「恋する母たち」は"◯◯ドラマ"? 「恋する母たち」【小虎・りょう】
国内ドラマ 連載コラム
2024.09.25
![よしもと<br>ドラマ部](https://jmagazine.myjcom.jp/column/uploads/_1__9863b.jpg)
よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
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よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
<プロフィール>
りょう(小虎)
1995年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。NSC東京校24期生。2019年に福井祐樹ともに小虎を結成。学生時代からのドラマ好きが高じて、「よしもとドラマ部」の一員としても活躍中。
何一つ経験のない自分が安全圏からこの文章を書かせてもらう。放送当時、このドラマは"不倫のドラマ"だと思っていた。
"不倫のドラマ"を見て感情移入するところなんて、本来は一つもないはず。
なぜなら自分は結婚を考えた相手など28年間の人生で1人も居たことがないし、もちろん結婚したこともない。人妻に恋をしたことも"遊んだ"ことも一度もないので"不倫のドラマ"を見て感情移入するところなんて、本来は自分には一つもないはずだ。
・主要な登場人物全員が不倫をしている。
・不倫は相手がいないと出来ない。
・つまり主要じゃない登場人物も不倫をしている。
ここまできたら"不倫のドラマ"だ。でも「恋する母たち」は"恋愛ドラマ"だった。
・子持ちの母親が夫以外の相手と不貞行為を働いている。
・男性側も子持ちの母親であることを知りながら不貞行為を働いている。
でも「恋する母たち」は紛れもない"恋愛ドラマ"だと自分は思う。
『夫がいて、子供がいて、好きな男もいて。』
このドラマの広告文。実にわかりやすい。
主要な登場人物は、石渡杏(木村佳乃)、林優子(吉田羊)、蒲原まり(仲里依紗)、斉木巧(小泉孝太郎)、赤坂剛(磯村勇斗)、今昔亭丸太郎(阿部サダヲ)。この6人が"恋に落ちる"。
なんなら相手もいるのでこの登場人物以外も"不倫に陥る"。"恋に落ちる"と"不倫に陥る"では何が違うのか。このドラマにおいて"恋に落ちる"と"不倫に陥る"の明確な違いは、描かれている「悪質さ」だと思う。
子供のため、仕事のため、自分の芯を貫くため、何かしらの正義が描かれていると、物事は美化される。上記の6人には"正義"が描かれている。他の不倫は欲に溺れているだけの描写が多々みられる。その明確な違いも「恋する母たち」の魅力だと思う。
僕の1番好きな"正義"は今昔亭丸太郎(阿部サダヲ)の恋だ。人妻・蒲原まり(仲里依紗)を強引に口説いているのになぜだろう。男らしいからか?3枚目と2枚目を丁寧に使い分けているからか?おしゃれな口説き文句をサラッと発せるからか?違う、結ばれることは無くても、恋した相手の人生丸ごと責任を取る覚悟を見せているからだと思う。
100年にひとりの逸材と呼ばれる天才落語家と3人の子供と夫のいる人妻の恋。男が憧れる全ての要素を嫌味なく出している今昔亭丸太郎の恋をぜひ見ていただきたい。大石静さんがあてた、今昔亭丸太郎のせりふは全て脳に刻んで良いと思います。ぜひ皆さんもお気に入りのせりふを脳に刻んでください。
ちなみに、こんな楽しみ方も出来ます。阿部サダヲさんが落語家の役を演じていて、相手役が仲里依紗さんで。TBSドラマ好きの人間の自分のどこを刺激するつもりだ!と思うところもある。磯村勇斗さんと吉田羊さんまでいる!どこを刺激するつもりだ!もしかしたらこのドラマ、"不適切にもほどがある!"のかもしれない。この話はまたどこかで。
自分の周りの現実がこうだったらとても嫌だというリアル(現実)
石渡杏(木村佳乃)が斉木巧(小泉孝太郎)と恋に落ちていっている描写がとても"不快"なのだ。子持ちの母親が恋をしていてイチャイチャしている様に、自分の母親を1人の女性として見た場合の不快な部分が描かれている。
母親だって1人の女性だ。恋はする。そこに何かある訳ではない。ただ、もしも自分の母親がこうだったら確実に軽蔑してしまう。絶対に嫌だ。そんな気持ちがズンとくる描写がある。息子に恋の相談をしている部分、相手への執着心、相手への嫉妬心、これが全面的に出ていて、とても不快だ。
こんな感情にさせてくれるのは木村佳乃さんの「ポップ」と「痛切」の演じ分け、「恋する女性」と「恋する母」の演じ分けが素晴らし過ぎるからだ。この部分を含めた上で、見る最終回がたまらないのだ。石渡杏は幸せなのか。登場人物全員が幸せなのか。不幸せなのか。見た人各々が感じて、判断するべきの最高のトゥルーエンドが待っています。
まとめ
別に不倫が美化されている訳ではない。
不倫を全肯定している訳でもなければ、不倫が文化だとかどうのこうの言うつもりもない。でも「恋する母たち」は"恋愛ドラマ"なのだ。
世間のイメージである【不倫=ダメなこと】を覆す必要はないと思う。
ただこのドラマを見てる時、自分は「あぁ、こんなこと女性に言ってみたいな」とか「こういう人を好きになれたらいいな」と"恋愛ドラマ"特有の"キュン"を感じたので、自分の中で「恋する母たち」は"恋愛ドラマ"なのだ。
最悪の成り行きか、最高の成り行きか、皆さんで見てください。