豪中銀、「必要なら」再度利下げの用意=議事要旨
7月16日、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が公表した7月会合の議事要旨では、雇用や賃金の伸びを支援するため、中銀が「必要であれば」再び利下げを行う用意があることが明らかになった。写真はシドニーのRBA本店前で2016年10月に撮影(2019年 ロイター/David Gray)
[シドニー 16日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が16日に公表した7月会合の議事要旨では、雇用や賃金の伸びを支援するため、中銀が「必要であれば」再び利下げを行う用意があることが明らかになった。
中銀は、7月の政策会合で政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の1.00%とすることを決定した。[nL4N24319Y]
議事要旨は「より低い金利は国民のためにさらなる雇用を生み出し、インフレ目標に向けたより確実な進展を後押しする」と指摘。「理事会は引き続き労働市場の状況を注視し、経済の持続可能な成長とインフレ目標の達成を支援するため、必要なら金融政策を調整する」と説明した。
豪経済成長率は、不動産市場の長期低迷と軟調な家計消費を背景に、金融危機以来の低水準となっている。
金融市場は、年末までに追加利下げがあり政策金利は0.75%になるとの見方を織り込んでいる。7月2日の政策会合前に行われたロイター調査によると、エコノミストは11月に3度目の利下げがあると予想している。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミスト、カイシン・オウヨン氏は、「追加利下げの時期について明確なシグナルはない。われわれは引き続き11月に25bpの引き下げがあると見込んでおり、労働市場とインフレの状況次第では前倒しされるリスクもある」と述べた。
<財政出動なければ中銀に圧力>
中銀理事会は「緩和的な」金融政策、堅調な需要、資源セクターの回復、輸出の拡大が今後数年の景気回復に寄与することを期待している。福祉政策やインフラ事業における公共投資が第1・四半期の経済成長を押し上げたと指摘した。
中銀のロウ総裁は一段の財政刺激策の実施を呼び掛けてきた。ただ、モリソン首相は今のところ財政刺激策の必要性は低いとの立場で、2019/20年度に財政黒字化を果たすとの目標を堅持している。
つまり「RBAが引き続き責任を負わされる可能性がある」とロイヤル・バンク・オブ・ カナダ(RBC)のエコノミスト、スリン・オン氏は指摘。同氏は2020年までにオフィシャルキャッシュレートが0.5%まで低下すると予想する。
議事要旨では、理事会が小売り業界のインフレと、外資とオンライン事業者の参入による今後の競争激化の影響について議論したことが明らかになった。「理事会メンバーは、小売り業界の調整が長引き、ここ数年インフレ率に下方圧力を加えていると指摘した」という。
小売り指標は、4─6月期に裁量支出が依然軟調なことを示しているとした。
理事会は、豪ドルは利下げにより低水準を維持し、経済を支援すると判断。家計やビジネスの借り入れコストの低下にもつながるとみている。
ただ、6月以降の2度の利下げにも関わらず豪ドルは5カ月半ぶり安値の0.6829米ドルから0.7040米ドル近辺に上昇している。議事要旨の発表後に豪ドルはやや軟化し、0.7030米ドルをつけた。豪ドルの最近の上昇は、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに着手し、他の主要中銀も続くとの観測が背景となっている。
こうしたことを踏まえると、豪中銀は、好ましくない豪ドル相場の上昇を抑制するため追加緩和を迫られる可能性がある。
世界経済については、貿易摩擦の影響などを取りあげ、弱気な見通しを示した。
*内容を追加しました。
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