秀句鑑賞-春の季語:落椿(おちつばき)
2017/05/04 Thu
May 4 2017
小野寺靖
落椿この世に宴あるごとく
俳句では椿の花を「落ちる」と言い、桜のように「散る」という言い方は一般的には取らない。それぞれの本意本情に沿うことをあくまでも大切にするからかと思う。椿は落ちる花があるかと思うと、木にはこれから咲く蕾がたくさん残っていたりする。落ちたばかりの椿はそこにまだ命が宿っているかのように鮮やかだが、やがて色褪せて穢くなってゆく。作者は、地に落ちて折り重なってゆく椿に、これからまだ宴が待っているようだと言う。なんというポジティブな感性であろう。穢土(えど)とも言われる現世と生きとし生けるものをこのように肯定的に捉える心の広さには、作者が獲得した諦念の深さまで感じられる。惜春の情ここに極まる佳句。(渡邊むく)
【作者のブログ「メリンダ社長の備忘録」より。】
小野寺靖
落椿この世に宴あるごとく
俳句では椿の花を「落ちる」と言い、桜のように「散る」という言い方は一般的には取らない。それぞれの本意本情に沿うことをあくまでも大切にするからかと思う。椿は落ちる花があるかと思うと、木にはこれから咲く蕾がたくさん残っていたりする。落ちたばかりの椿はそこにまだ命が宿っているかのように鮮やかだが、やがて色褪せて穢くなってゆく。作者は、地に落ちて折り重なってゆく椿に、これからまだ宴が待っているようだと言う。なんというポジティブな感性であろう。穢土(えど)とも言われる現世と生きとし生けるものをこのように肯定的に捉える心の広さには、作者が獲得した諦念の深さまで感じられる。惜春の情ここに極まる佳句。(渡邊むく)
【作者のブログ「メリンダ社長の備忘録」より。】
テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術