスターターセット レインボーサム