信仰の自由に関する国際報告書(2023年版)-日本に関する部分 - 在日米国大使館と領事館
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信仰の自由に関する国際報告書(2023年版)-日本に関する部分
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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

米国国務省
国際信仰の自由室

2024年6月26日発表

エグゼクティブ・サマリー

日本国憲法は、信仰(信教)の自由を規定し、宗教団体がいかなる政治上の権力であろうともこれを行使すること、あるいは国からの特権を受けることを禁止している。文化庁によると、政府の税制優遇を受ける法人格を有する宗教団体は約18万ある。

東京地裁は10月13日、旧統一教会として知られる世界平和統一家庭連合(家庭連合)に解散を命じるための文部科学省の請求を受理した。これまでは刑法に違反した場合にのみ宗教法人格の取り消しが命じられたのに対し、今回の解散命令請求は民法違反を理由とする点でこれまでの基準とは異なった。文部科学省は、同教会が1980年以来、宗教団体としての地位を利用し、公共の福祉を害し本来の目的から逸脱した献金や高額品の購入を会員に勧めたと主張し、組織的に民法に違反してきたことを認めたと、盛山正仁文部科学大臣は述べた。盛山大臣は、同教会の行為は法律上「著しく公共の福祉を害することが明らか」であり、法律に「規定された宗教団体の目的から著しく逸脱している」と文部科学省が法に照らして判断したものであり、同教会は法律上の解散命令請求に該当すると述べた。同教会は10月16日、文部科学省が提示した解散命令請求理由は法律に則っていないと応じた。

入手可能な最新の統計によると、法務省は2022年には信教の自由の侵害が5件あったと報告し(2021年も5件)、法的拘束力のない支援をさまざまな形で提供した。日本ウイグル協会とウイグル難民支援基金によると、中国政府とつながりのある複数の人物が、日本国内に住むウイグル人イスラム教徒への威嚇を続けた。日本ウイグル協会とウイグル難民支援基金は、日本政府は日本に住むウイグル人イスラム教徒の保護に対しておおむね意欲を見せ、この1年間1人も中国に退去させなかったと述べた。政府は、ビルマでの民族的・宗教的迫害への恐れを根拠に入国した400人~450人のイスラム教徒ロヒンギャ人の大多数と日本で生まれた者に対して、人道的な理由による特別在留許可を引き続き与えた。

家庭連合のメンバーは、2022年に安倍晋三元首相が暗殺されて以来、「偏った」あるいは「敵対的」とメンバーが表現するメディアの報道や、全国霊感商法対策弁護士連絡会からの圧力のために、自らの宗教を公然と示すことができないと述べた。家庭連合のメンバーはまた、市町村やイベント主催者が旧統一教会と関わりたくないという理由で、寄付の申し出を断わられ、地域の文化行事への参加を拒否された事例を報告した。

米国大使館および国務省職員は、政府機関や国会議員との面談を通じて、信仰の自由を制限する国々に対して声を上げる共通の価値観に基づいた共同の取り組みなど、国内外における信仰の自由を尊重するため米国と引き続き協力するよう政府に促した。日本宗教連盟をはじめ、宗教団体、少数派宗教団体の指導者、信仰の自由の擁護者との対話や会合にて、大使館職員は米国が信仰の自由の尊重を優先事項としている点を強調し、このような団体が直面する問題について議論し、いくつかの団体に対しては日本政府へ働きかける取り組みについて助言を行った。

第1節 宗教統計

米国政府は、日本の総人口を1億2370万人と推計している(2023年中ごろの推計)。入手可能な最新の文化庁統計によると、各宗教団体の信者数は、2021年12月31日時点で合計1億7900万人であった。この数字は日本の総人口よりも大幅に多い。専門家によると、この数字は日本国民の多くが複数の宗教を信仰していることや、「信者」の定義や信者数の算出方法が宗教団体ごとに異なることを反映しているという。例えば、仏教徒が神道など他の宗教の宗教的儀式や行事に参加するのは一般的なことであり、逆もまた同様である。宗教的帰属で見ると、神道の信者数が8720万人(48.6%)、仏教が8320万人(46.4%)、キリスト教が190万人(1.1%)、その他の宗教団体の信者710万人(4%)である。「その他」の宗教および未登録の宗教団体には、イスラム教、バハーイー教、ヒンズー教、およびユダヤ教が含まれる。家庭連合の公式発表によれば、国内の信者数は56万人(人口の約0.45%)である。9月22日の記者会見で、家庭連合の勅使河原秀行教会改革推進本部本部長は、国内には現在も活発に活動する信者が10万人近くいると述べた(人口の約0.08%)。

移民、難民、外国人労働者と緊密に接触するNGOによると、彼らは、仏教、イスラム教、キリスト教など、さまざまな宗教を実践している。ムスリム・コミュニティーに関する専門家である早稲田大学の店田廣文名誉教授の推計によると、2020年時点で日本にいるイスラム教徒の数は約23万人で、この中には約4万7000人の日本人が含まれている。在日ビルマロヒンギャ協会によると、日本のイスラム教徒ロヒンギャ人の人口は430人で、ほとんどが東京都の北に位置する群馬県に住んでおり、一部は埼玉県、千葉県、東京都、名古屋市に居住する。米国を拠点とする非営利団体「ウイグル人権プロジェクト」は、日本国内に2000人〜3000人のウイグル人ムスリムがいると推定している。ウイグル難民支援基金は、ウイグル人イスラム教徒のほとんどが、東京、東京近郊の千葉、埼玉、神奈川県、あるいは西日本の関西地域に居住していると述べた。ウイグル難民支援基金と日本ウイグル協会は、日本にいるウイグル人イスラム教徒の約800人が日本に帰化したと推計している。米国ユダヤ人協会の代表によると、ユダヤ教徒の総数は2000人~4000人である。

第2節 政府による信仰の自由の尊重の現状

法的枠組み

日本国憲法は、信教の自由を規定し、国に宗教教育やその他いかなる宗教的活動もしてはならないと義務付け、いかなる宗教的行事にも人を強制して参加させてはいけないとしているほか、いかなる宗教団体の使用、利益、維持のために公金やその他の財産を支出・充当することを禁止している。宗教団体が政治上の権力を行使することも、国からの特権を受けることも許していない。政府の解釈によると、憲法は、個人とその個人が属する宗教団体が法的に別個の存在であり、かつ個人が公職にある期間に宗教の代表者として活動しなければ、宗教団体が支援する政治団体に属する個人が国政に関わる公職に就くことを認めている。宗教団体はまた、政治家への働きかけや運動、また公の場で政治的意見を表明することが認められている。憲法は、国民は憲法が保障する自由と権利を濫用してはならず、これらの自由と権利を公共の福祉のために利用する責任を負うと定めている。

法は、(宗教団体いかんによらず)団体が「不当な」寄付を勧誘することおよび寄付の資金を調達するために不動産やその他の資産を担保とするよう寄付者へ要求することを防止する。法は、寄付金の回収や契約の解除を認めることで、このような団体によって経済的な損害を受けた個人やその家族へ救済を提供する。法は、移動の自由の制限や家族や外部団体との協議の妨害により団体が「不当」な手段で寄付を募ることを禁じている。違反が繰り返された場合、法律により1年以下の懲役、1000万円(7万1000ドル)以下の罰金、またはその両方が科される。法はまた、個人やその家族が寄付金の返還を受けたり、不当とみなされた契約を取り消したりできる期間を5年から10年に延長する。

法は宗教団体の登録または認証申請を義務づけてはいないが、政府から法人格の認証を受けた宗教団体から、団体の運営維持費の一部に利用される寄付金および喜捨金にかかる所得税納付を免除している。法は、法人格を申請する宗教団体に対し、当該団体が物理的な礼拝施設を備えており、教義を広め、宗教的儀式行事を行い、信者を教化育成することが主たる目的であると証明することを義務付けている。申請者は、宗教団体としての3年間の活動記録、信者と宗教教師の一覧表、宗教団体の規則、財産管理についての意思決定方法に関する情報、過去3年間の収支計算書、そして財産目録を、書面により提出しなければならない。法により、法人格を申請する宗教団体の所轄庁はそれぞれが所在する都道府県の知事であり、宗教団体は都道府県庁に対して登録を行わなければならないと規定されている。例外として、複数の都道府県に事務所を持つ団体は文部科学省に対して登録を行う。申請者が法人格の認証を受ける宗教団体としての法的定義を満たしていると文部科学大臣あるいは都道府県知事が確認した後、申請者はその目的、主要人員、財務状況に関する管理規則を作成することが法で義務付けられている。申請者が宗教法人になるのは、文部科学大臣または知事が法人格の申請を認可し、申請者がその後登録手続きを行った場合のみである。

法により、認証された宗教法人には、資産、収入、支出を政府に開示することが義務付けられている。法はまた、営利活動に関する規定に違反している疑いがある場合に調査を行う権限を政府に与えている。宗教法人がこうした規定に違反した場合、当局は当該法人の営利活動を最長1年間停止する権限を持つ。

政府は宗教法人法に規定されている「質問権」に基づき、違法行為あるいは公共の福祉を明らかに害すると見られる行為を行ったと疑われる宗教法人を調査することができる。裁判所は、宗教法人がこのような行為を行ったと発見した場合、宗教法人に対して解散命令を出すことができ、その結果として、法人格と税制上の優遇措置を取り消すことができる。解散後に宗教団体が法人格のない団体として宗教活動を継続することを法は妨げていない。

法により、刑事収容施設において被収容者が1人あるいは集団で行う礼拝および宗教的儀式は、禁止されてはならないと規定されている。法務省は、受刑者が刑務所内でさまざまな宗教のボランティア教誨師と面会できるようにしている。

法により、国および地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育やその他宗教的活動をしてはならないと規定されている。私立学校は特定の宗教を教えることが許されている。また、宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養および宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならないと定められている。公立および私立学校は、文部科学省の基準に沿って教育課程を編成しなければならない。こうした基準は、中学生および高校生に対して一般的な宗教教育を行う場合、学校は慎重に配慮すべきと定める法に基づいている。

労働組合法は、何人も宗教によって労働組合員の資格を奪われないと定めている。

日本は、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の締約国である。

政府による実践

東京地裁は10月13日、法定用語の「解散請求」を命じるため、家庭連合の法人格取り消しを命じるための文部科学省が提出した請求を正式に受理した。盛山文部科学大臣は10月12日、この請求は旧統一教会活動に関する質問への回答と、全国霊感商法対策弁護士連絡会が行った、教会によって金銭的被害を受けたとされる170人への聞き取り調査に基づいていると述べた。大臣は、旧統一教会が1980年以降自由な意思決定を妨げた状況で相当数の信者に献金および高額な品の購入を勧める形で多額の金を集めることにより組織的に民法上の不法行為を続けていたことを文部科学省は認めたと述べた。さらに、旧統一教会が法人組織としてこれらの行為を行い、信者とその家族に甚大な経済的・精神的損害を与えたと同大臣は述べ、旧統一教会が169人の原告に22億円(1550万ドル)の損害賠償金を支払った32件の民事訴訟と、さらに1550人の被害者が関与した総額204億円(1億4420万ドル)の訴訟上の和解および訴訟外の示談を挙げた。そして、文部科学省の判断では、同教会の行為は法律上の「公共の福祉を著しく害するものであることが明らかであり」、教義を広め、宗教的儀式行事を行い、信者を教化育成するという法律上「規定された宗教団体の目的から著しく逸脱している」ため、同教会が法定の解散条件を満たしていると同大臣は述べた。岸田文雄首相は10月12日、文部科学省の解散請求は「法律に基づいた客観的事実」によると述べた。

これは、民法上の不法行為を理由とした政府による初の宗教法人解散請求であった。岸田首相は2022年の国会で、政府はこれまで刑法違反が宗教法人解散請求の前提条件だと解釈していたと述べた。この解釈は、刑法に違反して大量殺人を目的に化学物質サリンを組織的に製造したことでオウム真理教に解散を命じた1996年の判決に基づいていた。岸田首相は、さらに議論を重ねた結果、政府は個別事案に応じて解散を請求すべきと判断したと述べた。その結果、宗教法人の行為が組織的、悪質、継続的であると認められれば、民法違反を解散請求の前提条件に含めることは可能であると政府は解釈した。盛山文部科学大臣は、文部科学省は家庭連合の行為が組織的、悪質かつ継続的であると判断し、宗教と法律の専門家で構成される文部科学省審議会で全会一致の了承を得られたため、解散請求を提出したと発表した。

家庭連合は10月16日、文部科学省が提示した解散請求の理由は法律に則っていないと述べ、解散に反対する声明を発表した。旧統一教会側の弁護士は、どのような法律に違反したかを解散命令請求は明示していないと批判し、旧統一教会側は法廷で争うと述べた。11月7日、田中富広日本家庭連合会長は、旧統一教会に恨みを持つ男が2022年に安倍晋三元首相を暗殺し、旧統一教会への調査再開のきっかけとなって以来、教会トップによる初の公式謝罪を行った。記者会見で田中会長は、旧統一教会は「信教の自由と法の支配の観点」に基づいて、政府による解散命令請求に抵抗していくことを確認した。

国会は12月13日、非課税対象からの除外が裁判所の審判対象となった宗教法人に対して損害賠償を求める被害者を金銭的に支援し、指定宗教法人には不動産処分の1カ月前までの政府への通知と四半期ごとの財産目録提出を求める法律を成立させた。法案は家庭連合を明示してはいなかったが、文部科学省や都道府県知事が法人格を持つ宗教団体の信仰に干渉することを認めていると解釈されるべきでないという条項が含まれていた。

国際的な人権活動家グループは7月3日、「日本はなぜ統一教会・家庭連合に対して信教の自由を保障すべきなのか:日本政府に対する意見書」を発表した。同グループは、少数派の宗教に対する魔女狩りのような行為をやめるよう求めた。

国際弁護士の中山達樹氏は9月発行の小冊子で、岸田首相率いる日本政府は1951年の宗教法人法に従っておらず、「政治的に行動している」ように見えると述べた。中山氏は、宗教団体が解散させられたのは他に2団体だけであり、いずれも指導者が有罪判決を受けた後であり、いくつかの団体は有罪判決後も存続していると指摘した。

家庭連合およびエホバの証人の一部メンバーの子どもたちは、2022年に国会で行われた聞き取りにおいて、未成年(メンバーの子どもや10代の者)に礼拝参加を強要したことにより、家庭連合とエホバの証人は信教の自由を侵害したと述べた。エホバの証人の関係者は、同教会のメンバーは子どもたちに対して信仰を強制しておらず、「偏った」報道は、元信者の不正確で歪曲された主張に基づく固定観念を広めていると述べた。

ウイグル人イスラム教徒は、中国政府とつながりのある複数の人物が、新疆ウイグル自治区、特にカシュガル地区に在住するウイグル人親族を監視し、親族の安全性の危険を示唆することで、日本に住むウイグル人イスラム教徒を威嚇しようとしたと引き続き報告した。ウイグル難民支援基金のイリハム・マハムティ代表理事は、中国による威嚇により、日本に住む多くのウイグル人イスラム教徒は新疆に住む家族との連絡が妨げられていると述べた。同氏は、日本政府は引き続き、日本に住むウイグル人イスラム教徒の保護に対しておおむね意欲を見せ、中国に国外退去させたウイグル人イスラム教徒はこの1年間いなかったと述べた。

10月30日~31日、日本ウイグル国会議員連盟(JUPC)と日本の国会議員連盟は、世界ウイグル会議ならびに日本ウイグル協会と協力し、第2回国際ウイグルフォーラムを開催した。北米、欧州、台湾を含むアジア太平洋地域から、議員、市民社会メンバー、中国による弾圧を生き延びたウイグル人サバイバーら150人以上が、信仰の自由と宗教的少数派の保護を世界的に推進する上での課題や、新疆ウイグル自治区や中国の他地域で起きている人権侵害に対する国際的対応、そして地域の平和と安全保障に対する脅威について協議した。

日本法輪大法学会会長によると、日本国内の中国総領事館はこの1年間に、COVID-19の影響で中断していた神韻芸術団(法輪大法の公演団)の日本公演再開を妨害しようとした。中国総領事館は12月、ある劇場に法輪功を中傷する書簡を送り、神韻芸術団の公演に会場を提供するのを再考するよう要請した。この書簡について通報を受けた警察は、同劇場での公演への妨害を防ぐため警備を行った。目に見える妨害はなかった。日本法輪大法学会会長は、地方自治体当局は、日本法輪大法学会が東京(4月)と横浜(5月)、大阪ならびに京都(いずれも7月)で行った法輪功学習者に対する中国政府による抑圧に反対するデモ行進を引き続き許可したと述べた。

法務省人権擁護局は昨年、引き続き外国語人権相談ダイヤルを、日本語、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語で運用した。法務省は5月、同省の人権機関が2022年(入手可能な最新の統計)に、信仰の自由が侵犯された可能性が「極めて高いもの」として5件を確認したと報告した。2021年も5件であった。同省は5件全てについて、当事者間の仲裁を行う、人権侵害者と思われる対象に素行を改めるよう要求する、あるいは人権侵害の申立人が法的助言を得られるよう所管当局へ紹介するなど、潜在的被害者に対する支援を行なった。しかし、同省によるこれらの措置には法的拘束力はなかった。

文化庁によると、最新の統計が入手可能な2021年末時点で、国および都道府県は17万9952団体を、法人格を持つ宗教団体として認証した。2020年末時点では、18万544団体であった。その数の多さには、宗教団体の多くの地方組織が個別に登録しているという事実が反映されていた。政府は要件を満たした宗教団体に対しておおむね法人格を認定した。

NGOは、低い難民申請認定率につながった1951年の国連難民条約とその議定書の政府の解釈について、引き続き懸念を表明した。

報道によると、出入国在留管理庁は引き続き、イスラム教徒の被収容者にハラル食を提供していない。しかし、名古屋収容施設近辺の地元店では、ハラル食品を販売していた。

第3節 社会による信仰の自由の尊重の現状

日本法輪大法学会会長によると、この1年間、在日中国人でYouTubeのコンテンツ制作者である王志安氏は、自身のYouTubeチャンネルで法輪功学習者を標準中国語で攻撃した。同会長は、法輪大法本部の調査によると、ジャーナリストを自称する王氏は、法輪功の信用を公に失墜させることと引き換えに、中国共産党から資金援助を受けていた可能性があると述べた。

家庭連合のメンバーは、2022年に安倍元首相が暗殺されて以来、「偏った」あるいは「敵対的」とメンバーが表現するメディアの報道や、全国霊感商法対策弁護士連絡会からの圧力のために、自らの宗教を公然と示すことができないと述べた。メンバーは、敬遠されることを懸念して旧統一教会との関りを示すことを恐れていると述べ、ある市町村の職員が教会と関わりたくないという理由で旧統一教会からの寄付の申し出を断わり、ある別の市町村が少なくとも1つの地域文化行事に信者1人が参加するのを拒否した事例を挙げた。複数のメンバーは、もし裁判所が旧統一教会の「解散」や法人格の剥奪を決定すれば、世間はこの決定を旧統一教会が「悪」であることの裏付けと見なす可能性があり、信仰の表明をますます躊躇するようになると懸念を表した。旧統一教会解散の決定が下された場合、旧統一教会は控訴する意向を示しており、その手続きには数年かかる可能性があると旧統一教会は予想している。

イスラム教徒のコミュニティーは、日本社会はイスラム教に対しておおむね寛容だと述べた。報道機関は、遺体を埋葬するというイスラム教の伝統で土壌や水が汚染されるのではないかと地元住民が懸念を表明し(日本では99.9%が火葬)、近隣にイスラム教の墓地ができることに難色を示している地域が特に西日本にいくつかあると報じた。イスラム教の埋葬を受け入れている7カ所の墓地のほとんどは東日本にあった。しかし、毎日新聞は5月11日、日出町の地元住民と別府ムスリム協会は、同協会が町有地4900平方メートルに79区画のイスラム教墓地を設置することに合意したと報じた。完成すれば、日本南西部の九州地方では初のイスラム墓地となる。

米国ユダヤ人協会の代表は、日本はユダヤ教を大いに受け入れていると述べたが、ユダヤ人コミュニティーは、ユダヤ人を議題とするマスメディアの報道や反ユダヤ主義的な内容を含む可能性のある出版物を注視し警戒していると付け加えた。東京のイスラエル大使館前の交差点とその周辺は、10月7日にハマスがイスラエルへのテロ攻撃を行った後に抗議デモが行われた場所であり、警視庁は周辺地域の警備を強化した。11月16日、関口忍容疑者の運転する車両が、大使館に通じる道路に面した交差点に設置された臨時バリケードを突破し、歩道沿いのフェンスに衝突、現場にいた日本人警察官を負傷させた。右翼団体に所属していることを政府が確認した関口容疑者は、公務執行妨害容疑で逮捕された。在京の米国ユダヤ人協会代表によると、今回の事件は日本国内のユダヤ人一般にではなくイスラエル大使館に向けられたものであり、日本国民を代表するわけではない一個人による単発的な行動であるとユダヤ人コミュニティーは考えていると述べた。しかし、同代表は、ほとんどのユダヤ人はこの事件をイスラエルだけでなく、全ユダヤ人に対する攻撃と見なしていると述べた。

第4節 米国政府の政策および関与

米国大使館および国務省職員は、政府職員および国会議員との面談や省庁間会合を通じて、共通の価値観に基づき信仰の自由を制限する国々に対して声を上げる共同の取り組みなど、国内外における信仰の自由を尊重するため米国と引き続き協力するよう政府に促した。米国大使館および他の米国政府職員は、中国および他地域出身のイスラム教徒や、その他集団の信仰の自由を害する中国の活動に抵抗するため、米国と引き続き協力するよう政府に促した。

米国大使館は、家庭連合およびエホバの証人日本支部に関する諸問題に注視し、国会議員、政府規制当局、両教会の活動により影響を受ける者、そして両教会代表者との連絡を維持し、あらゆる事案において信仰の自由の重要性を強調した。

米国大使館は、米国務省が現在行っている新疆に関するキャンペーンを支援し、信仰の自由と宗教的少数派の世界的な保護を促進する日本国内での継続的な取り組みを奨励するため、ウイグルの指導者やサバイバーとの一連の取り組みを実施した。10月30日から11月1日にかけて米国大使館は、国際ウイグルフォーラムとの協力により、米国際宗教自由委員会(USCIRF)の訪日を支援した。同大使館の高官がフォーラムで開会の辞を述べ、USCIRFのリーダーやフォーラム主催者との討論会を主催し、このイベントに関する投稿をソーシャルメディアに行った。

駐日米国大使は12月7日、ユダヤ人コミュニティーや外交コミュニティーのメンバー、政府関係者、国会議員を招いてハヌカ・レセプションを開催し、平和の文化を推進するため、宗教間および文化間の対話を強化・促進する米政府の取り組みを改めて確認した。

米国大使館は、家庭連合およびエホバの証人日本支部に関する諸問題に注視し、国会議員、政府規制当局、両教会の活動により影響を受ける者、そして両教会代表者との連絡を維持し、あらゆる事案において信仰の自由の重要性を強調した。

日本宗教連盟をはじめ、宗教団体指導者やイスラム教徒のロヒンギャ人やウイグル人、ユダヤ教および法輪功など少数派宗教団体の指導者および信仰の自由の擁護者との対話や会合において、大使館職員は米国が信仰の自由の尊重を優先事項としている点を強調し、このような団体が直面する問題について議論し、いくつかの団体に対しては、日本政府および地方自治体へ働きかける取り組みについて助言を行った。