ziomの日記

『海に眠るダイヤモンド』ドラマ評

(2024-12-24) (正カナ)

 久々にドラマ評を書く。みんな、主人公の荒木鉄平とヒロインの朝子との恋愛に関心が行くと思ふし、私も当然そこがキモとは思ふが、主人公の母・ハルの行方が気になった。
 ハルは鉄平も含めて3男2女と5人の子供をまうけてゐる。その中で、長男は戦場でなくなり、長女・次女は戦争の空襲でなくなった。戦後に残ったのは次男の進平と三男の鉄平で、進平には妻のリナと息子の誠がゐる。その後、進平は炭鉱事故でなくなり、旦那の一平も鉱夫の職業病でなくなってしまふ。残された息子の鉄平はリナとその息子の誠と駆け落ちしたと噂され、ハルは孤独になり、住み慣れた島を去り、郷里に帰ってしまふ。

 普通の視聴者はそこで関心を失ひ、孤独な老女・ハルの余生など興味がないかもしれない。

 でも、脚本家は、私のやうな視聴者にも答へを見せてくれた。鉄平とリナがハルのもとを訪れ、結果的にハルとリナと誠が親子三代 郷里でつつましく暮らすことになった。なほ、鉄平はリナと駆け落ちしたのではなく、進平・リナ夫婦とヤクザとのトラブルを肩代りすることで逃亡生活を送ることになった。ハルは当然その事情も知ってゐる。
 ドラマの展開でハルの孫・誠は妻子がゐることが分かってゐる。ハルが曽孫の顔を見るまで存命だったかは分からないが、少なくとも堅気で成長する孫・誠の姿を見守る余生を送れたので救はれた気分がする。