小坂町移住のすすめ:秋田型教育と充実の子育て支援が魅力
この記事では、秋田県鹿角郡小坂町(こさかまち)への移住を検討している方に向けて、まちの魅力や暮らしに関する情報を紹介していきます。小坂町は、十和田湖を代表とする美しい自然や、明治時代の風情が残る街並みが特徴的なまちです。
また、充実した子育て支援と、全国でも高く評価されている秋田県独自の教育方法「秋田の探究型授業」が学校で行われていることも魅力のひとつです。
それでは早速、移住する際に役立つ情報を中心に、小坂町役場の近藤さんにお聞きしたお話もあわせてお伝えしていきます。
小坂町での暮らしの3つの魅力:子育て支援・教育・自然環境
小坂町の最大の特徴は、子育て支援が充実していることです。18歳までの医療費無料化や学校給食費の半額補助など、子育て世帯にとって魅力的な制度が数多く用意されています。
また、全国的に高い評価を受けている秋田型教育を受けられることも大きな魅力です。「質の高い教育を子どもに受けさせたい」と考える親にとって、理想的な環境といえるでしょう。
さらに、四季折々の美しい景観を楽しめる十和田湖をはじめとする豊かな自然環境も、小坂町の魅力の一つです。以上をまとめると、小坂町は次のような方々にとって理想的な移住先となります。
- 子育て支援が充実した場所で暮らしたい
- 子どもの教育に関心がある
- 美しい自然に囲まれながら暮らしたい
小坂町では、豊かな自然環境の中で、充実した支援を受けながら子育てができます。それでは、小坂町の魅力について、さらに詳しく見ていきましょう。
魅力1:充実の子育て支援制度でのびのび子育て
▲みんな元気いっぱい!のびのびと子育てできます
小坂町では妊娠・出産からおよそ18歳まで、切れ目なく継続した支援があることが大きな魅力のひとつです。医療費の無料化をはじめ、在宅で育児を行なっている世帯への給付金など、独自の政策も注目ポイントです。
小坂町の主な子育て支援を以下の表にまとめましたので、ご覧ください。
概要 | リンク | |
---|---|---|
福祉医療制度 | ・18歳までの子どもの医療費が無料 | 公式 |
保育施設の利用無料化 | ・0歳以上のすべての子どもが対象 ・給食費、行事費などは対象外 |
− |
在宅育児支援給付金 ※小坂町独自 |
・在宅で育児を行っている世帯に給付金を支給 ・対象年齢:生後8週間~満3歳になった年度まで ・月額:1万5千円 |
公式 |
副食費助成 ※小坂町独自 |
・3歳~5歳の子の副食費を全額助成 | − |
すこやか育児手当 | ・第3子以降の子どもに対し給付金を支給 ・出生した月から小学校入学の前月まで、月額5千円 ・小学校・中学校入学時に、一時金として5万円 |
公式 |
給食費の半額助成 | ・小中学生の給食費を半額助成 | 公式 |
小坂小・中学校の大会派遣費助成 | ・部活動やスポーツ少年団において、県大会以上の大会参加にかかる移動費や宿泊費を助成 | 公式 |
教材費助成 |
・教材にかかる費用を助成 |
公式 |
町塾(小坂鉱山の子未来塾)の運営 | ・学校以外で学習ができる場を用意 ・つまずきに対応する個別指導が中心 |
− |
▲子どもたちに絵本やお祝いの子育てキットをプレゼントしています
さらに、小坂町では、子どもたちがのびのびと走りまわれる自然豊かな環境が整っています。広々とした空間で子どもを育てたいと考えている方にとって、理想的な場所といえるでしょう。
魅力2:「秋田の探究型授業」で子どもの非認知能力を育む
近年の教育業界で「秋田型教育」が注目されていますが、小坂町でもこの教育方法が実践されています。
「秋田型教育」とは、従来の詰め込み式学習ではなく、児童生徒が共に疑問を共有し、その解決方法を探る「探求型授業」を指します。教師が一方的に講義するのではなく、子どもたちが積極的に発言する機会が多いのが特徴です。
この教育方法は、IQだけでなく、「コミュニケーション能力」「積極性」「粘り強さ」といった非認知能力の向上を重視しています。その結果、子どもたちが生き生きと学ぶ姿勢を育んでいます。
▲タブレットの画面を操作しながら学習課題を解決に向けて話し合う子どもたち
▲よりよい表現になるように生徒同士で意見を出し合う
さらに、小坂町では子どもたちの健康的な体づくりを支える学校給食にも力を入れています。その取り組みが評価され、「第17回全国学校給食甲子園」で「大村智特別賞」を受賞しました。この賞は、ノーベル生理学・医学賞受賞者の大村智氏にちなんだもので、優勝、準優勝に続く第3位に相当します。
※全国学校給食甲子園「2022年 第17回大会 決勝結果報告」
▲学校給食のテーマは「たらふく小坂給食」。創意工夫にあふれた献立と高い評価を受けた
▲あきたこまちを使った炊き込みごはんや桃豚が入った炒め物、町の花であるアカシアを使った蒸しケーキなど地元の食材をふんだんに使用
小坂町では、学校給食を通じて子どもたちの成長をサポートしながら、地産地消の観点から食育教育も実施しています。これも小坂町の教育の魅力の一つといえるでしょう。
教育に関心がある方、お子様に質の高い教育を受けさせたいとお考えの方は、ぜひ一度小坂町の学校を見学してみてはいかがでしょうか。
魅力3:十和田湖など美しい自然環境に囲まれた暮らし
▲新緑が美しい十和田湖
小坂町は、国立公園の十和田湖を有する美しい景色が自慢のまちです。十和田湖では、サイクリングやハイキング、遊覧船での湖上めぐり、キャンプなどの多彩なアクティビティが楽しめます。特に夏は涼しく過ごせる人気スポットとなっており、毎年恒例の十和田湖湖水祭りも開催されます。
家族連れでお弁当を持って週末に訪れたり、一人でゆっくりと散策を楽しんだりと、来訪者の目的に応じて様々な楽しみ方ができる魅力的な場所です。
▲小坂町は近代クリスマス発祥の地と言われている
さらに、小坂町には近代化産業遺産群が建ち並び、ヨーロッパの街並みを思わせる景観が広がっています。冬には、このレトロモダンな街並みに雪が積もり、幻想的な風景を作り出します。ぜひ一度、この美しい光景をご自身の目でお確かめください。
小坂町の生活環境:気候・医療・教育・交通の詳細情報
ここからは、実際に小坂町へ移住し生活する時に必要なデータを紹介していきます。
気候 | 1月の平均気温:-2.9°C 8月の平均気温:22.8°C ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 約4,600人(令和4年11月1日現在) |
病院 | 診療所1、歯科2 |
学校 | 保育所1、小中一貫校1、高校1 |
文化・芸術 | ・康楽館(国重要文化財) ・小坂鉱山事務所(国重要文化財) ・小坂鉄道レールパーク(国登録有形文化財) |
食べ物 | ・小坂七滝ワイン ・ぶどう ・十和田湖ひめます ・十和田湖高原ポーク ・小坂町かつらーめん ・アカシアはちみつ |
交通 | 【鉄道】 鉄道路線は町内に通っていない 【バス】 路線バス、コミュニティバス2路線、高速バス 【高速自動車国道】 東北自動車道:小坂IC、小坂PA、小坂JCT 秋田自動車道:小坂北IC-小坂JCT |
娯楽 | ・アカシア香る鉱山が遺した町並み「明治百年通り」 ・明治の芝居小屋「康楽館」 ・大自然が織りなす美しき国立公園「十和田湖」 ・発荷峠展望台(はっかとうげ) ・紫明亭展望台(しめいてい) ・十和田湖西湖畔遊歩道 ・十和田湖遊覧船 ・十和田湖畔温泉 |
近隣都市 | 秋田県:大館市、鹿角市 青森県:平川市、十和田市 |
美しい自然が自慢の小坂町ですが、冬は雪や寒さに備えた生活をする必要があります。
町内の商業施設は多くはありませんが、20分~30分車で走ると大館市や鹿角市にあるお店に行くことができます。スーパーやコンビニは町内にあるので、ちょっとした買い物は町内で済ませ、大きな買い物がある時は近隣都市まで足をのばすという人が多いです。
医療施設の少なさが心配な人もいると思いますが、緊急時には車で20~30分の距離にある大館市や鹿角市の病院まで搬送してもらえます。
また、小坂町には2本の花道を備えた伝統的な芝居小屋があります。休日にふらりと立ち寄り、芝居や音楽公演を見ながら過ごすこともできます。
▲明治から続く現役の芝居小屋「康楽館」
まちには明治時代に建築された近代化産業遺産が多く残っています。異国の香りが漂う風景に出合えるのも、小坂町の魅力のひとつです。
▲近代西洋建築の傑作とも言われている小坂鉱山事務所
さらに、町内で生産されたブドウを収穫してつくった「小坂ワイン」があります。近年「日本ワイン」という新たなジャンルで注目されています。ワインが苦手な方でも飲みやすく、和洋中どんな料理にも合うことが特徴です。
▲小坂町で生産した山ぶどうを使ったワインは飲みやすく絶品!
仕事情報:地域おこし協力隊や創業支援制度も充実
大手求人サイトで検索すると、小坂町には約170件の求人があります。近隣の大館市、鹿角市まで範囲を広げると約300件まで求人が増えるため、より多くの選択肢が欲しい方は、これらの近隣都市も含めて検討するとよいでしょう。
大館市や鹿角市までは車で30分ほどの距離にあり、通勤している人も多いとのことです。また、大館市、鹿角市から小坂町に仕事に来る人もおり、昼間には小坂町の人口が1,000〜1,500人ほど増加します。
町内にはサテライトオフィスや海外からの訪日客向けの企業が入居しています。さらに、大館市や鹿角市にはIT企業が入居したサテライトオフィスもあり、地域全体で多様な就業機会が提供されています。
地域おこし協力隊:小坂ワイン事業など特色ある活動
▲地域おこし協力隊が推進する小坂ワイン事業
移住後の仕事に迷っている方には、地域おこし協力隊として活動する選択肢もあります。2022年12月現在、協力隊員は小坂町の名産品である小坂ワインの醸造作業やブドウの栽培に携わっています。
小坂町は今後もブドウ事業に注力し、ワインを中心とした事業会社を設立する計画があります。これにより、ワイン販売者や管理者などの雇用機会を創出したいと考えているそうです。ワイン関連の仕事に興味のある方は、ぜひ注目してみてください。
小坂町のワイン事業と地域おこし協力隊についての詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。また、移住・定住コーディネーターとしての地域おこし協力隊員も募集しています。
創業チャレンジ支援事業:最大100万円の補助金制度
小坂町には、新しく事業を始めたいと考えている人向けに、最大100万円の補助金を交付する制度があります。さらに、従業員を雇用した際にも奨励金を受け取ることができるため、移住を機に起業にチャレンジしたいと考えている人の背中を押す心強い制度となっています。
「創業チャレンジ支援事業」の詳細について、以下の表にまとめましたのでご確認ください。
概要 | リンク | |
---|---|---|
創業チャレンジ支援事業 | ・町内で新たに事業を始める人に補助金を交付 ・事業の初期経費の50%相当額(上限100万円) ・事業開始後1年以内に新たに雇用された従業員1名につき 雇用奨励金を交付(上限100万円) |
公式 |
住まい情報:賃貸・空き家バンク・定住化促進住宅の選択肢
小坂町に住む場合は、賃貸住宅、空き家バンク、町営住宅の中から選択できます。賃貸住宅では、戸建てやアパートなど約13件ほどの空き室を確認できました。空き家バンクにもいくつかの物件があります。(2022年12月時点、縁結び大学調べ)
賃貸住宅や空き家の数は限られていますが、2023年3月には町内に定住化促進住宅が完成する予定です。申し込み状況次第ではありますが、移住後はまずこちらに住むことができる可能性があります。落ち着いてから、徐々に希望に合う家や土地を探していくのがよいでしょう。
住まいの最新情報を定期的にチェックすることをおすすめします。以下の公式サイトで最新情報を確認できます:
住宅取得支援制度:新築・中古住宅の補助金や税金減免
小坂町で家を建てる場合、様々な補助金や減免制度を活用できます。新築住宅では最大60万円、中古住宅を取得してリフォームする場合は最大80万円の補助金が交付されます。
さらに、空き家を取得する場合は、解体作業や片付けにかかる費用の一部を補助する制度も用意されています。
概要 | リンク | |
---|---|---|
移住定住促進奨励事業 | ・新築や中古住宅の取得、リフォームに対する補助金制度 ・新築:最大60万円 ・中古住宅リフォーム:最大80万円 |
公式 |
新築住宅固定資産税減免制度 | ・新築住宅の固定資産税が5年間免除される特例措置 | 公式 |
小坂町一般空き家解体事業 | ・空き家の解体費用の一部を助成 ・対象経費の10分の1以内で、上限15万円 |
公式 |
空き家片付け事業補助金 | ・空き家の片付けにかかる費用に対する補助金 ・上限10万円 |
公式 |
小坂町移住者の声:暮らしの良さと課題を率直に紹介
移住者が感じた小坂町の魅力:ゆったりとした田舎暮らし
まずは、小坂町へ移住してよかったことを紹介します。
- 都会と比べて、ゆったりとした田舎暮らしを楽しめる
- 人混みや満員電車などのストレスがない日常生活
都会では味わうことの難しい静けさや、身近に感じられる自然環境は、小坂町での生活における大きな魅力です。
昼夜を問わず人々が行き交う都会で落ち着かない思いをしていた方も、小坂町では心穏やかにゆったりとした時間を過ごすことができるでしょう。
移住者が直面した課題:冬の寒さや都会との距離感
次は小坂町へ移住して大変だったことを紹介します。
- 雪が多い、寒い
- 都会からは多少遠くなった
- 収入が減った
都会に比べると収入は減る可能性がありますが、実はその分出費も少なくなる傾向にあります。収入と支出の割合はほぼ変わりません。生活費が抑えられるため、多少収入が減っても大きな心配は不要でしょう。
都会からは距離が離れますが、高速道路を利用して30~40分のところに大館能代空港があります。羽田空港まで直行便が運航しており、自治体の運賃助成制度を活用して利用する方も多くいます。
雪対策については、住宅、車、個人の装備それぞれに万全の準備をすることで、多くの問題が解決できます。慣れるまでは大変ですが、地域の人々から冬を乗り越えるコツを学ぶことで、結果として地域との絆が深まるというメリットもあります。
小坂町への移住ステップ:体験ツアーから問い合わせ先まで
ここでは、秋田県小坂町への移住を検討する方に向けて、役立つ情報や問い合わせ先を紹介します。移住に関する支援制度や生活環境、地域の特徴などについて、具体的な情報をお伝えしていきます。
移住体験ツアー:小坂町の魅力を直接体感するチャンス
小坂町では、移住を検討している方々向けに移住体験ツアーを実施しています。このツアーでは、指定のコースや参加者のリクエストに応じて町内をめぐり、小坂町の魅力を直接体験することができます。
特に冬の生活環境が気になる方にとっては、移住前に体験ツアーに参加して実際の様子を確認することをおすすめします。
実際に町を訪れることで、地域の雰囲気や住民の方々の様子を肌で感じ、移住後の生活をより具体的にイメージすることができます。宿泊費や交通費の助成制度もあるため、興味のある方は気軽にツアーへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
概要 | リンク | |
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移住体験ツアー | ・小坂町への移住を検討している方を対象とした暮らし体験ツアー ・助成:1世帯当たり上限5万円、世帯員1人当たり上限2万円 ・町の担当職員と面談し、町内の施設を見学 ・スケジュールや宿泊施設は個別相談可能 |
公式 |
移住体験住宅:実際の暮らしを1か月3万円で体験
▲移住体験住宅で小坂町の魅力を体感しよう!
小坂町では、移住を考えている方のために、実際に町での暮らしを体験できる住宅を用意しています。
1か月3万円という手頃な料金で利用でき、通常の宿泊施設と比べてかなりコストを抑えられます。これは移住検討者にとって理想的な体験となるでしょう。生活に必要な家電は揃っているので、個人的に必要な物だけを持参すれば十分です。
ただし、住宅は清潔に保たれていますが、新築ではありません。新しい建物を希望する方は、町内のホテルを選択することもできます。こちらも助成対象となっていますので、ご自身の好みに合わせて選んでください。
利用を希望する場合は、まず役場の総務課に電話して日程を調整します。実際に町で生活し、買い物や住民との交流を通じて、小坂町の雰囲気を直接体感できるでしょう。
この体験住宅を利用することで、移住後のギャップを最小限に抑え、小坂町での新生活に満足できる可能性が高まります。
担当課 | 総務課 企画財政班(企画) |
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電話番号 | 0186-29-3907 |
料金 | ・1か月3万円、1か月に満たない場合は1日3千円 |
期間 | ・2日~6か月 |
リンク | https://www.town.kosaka.akita.jp/iju_teiju/1151.html |
移住相談窓口:経験者による親身なアドバイスも
移住に関する総合的な問い合わせ先を紹介します。小坂町に少しでも興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。
担当の方が移住経験者なので、実体験に基づいた具体的なアドバイスを受けられるかもしれません。
担当課 | 小坂町役場 総務課 企画財政班 |
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住所 | 〒017-0292 秋田県鹿角郡小坂町小坂字上谷地41-1 |
電話番号 | 0186-29-3907 |
移住・定住サイト | https://www.town.kosaka.akita.jp/index.html |