恐竜ロボ軍団ダイノボットは、
時代によって構成員が異なり、
新メンバーが加わる事もあった。
基本となる初代G1ダイノボット、
ビーストマシーンズ時代のマシーンズダイノボット、
ユニクロントリロジーのアルマダダイノボット、
他にもTFユナイテッドEXやTFアドベンチャー、
ムービーシリーズに於いても
新種のダイノボットが登場している。
パワーオブザプライム・スラッシュの
特筆すべき点は、初の女性ダイノボットという
意外性のあるキャラクターに
設定されている事だろう。
◆ 名前 : ダイノボット スラッシュ
◆グループ: ダイノボット
◆ 役割 : 追跡員
◆ 変形 : ヴェロキラプトル
◆シリーズ: トランスフォーマー パワーオブザプライム
◆ 発売日: 2018年5月26日
◆ 価格 : 1500円
パッケージ
ビーストモード
『ビーストウォーズ』のダイノボット以降、
ヴェロキラプトルに変形するTFは
複数登場している。
骸骨の如き怪物的なアレンジが
施されたメタルスダイノボット、
ディフォルメの利いたデザインのゴーボッツ・グレッグ、
メカニカルなスーパーリンク・ダイノボット、
羽毛恐竜型のロストエイジ・スラッシュ等、
それぞれが特徴的なラプターに変形した。
サイド
パワーオブザプライム・スラッシュは、
G1ダイノボットのスタイルを取り入れており、
「ロボット恐竜」という基本的なイメージが濃厚。
平面を多用したボディ全体や円形の大腿部、
クリアパーツを使用する等、G1ダイノボットの
特徴を意図的に組み込んでいる事が分かる。
リア
シルバー、赤、黒のボディに加え、
各所にゴールドが入るカラーリングも
G1ダイノボットの特徴である。
スラッシュは金メッキではない物の、
クリアパーツの内側からメタリック塗装を施す事で
煌びやかなイメージを引き出している。
この手法は『トランスフォーマー カーロボット』の
エックスカーでも使用されていた。
レジェンズクラス(スカウトクラスと同等)の
小型トイながらも可動面は非常に優秀。
頭部は上方に動かす事が出来、
顎も開閉可能。
前脚の基部に回転軸、
股関節はボールジョイント接続、
大腿部にロール、膝も90°まで曲がり、
尻尾も上方に向ける事が出来る。
トランスフォーム!
ロボットモード
角張った上半身の中央が
コックピットのパネルを思わせ、
加えて円形の肩というスタイルも
G1ダイノボットのデザインを受け継いでいる。
新規キャラクターのスラッシュだが、
G1トランスフォーマーの特徴を
可能な限り取り入れている事が分かる。
リア
恐竜の頭部を背中のスペースに収め、
背部パネルと尻尾を被せるという変形により、
纏まりが良いスタイルを実現している。
足の内側のパネル状のパーツが
踵を兼ねているので接地性も良い。
首の回転、ボールジョイントで自在に動く
肩と股関節、上腕と大腿部のロールと
肘と膝に可動軸が備わっている。
ロボットモードの可動面も申し分無く、
あらゆるポーズ付けを可能とする。
『物静かで几帳面、そして粘り強い性格の、
理想的なハンター。
彼女の嗅覚センサーは超低濃度の
僅かな化学物質を突き止める事が出来、
オーディオレセプタは遥か遠くにいる
トランスフォーマーの身体の動きも
聞き取る事が出来、
電磁スキャナは非常に遠距離からでも
トランジスタラジオを拾う事が出来ると言う。』
『しかし何より特筆すべきは、
絶対に諦めない彼女の精神である。
不屈で確固たる決意を持つ彼女は、
探し物が見つかるまで
どこまでも追い続けるのだ。』
2014年の映画『トランスフォーマー ロストエイジ』の
トイシリーズで、新ダイノボットの一人として
認知されたスラッシュが、G1世界に於いても
新メンバーとして加わった事になる。
長年5人編成だったG1ダイノボットに
6人目が加入した事は、驚くべき物であった。
厳密には『パワーオブザプライム』を含む
『プライムウォーズ三部作』の世界は、
1980年代~1990年代のG1世界とは
微妙に異なるパラレルワールドと言える物だが、
『G1』の世界観と見做しても良いだろう。
トランスフォーマーに於ける世界観について
細かな違いを言い出すと収拾がつかなくなる。
オリジナルのG1世界も、
アニメとコミックスと玩具設定では
異なるパラレルワールドとなっている。
日本の漫画だけ見ても、
テレビマガジンとコミックボンボンと
カバヤ版では世界観が異なる。
同じG1でも海外と日本、又は他の国では別物で、
後年のリメイク版では作品毎にパラレルである。
即ち、どう捉えるかは各人に委ねられており、
各々が思い描く世界観は十人十色なのだが、
パワーオブザプライム版スラッシュは、
G1世界の新ダイノボットと
考えて差し支えないだろう。
『TFパワーオブザプライム』シリーズは、
別売りトイ同士の連動を
コンセプトの一つとしている。
この為、小サイズトイのレジェンズクラスも
極小フィギュアのプライムマスターとの
連動ギミックが組み込まれており、
プライムマスターを搭乗させる事が出来る。
スラッシュの場合は、恐竜モードの
背中のパネル内にプライムマスターを
乗せる為の座席が設けられている。
座席にはミニフィギュアの脚部を固定出来る
ジョイントがあり、座らせる形で搭乗させると
恐竜の背中に跨っている様なシルエットとなる。
プライムマスターと同規格の
TFレジェンズシリーズの
ヘッドマスター(タイタンマスター)でも
搭乗ギミックは有効。
トイのダイノボットスラッシュに
付属武器は無いが、
当初、発表されたコンセプトアートでは、
忍者が扱うクナイの様な武器を両手に握っていた。
素早い恐竜のラプターに変形するだけに、
ロボットモードでも素早さに長けた
忍者を想定していた可能性がある。
コンセプトの時点でスラッシュを
女性と設定していたとすれば、
女の忍者、即ち『くノ一』という
キャラクター性が成り立つ。
実際のトイではクナイ型武器は付属しなかったが、
前腕部に折り畳まれたラプターの足を
拳にセットすると、奇しくもクナイを
握っている様なシルエットとなる。
コンセプトアートではクナイの刃を拳の下側に
向けているので、トイのラプターの足の向きと
一致していて雰囲気が出る。
スラッシュが初の女性ダイノボットとなった経緯は、
ムービーシリーズのロストエイジ・スラッシュを
女性に設定する案が存在した事を受け継いだ物。
ロストエイジ・スラッシュでは
女性設定は却下されたが、
数年を得てジェネレーションズラインの
パワーオブザプライム・スラッシュで実現した。
トイ開発の際、パワーオブザプライム・スラッシュを
女性を想定して造っていたかは定かではないが、
胴体や脚部が細身にデザインされている
ロボットモードは女性に見えなくも無い。
男性、女性のどちらでも通用する様な体型故、
ロストエイジ・スラッシュの女性設定の案を
取り入れたのかもしれない。
トイ開発の際は特に決めていなかったが、
設定面で女性になったTFの代表格は
『ビーストウォーズ』のエアラザーであろう。
しかしエアラザーの場合は特殊で、
日本導入の際に男性に変更されるという
数奇な運命を辿る事となる。
スラッシュはトイ発売の時点で
既に女性として設定されており、
説明文の「her」という単語で
女性ダイノボットである事が示されている。
『TFパワーオブザプライム』では日本独自の
設定は作られず、海外版と全く同じなので、
エアラザーの様に性別が変わる事は無かった。
G1ダイノボットが活躍した1980年代には
全くの無名恐竜であったヴェロキラプトルだが、
1990年代の映画『ジュラシック・パーク』により
世界的に認知される恐竜となった。
G1ダイノボットのリメイク版に新メンバーとして
ヴェロキラプトルのスラッシュが加わり、
更に女性キャラとして設定されている事は、
時代の流れを感じさせる。
トランスフォーマーは時流をも取り込み、
進化を重ねて行くのだ。
◆参考にならない比較◆
⇒ ダイノボット SCF ACT-2 グリムロック `
⇒ ダイノボット ロボットヒーローズ グリムロック `
⇒ ダイノボット テイク・アパート・スタンプ スナール
トランスフォーマー
パワーオブザプライム
PP-04 ダイノボットスラッシュ