
1.看護助手とは
看護助手は看護補助者/ナースエイドとも呼ばれ、病院やクリニック、介護施設などにおいて看護師のサポートをおこないます。厚生労働省の資料では、看護助手(看護補助者)の役割を以下のように定義しています。
看護助手は、看護師や准看護師のように資格をもたなくても働けるため、看護学生や主婦など幅広い年齢層が医療現場で活躍しています。
2.看護助手の仕事内容
2-1.おもな仕事内容
看護助手の仕事内容は、配属される診療科や病院・施設などによって異なりますが、基本的には「患者さんのケア・看護師のサポート」です。
ただ、資格をもつ看護師や准看護師のように、注射や採血などの医療行為はできません。ここでは、看護助手の代表的な業務について確認していきましょう。
■身の回りのお世話
食事介助、配膳下膳、排泄介助、オムツ交換、ベッド移乗、入浴介助、清拭(せいしき=タオルで身体を拭くこと)、着替えのサポートなど
■環境整備
ベッドメイキング、シーツの交換・洗濯、浴室の準備・清掃、病室・診察室の清掃など
■移送
検査室・リハビリ室への移送・付添いなど
■その他
カルテ整理、備品管理、医療器具の消毒・滅菌、検体の移送など
病院によっては入浴介助や食事介助、オムツ交換は看護師がおこない、病状が問題ないと判断した場合に看護助手にお願いしたり、小さなクリニックや診療所では、受付業務を兼任したりする場合もあるようです。看護助手の仕事を探す際には、具体的にどのような業務をおこなうのか、求人の内容をよく確認しておきましょう。
2-2.夜勤や土日出勤はしないといけない?
看護助手は看護師と同様に、以下3つの勤務形態で働く方が多く、土日に決まって休みをとることは難しい場合が多いです。それぞれの勤務形態について見ていきましょう。
三交代制:日勤・準夜勤・深夜勤の交代勤務。日勤8時30分~17時/準夜勤16時30分〜1時/深夜勤24時30分~翌9時などの例が多い。準夜勤は施設によって13時台や14時台、15時台からはじまるところもある
シフト制:早出・日勤・遅出・準夜勤・夜勤・深夜勤・半休など、施設によって異なる
そのため、家庭を優先させて日勤・平日のみ働きたいという人には、外来病棟専任やクリニックの看護助手の求人がおすすめです。
外来病棟の仕事内容としては、患者さんを診察室へ案内したり、他の病棟の医師・看護師に伝票やカルテを届けたりすることがメインになります。
▼看護助手の働き方についてはこちらの記事もご覧ください
2-3.配属先・診療科による違いはある?
総合病院にはさまざまな診療科があり、配属先によって看護助手がメインにおこなう業務が異なります。それぞれの特徴を見てみましょう。
■外来
通院してくる患者さんが処置を受けるための環境整備がメイン。基本業務のなかでは、ストレッチャーや車いすの搬送、器具の補填や整理、ユニットの洗浄作業、検体搬送などをおこなう。身体介助はおこなわない。
(ジョブメドレーの求人例)
職種:外来看護アシスタント
仕事内容:大学病院内の外来診療科にて看護アシスタント(メッセンジャー、患者さまの移送、 器具の準備・殺菌・滅菌、薬剤の移送など)
給与:【契約職員】月給158,100円〜
勤務時間:8:00~16:30/8:30~17:00/8:00~13:00/8:30~13:30
その他:未経験可。日勤のみ可(応相談)
■病棟
内科、外科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、産婦人科、眼科、泌尿器科、放射線科、救急科・救命救急センター、リハビリテーション科、精神科・心療内科などで勤務する。看護師のサポートや入院する患者さんの身の回りのお世話がメイン。産婦人科では出産したばかりの乳児のお世話が必要になったり、精神科では気持ちが不安定な患者さんのケアが必要になったりと、診療科ごとに臨機応変な対応が求められる。
▼各診療科の概要についてはこちらの記事もご覧ください
看護師の仕事内容・働ける施設・国家試験・年収などについて調査しました!
(ジョブメドレーの求人例)
職種:病棟ケアワーカー(看護助手)
仕事内容:病棟での看護補助業務
診療科目:一般内科、一般外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、麻酔科、急性期病棟、回復期病棟
給与:【正職員】月給 200,000円 〜 230,000円
勤務時間:シフト制 8:45~17:15/7:45~16:15/9:30~18:00/16:15~翌9:15(当直)
その他:シフト相談可。土日出勤あり
■手術室
手術で使った医療器具の洗浄・管理、手術室や手術台の清掃などをおこなう。
(ジョブメドレーの求人例)
職種:手術室看護助手
仕事内容:手術室の業務(医療器具の洗浄、消毒、管理など)
給与:【パート・バイト】時給 1,000円〜1,050円
勤務時間:8:45~17:30
その他:未経験可。育児支援あり
■内視鏡室
内視鏡や内視鏡資材の洗浄・管理、ベッドメイキングなどをおこなう。
(ジョブメドレーの求人例)
職種:内視鏡室看護助手
仕事内容:内視鏡洗浄業務、内視鏡スコープの整備と管理、院内諸業務(検体搬送、検体準備など) 、内視鏡備品管理、その他看護助手業務
給与:【正職員】月給 185,933円 〜 279,266円
勤務時間:シフト制 8:30~17:30/9:00~18:00
その他:未経験可。日勤のみ可(応相談)
■中央材料室
治療や手術などで使った医療器具の洗浄・滅菌、パッキングなどをおこなう。
(ジョブメドレーの求人例)
職種:中央材料室スタッフ(看護助手)
仕事内容:手術器械の洗浄(器械および手洗い) 、手術器械メンテナンス 、器械セット組み 、手術器械の包装、他付随業務(メッセンジャー業務、物品の補充など)
給与:【正職員】月給 150,000円 〜 175,000円
勤務時間:日勤 8:30~17:00/遅出 12:30~21:00
その他:未経験可。病院での勤務経験あれば尚よし
3.看護助手になるには
「看護助手」には法的に定められた国家資格は存在せず、あくまでも職種としての名称になります。なので、求人ごとの応募条件を満たせば無資格でも看護助手になることができます。
最近では看護助手の知識や仕事に関して認定をおこなう資格試験を受験・合格してから応募する方もいるようです。以下は代表的な認定制度の一例です。
■看護助手実務能力認定試験(全国医療福祉教育協会)
看護助手が医療施設で即戦力として活躍するための知識・技能を客観的に判断する。試験は年2回実施。
■メディカルケアワーカー検定試験(医療福祉情報実務能力協会)
看護補助、福祉介護業務に従事する看護助手職として求められる能力を有すことを証明する。試験は年3回実施。
また、患者さんの食事・入浴・排泄介助など、身の回りのお世話をおこなうことから、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」などの資格を持っていると実際の現場で役に立ったり、転職時に優遇されることがあるようです。
4.看護助手の給料
厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護助手の月収・年間賞与・年収は以下の通りです。
月収 |
年間賞与 |
年収 |
---|---|---|
22万2,500円 |
51万3,600円 |
318万3,600円 |
また、2024年12月時点でジョブメドレーに掲載中の看護助手求人の平均給料は以下の通りとなりました。この平均には時間外手当など毎月変動する給与は含まれていないので、各種手当が追加されることを考えると、平均の支給額はそれ以上となりそうです。
下限平均 |
上限平均 |
総平均 |
|
---|---|---|---|
パート・アルバイトの時給 |
1,134円 |
1,245円 |
1,188円 |
正職員の月給 |
18万7,441円 |
22万4,721円 |
20万4,167円 |
正職員の年収* |
262万4,174円 |
314万6,094円 |
285万8,338円 |
5.看護助手のやりがい
看護助手は看護師のサポートと患者さんの身の回りのお世話がメインの仕事となるため、診察や治療、手術が円滑に進むように準備ができたり、献身的な介助によって患者さんとそのご家族から感謝の言葉をもらえることで、やりがいを感じられる職種だといえるでしょう。
一方、手術室や内視鏡室、中央材料室などの職場では患者さんと接する機会があまりなく、備品や医療器具の管理、清掃などがメインの仕事となります。
人によってはルーティンで退屈な仕事に感じることがあるかもしれませんが、以前インタビューをした看護助手のAさんは自身の仕事について以下のように語ってくれました。
ー デイサービスのヘルパーと病院の看護助手で、業務内容は変わりました?
全く違いますね。配属される科にもよるとは思うんですが、私は今「中央資材室」という部署で働いています。
業務内容としては、治療や手術などで使った医療器具の洗浄・滅菌・パッキングがメインです。そこで働いているのは私1人なので、たまに寂しくなりますが患者さんを相手にするわけではないので気楽に楽しんでます。
ーたまに耳にするんですが、看護師と看護助手の間で隔たりや派閥みたいなものってあるんですか?
転職したての頃は病棟勤務だったんですが、看護師さんが怖くて質問とかもできなかったですね。3年くらい前に「中央資材室」に配属になったので、今はどうなんでしょうかね。
ー今の職場で転職したいなと思ったことは?
ないですね。ただ、再び病棟配属を打診されたら転職も考えるかもしれません。
▼介護職から看護助手へ転職したAさんのインタビューはこちら
【転職者インタビューvol.28】看護助手5年43歳/転職3回(看護助手→専業主婦→介護職→看護助手)
ご紹介したAさんのように、患者さんと接する機会がないことを寂しく思う一方で、職場の人間関係の面から裏方の仕事を好む人もいるようです。必ずしも希望がとおるとは限りませんが、配属先・診療科ごとの仕事の違いを理解して、自分に合いそうな求人を選ぶと入職後のギャップが少なくなると思います。
6.最後に
今回は看護助手について紹介しました。看護助手の業務内容は幅広く、肉体的・精神的にハードな面があるにもかかわらず、同じ医療現場で働く看護師と比べて給料は決して高いとはいえないのが現状です。
しかしながら、未経験・無資格でも応募できる求人が多いため、幅広い年代の人がチャレンジしやすい職種であるといえます。また、現場で学んだ医療の知識や介助経験は、人材の需要が増加している介護系の資格取得にも役立つでしょう。
実際に、介護福祉士の資格取得ルートの1つ(介護等の実務経験3年+実務者研修が必要)では、実務経験として見なされる範囲に看護補助者の職種がふくまれます。(詳細は社会福祉振興・試験センターのHPを参照)
ジョブメドレーでは、看護助手の求人をご用意しています。「未経験可」「正社員登用あり」など、さまざまな条件で絞り込んで探すことができますので、就職・転職をお考えの場合はぜひご覧ください。
<看護助手の転職体験談もチェック!!>
