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公正な採用選考を行うために
日本国憲法は、全ての人に職業選択の自由を保障しています。また企業にも採用の自由が認められています。
しかし、だからといって企業が採用選考時に何を聞いても何を書かせてもよいというものではありません。
応募者の基本的人権を侵かしてまで、採用の自由は認められているわけではありません。
採用選考にあたっては、
•応募者の基本的人権を尊重すること。
•応募者の適性と能力に基づいた基準により行うこと。
の2点を基本的な考え方とし、事業主の皆様は「雇用条件・応募方法の明確化」「公正な採用基準」「基本的人権の尊重」に基づく 公正な採用選考の実施をお願いいたします。
※公正な採用選考並びに採用選考時のチェックポイント(厚生労働省HP)はこちら
※公正な採用選考についてのお問い合わせ先はこちら(PDF)
※公正採用選考に関する各種情報や動画(厚生労働省 特設サイト)はこちら
次の①~⑪の事項について、応募用紙(エントリーシートを含む)に記載させる、面接時において尋ねる、作文を課すなどによって把握することや、⑫~⑭の事項を実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
① 本籍・出生地に関すること
② 家族に関すること(職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)
③ 住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
④ 生活環境・家庭環境などに関すること
⑤ 宗教に関すること
⑥ 支持政党に関すること
⑦ 人生観・生活信条などに関すること
⑧ 尊敬する人物に関すること
⑨ 思想に関すること
⑩ 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
⑪ 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
⑫ 身元調査などの実施
⑬ 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
⑭ 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
(注1)「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることは①の事項の把握に該当することになります。
(注2)「現住所の略図等」を提出させることは、③④などの事項を把握したり、⑫の「身元調査」につながる可能性があります。
(注3)⑭は、通常、採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることを意味します。
(事業主のみなさまへ) (求職者のみなさまへ)
職業安定法では、労働者の募集業務の目的の達成に必要な範囲内で、募集に応じて労働者になろうとする者等の個人情報を収集、保管、使用しなければならない旨規定しています。
また、併せて、法に基づく指針が公表され、原則として収集してはならない個人情報等を規定しています。
労働者の募集を行うものは募集形態の如何を問わず、法及び指針を遵守して行わなければいけません。
しかしながら、就職差別を未然に防止し、公正な採用選考を図るためには、この規定、指針だけを遵守すればよいというものではありません。本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項等本人の適性・能力以外のことを採用基準にすること、不適正な募集・応募書類の使用、身元調査等は就職差別につながるおそれがあるということを十分認識いただくとともに、事業主の皆様には、「法」改正の趣旨をご理解いただき、公正な採用選考システムの確立が図られるよう、さらに積極的な取り組みをお願いします。
違反したときは ●違反行為をした場合は、職業安定法に基づく改善命令を発出する場合があります。 ●改善命令に違反した場合は、罰則(6ヶ月以下の懲役又は30 万円以下の罰金)が科せられる場合もあります。 |
高等学校等新規卒業者の採用選考については、面接に際し、「親の職業」など本人の適性と能力に全く関係のない事項を質問したり、書類を提出させたり、採用選考開始期日を守らない等の事例が報告されています。
こうした場合には、学校等からの通報に基づき、東京労働局及びハローワークが、事実確認と是正指導を行い、差別のない公正な採用選考システムの確立のための指導を行っています。
今後とも、企業等の人事担当者や公正採用選考人権啓発推進員(下記参照)はもとより、企業のトップクラスに対して、公正な採用選考についての理解と認識が得られるよう、研修や啓発に努めていくことが求められています。
※早期選考の未然防止・採用選考時の不適正事案に係る対応スキームはこちら
(2)新規大学等卒業者の採用選考について
新規大学等卒業予定者の採用選考については、インターネット上のエントリーシートに、本人の適性と能力に関係のない、「本籍」「家族の職業」「尊敬する人物」等の項目が設定されている等の事例が報告されています。
こうした本人の適性と能力に関係のない個人情報の収集(エントリーシートへの記載や面接での質問等、採用選考の全ての場面での情報収集が対象となります。)は、求職者等の個人情報の取扱いを定めた職業安定法第5 条の5及び労働大臣指針(平成11 年労働省告示第141 号)に違反することになります。
なお、学生や学校等から、「本人の適性と能力に関係のない項目がエントリーシートにあった・面接で質問された等」の報告があった場合は、東京新卒応援ハローワークの特別相談窓口で把握をし、東京労働局(ハローワーク)において、事業所に対する事実確認及び是正指導を行っています。
また、学生・学校等に向けた公正採用選考に関する周知・啓発の一環として、新卒応援ハローワークの職員及びジョブサポータが大学等を訪問して実施するセミナーの中で公正採用選考に関する知識付与なども行っています。
※東京新卒応援ハローワークにおける大学生等の採用選考時の不適正事案に係る対応スキームはこちら
※都内ハローワークでは、毎年公正な採用選考について企業がより一層の理解を深めることを目的とした雇用主(企業のトップクラス)を対象とする「雇用主研修会」や、企業の人事担当者等より選任された公正採用選考人権啓発推進員に対して「公正採用選考人権啓発推進員研修」を実施しています。積極的に参加いただき、是非社内における公正な採用選考システムの確立、向上にお役立てください。 |
本制度は、一定規模以上の事業所等について、「公正採用選考人権啓発推進員」を選任し、職業安定機関との連携による計画的・継続的な研修等を通じて必要な知識、理解及び認識を深め、事業所における公正な採用選考システムを確立することを目的としています。
都内の事業所は、東京労働局公正採用選考人権啓発推進員設置要綱に基づき、設置基準に該当する事業所は選任して届出をすることとされています。
公正採用選考人権啓発推進員は、公正な採用選考システムを確立するために、事業所内における中心的な役割を果たすことができるよう、人事担当責任者など、採用・選考に関して相当の権限を有する方(人事担当の部・課長以上など)から選任いただくようお願いしております。新たに同推進員を選任した事業所や人事異動等により同推進員に変更があった事業所は、「公正採用選考人権啓発推進員選任状況報告(PDF)」(Word)を事業所所在地管轄のハローワークに提出することになっています。(東京労働局では、毎年6月1日現在の同推進員の選任状況の報告をお願いしています。)※押印は不要です。
なお、事業所が移転した場合は、再度提出していただくこともありますので、必ずハローワークまでご連絡ください。
※公正採用選考人権啓発推進員選任状況報告書の様式 ダウンロード
東京労働局、都内ハローワークでは、東京都と協力して、企業の経営者及び人事担当役員等の皆様の必読書として冊子「採用と人権」を作成しています。各企業におかれましては、本書を従業員の採用、雇用管理の手引書としてご活用いただくとともに、公正な採用選考の確立に向けたご配慮をお願いいたします。
※冊子「採用と人権」(東京都HP)はこちら
令和6年6月5日(水)にて就職差別解消の促進を目的に「就職差別解消シンポジウム」を開催しました。
当日は、企業の人事労務担当者を中心に1,333名が参加しました。東京労働局では、採用選考時に是非、活用していただきたいリーフレットを提供しています。
企業にとってどのような人を採用するかは最重要の問題であり、それぞれの企業がその目的に合わせて採否を決定するのは当然ですが、しかし、企業の社会的責任(CSR)が求められる中、採用選考時においても人権を尊重し、「応募者本人の適性と能力」を公平に評価することが必要不可欠です。
是非、このリーフレットを「社員研修や面接前後の打合せ」で活用し、また、裏面「当社は公正な採用選考を実施します」をコピーし、面接時に提示していただくなど、引き続き公正な採用選考にご尽力くださいますようお願い申し上げます。
公正採用選考リーフレット(ダウンロード)
令和2年7月に日本規格協会が、JIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除したため、厚生労働省において公正な採用選考を確保する観点から新たな履歴書様式例の検討を行い、事業主の皆様に広く参考にしていただくための様式例(厚生労働省履歴書様式例)を作成いたしました。
事業主の皆様におかれましても、採用選考時に使用する履歴書の様式については、本様式例を参考にしつつ、公正な採用選考をお願いします。履歴書の様式に本様式例と異なる記載欄を設ける場合は、公正な採用選考の観点に特に御留意をお願いします。詳細はリーフレットを参照ください。
・事業主のみなさまへ(履歴書様式例作成) (ダウンロード)
・求職者のみなさまへ(履歴書様式例作成) (ダウンロード)
・厚生労働省履歴書様式例 (ダウンロード)