◆シリーズ: 参乗合体 トランスフォーマーGo!
◆ 発売日: 2013年6月22日 `
◆ 価格 : 3500円 `
ビークルモード
大型の6輪消防車に変形し、ビークルモードでも
ガンオウのパワフルなイメージが伝わってくる。
角張ったボディは近未来的なデザインだが、
SF過ぎず現実味のある物としている所が巧い。
リア
車体後方は3体合体した際のゴウガンオウの拳や足のパーツが
配置されているが、未来的な消防車故にビークルの
デザインの一部と化している為、然して気にはならない。
六つの車輪は個別に設置されており全て回転可能で、
ビークルとして転がし走行の遊びも考慮されている。
ガンオウは本来、消防車の代表格である『はしご車』を想定していた模様で、
武器名称が『ドリルラダー』である事からも分かる様に、
折り畳んだ武器を梯子部分に見立てる予定だったと思われる。
しかしトイでははっきりとした梯子の様なモールドは見当たらず、
運転席の上部に放水銃が設置された『化学消防車』の様なスタイルとなっている。
設定的には『はしご車』であり、アニメではファイヤーコンボイの様な
消防車をスキャンして、はしご車に変形している事が確認出来る。
『トランスフォーマーGo!』は子供向けシリーズであり、ソードボットは
3体揃えて合体させる事が前提のトイ故に価格を3500円に抑えた物と思われる。
生産国をベトナムとしたり、金属シャフトを使用しない嵌め込み式のタイヤ、
ウィンドーやパトランプはクリアパーツ無しとしている等、
ガンオウの各部はコスト削減の為の工夫が見受けられる。
同様に武器も兼ねた大型の梯子部分も省略せざるを得なかった様だ。
それでも全体的には『はしご車』の様なシルエットを保っており、
何よりも一目で『消防車』と認識出来るデザインは評価出来るだろう。
放水銃のモールドも説得力のある形状となっており、
更に武器を開く際の可動を利用すれば、
左側のみではあるが放水銃の向きを変える事も出来る。
放水銃が備わった武器パーツを逆向きにセットすれば、
ドリルを前方に備えた戦闘車両の様なモードにする事も可能。
ドリル基部がパトランプが設置されているパーツに少々干渉するが、
武器は軟質素材で成形されている為、破損の心配は無いだろう。
付属する兜パーツは折り畳んで車体前方に装着可能。
放水銃が備わった武器パーツは後方にずらしてセットする。
兜、武器パーツをビークルモードでも装備可能として
余剰パーツにならない様にする工夫が見られる。
兜パーツは元々和風テイスト溢れるデザイン故に、
祭りの山車を連想させる派手さが感じられる。
兜パーツの先端は武器の様にも見え、この様な仰々しいシルエットは
『トランスフォーマーGo!』シリーズのトイには相応しい。
トランスフォーム!
低年齢層を対象としているソードボットの変形工程は
遊び易さを考慮したと思われ、非常に簡単で扱い易さに優れている。
ロボットモード
大型消防車のフロント部分がほぼそのままボディとなっている為、
がっしりとした体型を誇り、力強さが感じられる。
頭部はボディに対して小さく、加えて太く長い脚により
頭身が高く、巨大なイメージを作り出している。
リア
胴体内はほとんど空洞ではある物の、
背中にコの字型のパネルを設置する事でこれを補っている。
ロボット、ビークルの変形に加え、複雑な3種類の3体合体をも
組み込まれているにも拘らず、どのモードも破綻していない
スタイルを実現している事は評価に値する。
『オートボット所属の、対プレダコン特殊部隊
「ソードボット・侍チーム」の一員。 消防突撃流の使い手。
力自慢の怪力で、侍チームのムードメーカー。
ケンザン、ジンブに対しては、年長者として苦言を呈する事もある。』
『双頭のドリルラダーを使った剣舞は、
その体格に似合わず華麗だ。
勇に対してはケンザンやジンブと同様に、
兄弟の様な愛情を持って接している。』
テックスペック
・体力 : 10
・知力 : 6
・速度 : 6
・耐久力: 10
・地位 : 6
・勇気 : 9
・火力 : 8
・技能 : 6
ドリルラダー
『梯子の機能を使って、全長125メートルまで伸ばす事が出来る長槍。
先端のドリルを二つ合わせると、地中にも潜る事が出来る。
ゴウガンオウ時にも使用する。』
両端にドリルを備えた槍状の武器で、
その長さは大サイズのガンオウの身長を軽く凌ぐ。
中央の放水銃のモールドが5ミリジョイントも兼ねている巧い設計。
又、長い槍の各所に設置されている
板状のモールドもジョイントとして利用出来る。
シールド
ガンオウ専用の兜は折り畳む事が可能で、
兜としてだけではなく盾に変形出来るアイディアは見事な物だ。
裏側に位置した兜には5ミリ径のグリップが設けられており、
ガンオウの手に装備させる事が出来る。
シールドは背部のジョイントにセット可能。
シールドは比較的大きなサイズではあるが、
ガンオウのボディが大きく横幅が広い為、
違和感のないシルエットを作り出している。
背部に装備したシールドには、更に折り畳んだ状態の
ドリルラダーをセット出来る拘りの仕様に驚く。
全てのパーツをガンオウ本体に装着可能になっており、
ビークル、ロボットモード共に余剰パーツが出ない様に考慮されている。
ガンオウは他のソードボットよりも背が高く設計されており、
単体でも迫力の大きさが魅力のトイに仕上がっている。
『TF ダークサイド・ムーン』や『トランスフォーマープライム』等、
ここ数年のボイジャークラスは縮小されたサイズだった事もあり、
ガンオウの巨大感は群を抜いて際立っている。
書籍の開発者インタビューによると、
試作段階では更に大きかったと言うから驚きである。
簡単な変形や大きめのパーツ構成ながらも
全身の可動箇所は多く、ポージングも自在である。
首は回転、肩はボールジョイント、二の腕にはロールがあり肘も曲がる。
股関節は後方と横に開き、脚の付け根と膝、
足首が曲がり、膝にはロールも仕込まれている。
脚部は合体後の3体の重さにも耐える様に、スプリングを内蔵した
強固なクラッチ式の可動が採用されている。
ソードボット・侍チームは、それぞれが歴史上の人物を
イメージしており、ガンオウは『弁慶』をモチーフとしている。
弁慶の一般的なイメージである豪快さや体格の良さが表現され、
長い槍は弁慶が武器とした薙刀に通じる物がある。
ガンオウの頭部形状も、顔だけ露出した弁慶の頭巾を
意識してデザインされている事が分かる。
更に忍者によく見られる額当て、又は鉢巻を締めている様に見える
モールドもあり、頭部形状だけでも『日本』的な印象を引き出している。
又、背部にはドリルラダーをセットする為の
専用の四角いジョイントが設けられており、
ドリルラダーをV字型に開いて装着する事が出来る。
背中に武器を背負うスタイルも、弁慶が七つ道具を
背負っている姿を基に考案された物と思われる。
付属する武器はドリルラダー一つのみだが、
中央から折り畳む事で2本の槍を背負っている様な
シルエットを作り出しているアイディアが巧い。
余談だが、弁慶の七つ道具を背負うスタイルは
トランスフォーマーでは既に登場しており、
ガンオウよりもアニメイテッド・ラチェットの方が
多くのツールを背負っている為、弁慶のイメージに近い。
日本人にとっては数多くの武器を背負うスタイルは
弁慶を想起させ、それだけ弁慶の存在感が強い事が分かる。
ガンオウを漢字で書くと、ガンは必殺技等で
使用されている『巌』の字である事は間違いなく、
オウは素直に『王』だと思われ、『巌王』となる。
『トランスフォーマーGo!』に於ける『巌』の字は、
ビジュアルストーリーブックⅡにも記載されている様に
『パワー系』の意味を持っている。
『王』は字の意味に含まれる第一人者、最高の者を表し、
『巌王』は『最高のパワー』である事が分かる。
即ちガンオウは、アニメで自らも語っている様に
『パワーならナンバーワン』という意味を持つ名称なのだ。
僧兵・弁慶の特徴を取り入れ、ネーミングも
日本的で漢字で書く事も出来、更にその漢字には
キャラクター性を表す意味が籠められている。
『トランスフォーマーGo!』は日本を舞台とし、
更にソードボットは侍と忍者という事もあり
和風なネーミングが実に似合っている。
この様なあらゆる面で強く『日本』を意識した設定は
日本人にしか考える事は出来ないと思われ、
開発担当者のセンスの良さに素直に感心する。
長身な事に加えてがっしりとした体格を誇るガンオウのトイは、
弁慶の意匠を取り込む事で更にパワフルさが感じられる見事な物だ。
この事はアニメのキャラクター設定にも存分に活かされており、
胸がすく様な活躍を見せてくれる面も印象深い。
ガンオウの男気溢れる豪快なキャラクター性は、
海外版トランスフォーマーではあまり目にする事のない
日本ならではの物と言えよう。
◆参考にならない比較◆
⇒ G-24 ビークール ガンオウ