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Inter BEE 2023のBlackmagic Designブースの様子

ブース面積は12.5%拡大

Blackmagic Designは11月8日、「Inter BEE 2024」同社ブースの出展内容について説明をした。同社、岡野太郎氏によるプレゼンテーションの内容を紹介する。

Blackmagic Designは毎年Inter BEEに出展し、ブースの壁一面やフロアに製品を並べた展示を通例としている。今年のブースデザインも例年と同じで、位置は展示ホール8、小間番号は8409。今年も展示会場壁沿いのソニーとNHKの間にブースを構える。

昨年はブースに想定以上の来場者が集まったうえに、今年の展示製品は例年よりも増えている。そこで今年はブースの広さを12.5%拡大して、よりたくさんの方にゆっくり見ていただけるように改善したという。

URSA Cine 17K 65を国内初展示

見どころは国内初展示の新製品だ。今回もInter BEEで初めて見られる新製品を多数展示する。その中でも最大の目玉は、「URSA Cine 17K 65」の国内初展示だ。

Blackmagic Design、「Inter BEE 2024」の出展概要を公開説明画像

「URSA Cine 12K」は2024年9月より国内でも出荷開始中だが、その上位機種が登場する。「URSA Cine 17K 65+EVF」の価格は税込4,948,000円で、年内の出荷開始予定。稼働する状態でカメラコーナーに展示される予定だ。

センサーは自社開発で、これまでと同じ特許技術を使用。17Kで撮っても4Kで撮っても同じセンサーエリアで撮ることが可能。Blackmagic RAW形式で、クロッピングせずにスケーリングして撮れるセンサーを搭載する。

センサーサイズは50×23mmで、ピクセル数は17,520ピクセル×8,040ピクセル。これまで聞いたことのないスペックを実現したイメージセンサーを搭載する。これだけハイスペックを実現しながら、17K、8K、4K、どれでも撮れる。自身のワークフローに沿って解像度を選ぶことが可能。65mmのカメラシステムはARRIから発売されているが、数も少なく高価なものが多いのが現状だ。そのようなシネマ業界の中に、突如65mmのシステムをBlackmagicが出してきたのは驚きである。

レンズマウントは65mmのセンサーサイズをカバーする必要があるため、これまでのURSAシリーズとは少し対応が違う。LPLレンズマウントと呼ばれるPLレンズマウントの新しい規格にも対応するほか、Hasselblad Hシステムの中判スチルカメラのレンズマウントにも対応する。シネマカメラには主に「スーパー35」と「フルサイズ」のフォーマットが主流だが、それよりも大きいサイズのフォーマットが登場してきたのは、実に興味深い。

VR業界から大注目の「URSA Cine Immersive」をモック展示

URSA Cineシリーズの兄弟機となる「URSA Cine Immersive」の初展示も大注目だ。Appleの「Apple Vision Pro」のデバイスに特化した、Appleとの協力で実現したカメラである。URSA Cine Immersiveはデュアルレンズのカメラを搭載する。後部のカメラ部分はURSA Cine 17K 65と同じ17Kセンサーを搭載し、前部はBlackmagic自社開発製によるレンズを搭載した構成となる。

実機のリリースはまだ時間のかかる予定で、モック展示となる。URSA Cine ImmersiveはVR業界やXR業界を含めてかなり高い注目を浴びているという。価格は17Kの約500万円に対して、約600万円から700万円を予定している。

Blackmagic CameraアプリのiPhone版とAndroid版を展示

もう1つのカメラ関係の注目は、Blackmagic Cameraアプリの展示だ。昨年のInter BEEでも展示を行ったiPhoneをBlackmagicのカメラと同じ形で使えるアプリ。従来はiPhoneのみの対応だったが、Android版を待望する声も高く、2024年6月にGoogle PixelやSamsung Galaxy、また市場でリクエストの多かったソニーのXperiaにも対応した。細かく手動で操作できるほか、Blackmagic Cloudへプロキシをアップロードするクラウドワークフローにも対応する。料金は無料で、誰でも利用可能だ。

さらに展示コーナーでは、各社リグとの組み合わせを紹介する。フォローフォーカスやレンズなどを組み合わせた本格的な撮影システムを実現できることを紹介する予定だ。

放送局から話題の「DaVinci Resolve Replay」を大々的に展示

「DaVinci Resolve Replay」もかなり力を入れて展示を予定している。スローリプレイ、ハイライト作成で使用できる放送局向けのソリューションで、まさにInter BEE来場者向けの製品である。

IP系の初展示も多数予定している。一番の注目は10Gスイッチの「Blackmagic Ethernet Switch 360P」の初展示だ。360Pを使うことで、放送局で使われているSMPTE-2110のIPを簡単に作ることが可能。IT系やIP系に詳しくない方でも従来のビデオハブと同じような感覚でコントロールができるのを特徴としている。

360Pの注目される点は、16ポート10Gと100Gのポートを2つ搭載しながら、454,800円の価格を実現している点だ。名称の「360」はポート数の合計で、「P」はパネル付きを意味している。正面にパネルを搭載して、そこで切り替えが可能。SMPTE-2110のNMOSコントローラーを実現しながら50万円以下の価格を実現してきている点も話題だ。こちらも国内初公開する。

また、SMPTE-2110系では、コンバーター製品を2024年4月のNABで発表したものの、まだリリースされていないものが多数ある。まだ未発売の「Blackmagic 2110 IP Presentation Converter」「Blackmagic 2110 IP Converter 4×12G PWR」「Blackmagic 2110 IP Converter 8×12G SFP」を展示予定だ。

Blackmagic Video Assist 12G HDRと他社との連携を展示

また、他社との連携として、ソニーとの連携を展示する予定だ。IBC 2024で発表されて、ソニーからも先日対応が発表されたモニターレコーダーの「Blackmagic Video Assist 12G HDR」がソニーのカメラに順次対応する。

ソニーは、Video Assistを使用したBlackmagic RAW録画を「FX3」で実現するアップデートを2025年9月以降に提供すると発表。BlackmagicはFX6、FX9でのBlackmagic RAW収録に対応するVideo Assistレコーダーのアップデート時期については、2024年12月から2025年1月の予定としている(ソニーは「FX6」Version 6.0を2026年2月以降に提供予定としている)。ブースでは、ベータ版の段階でのFX6やFX9とBlackmagic Video Assistを組み合わせて収録できる様子を公開する予定だ。

多彩なゲストによるDaVinci Resolveシアターコーナー

今年もデモンストレーションシアターを毎日実施する。今年も著名なゲストの登壇を予定している。

IMAGICAとArtone Film全面協力による、「IMAGICAスペシャルデー」と「Artoneスペシャルデー」を、Inter BEE会期の2日目と3日目に行う。IMAGICAとArtone Filmのカラーリスト中心で、1時間ごとに登壇して講演を行う。Netflixの「地面師たち」や映画「違国日記」など、実際のコンテンツを使いつつ講演を行う。これらの著名なコンテンツはオフラインの機会でないと許可が降りないものがほとんどで、講演は注目だ。

それ以外にもアニメ「LUPIN ZERO」での編集、「KIRINJI 25th ANNIVERSARY LIVE」、白組のVFXアーティスト三宅氏による「Fusion &3D」の解説などを予定している。また、Intercepto田巻源太氏によるドラマ「À Table!〜ノスタルジックな休日~」のオフライン編集でDaVinci Resolveを使った事例を紹介する。

2つのアフターイベント開催

今回もInter BEEの期間外のイベントも予定している。毎年恒例のDaVinci Resolveのユーザーミーティングを2024年11月13日(水)18:00よりブラックマジックデザインブースにて行う。DaVinci Resolve のプロジェクトマネージャーであるピーター・チャンバレン氏とDaVinci Resolveの技術部門のトップであるロヒート・グプタ氏を招待して、DaVinci Resolveのフィロソフィーを聞ける予定。YouTube配信はなく、現場でしか聞けない話になる。

2日目は「Blackmagic URSA Cine Night」を2024年11月14日(木)18:00よりブラックマジックデザインブースにて行う。Inter BEEで国内初公開となるURSA Cine 17K 65を映画、コマーシャル系の制作会社、放送局、レンタル会社の方々を集めて実際に見られるイベントになる。

Blackmagic本社からカメラの開発責任者が来て、登壇を予定。カメラの意図などの解説を予定している。DaVinci Resolveでの17Kの扱いなどの紹介もある予定だ。また、URSA Cine Immersiveの話も少し予定しており、どのように対応していくのかという話も行う予定だ。こちらは招待制のイベントとしている。

今年のBlackmagic Designブースは、URSA Cine 17K、URSA Cine Immersive、Blackmagic Replay、Blackmagic Ethernet Switch 360P、SMPTE-2110のIPが一通りすべて揃う見応えのある展示が期待できそうだ。気になる製品があれば、ぜひブースで実機を体験してみてほしい。