SHOWROOM TYO|ドクターマーチン公式オンラインショップ|Dr. Martens
POGGYの審美眼。 POGGYの審美眼。
VOICE.02
MOTOFUMI
“POGGY”
KOGI
2Gファッションキュレーター

POGGYの審美眼。

2000年代の中盤よりトラッドやモードのファッションに果敢にストリートのエッセンスを持ち込んでいた小木”POGGY”基史。ストリートとモードの融合やハイエンドなストリートファッションを日本で最も敏感に捉え、発信していたのは紛れもなく彼だろう。ファッションの世界で当たり前となったストリートとモードという関係性を語る上で欠かせないDr. Martensの存在とは。

裏原宿が原体験。

誰かがマーチン履いてたからじゃなくて、音楽をやるんだったらマーチンを履く。

小木が一番初めにストリートファッションを意識したのは、高校生の頃だった。「先輩の影響でファッション誌を読むようになってから、藤原ヒロシさんやNIGO®さんが出ているページをくまなく見て、どんどん裏原宿のカルチャーにのめり込んでいきました。それと同時に、ブルーハーツやビースティ・ボーイズ、セックス・ピストルズのカバーバンドみたいなことをやっていたのですが、そこには音楽をやるんだったらマーチンを履くみたいな意識があって。誰かが履いてたからというよりは、何の違和感もなく自然と手に取っていました」。そうして、初めて小木が手に入れたDr. Martensがブラックの2976 チェルシーブーツだった。

必ずカルチャーと紐づいてたのが、Dr. Martensだった。

話は高校卒業後へと続く。「その後、ファッションの専門学校に行くのですが、自分には洋服を作ることは向いてないんだなと諦めて、卒業してからはアルバイトをしていました。そしたら高校時代の友達がユナイテッドアローズの有楽町店でアルバイトをしていて空きがあると教えてくれて。面接を受けに東京に来て、無事働くことになります。思えば専門学生のとき、お金がなかったので、古着屋で買ったコム・デ・ギャルソンのシャツにどうしても太いパンツを合わせたくて、寅壱のパンツにDr. Martensの8ホールを合わせてました。それからも、セレクトショップで働いてた先輩の履き方や、スーツにサドルシューズを合わせたスタイリスト大久保篤志さんのアメトラスタイルに影響を受けたりと、定期的にマーチン熱が出てきて履いています」。

裏原宿が原体験。

2016年。当時、UNITED ARROWS & SONSのディレクターを務めていた小木は、Dr. Martensとのコラボレーション(ビットローファー)を手がけている。「初めて本社に行って、膨大なアーカイブを見せていただきながら、ベースとなるモデルや素材を決めいったのですが、あらためて愛すべきブランドだなと感じました。元々、足を怪我したひとの歩行を楽にしようと、クッション性の高いAirWairソールが生まれ、ワークシューズとして活躍してきたブーツがその年代ごとのミュージシャンやアーティストたちに愛されて、いい血液循環が生まれている。僕が若いときみたいにそういうこと知らなくても音楽やるんだったらDr. Martensでしょ!みたいな感覚が今でもあるっていうのは、本当に素晴らしいことだと思います」。

Dr. Martensには一貫してブレない軸がある。

それって、ものとして本物であるからこそ、いろんなカルチャーが紐づいている証だと思うんです。

イギリスと日本。もちろん人種も違えば文化的背景も異なる。何度も現地を訪れている小木は、その違いをこう話す。「自分たちだと、どうしてもファッション的な目線で見がちですけど、イギリス人は日本より自国のものに対して強いプライドを持っている感覚があります。以前、A-COLD-WALL*のデザイナーであるサミュエルと話したときにも、自分は労働者階級の中で何ができるか、それをどうやったら少しでも変えられるのかってことを言っていて、早くからそういった意識が自然に生まれるんだなって感じました。つまり、彼がDr. Martensとコラボレーションしているのは、もっとロンドンという地元を盛り上げたいから、そしてもっと深いところで繋がっているからだと思うんです。学ぶ部分は多いですよ」。

“メイド イン イングランド” という「プライド」を持ってものづくりしている。だからこそ、強く惹かれるんです。

学生時代からイギリスのカルチャーに影響を受けてきた小木。その魅力を紐解くと、節々に出てくるキーワードが「品」だった。「パンクの父であり、ヒップホップシーンにも影響を与えた、マルコム・マクラーレンのトラッドなスーツを着崩した独自のスタイルだったり、クラッシュの後のビッグ・オーディオ・ダイナマイトのときのミック・ジョーンズがシャツにステューシーのバケットハット合わせていたり、カジュアルスタイルになっても、どこか上品なんですよね。今でもサヴィル・ロウみたいな、杖をついたおじいちゃんがスーツを仕立てにくるストリートがあるかと思えば、ダルストンとかショーディッチの方に行くとストリートカルチャーがあったり、街全体の対極の感じが面白いし、その両極があるからこそDr. Martensの存在があるのだと思います。このSHOWROOM TYOも、内装がM&Mさんだったり、随所に日本が世界に誇るカルチャーが詰まっている。いろんなジャンルを巻き込んで新たなムーブメントが起こることを期待したいですね」。

SHOWROOM TYOは、品の良さとストリートカルチャーが混在している場所。

PROFILE

小木“Poggy”基史(Motofumi “POGGY” Kogi)
2G Fashion Curator

小木 “POGGY” 基史 1976年、北海道生まれ。ファッション・キュレーター。1977年からセレクトショップにてファッションのキャリアをスタート。スーツなどのクラシックなファッションとストリートファッションをミックスさせた独自のスタイルが注目を集める。2018年に独立し自身の会社を設立後、2019年よりリニューアルした渋谷PARCO内にスタジオ2Gをオープンし、ファッションキュレーターを務めている。2015、2016、2019、2020年とHYPEBEASTが選ぶ世界の100人「HB100」にも選出されている。

Instagram:@poggytheman