「にほんの詩集」シリーズで刊行された「中島みゆき詩集」の中で(いちいち確認してはいないが)これまでこのブログで触れていない詩について書いていこうと思うシリーズ。
詩集では前から40番目になる。
この曲は1991年「夜会VOL.3 KAN-TAN」オリジナル曲で、その後、1993年のアルバム「EAST ASIA」に収録されている。
この頃の「夜会」は既に発表している楽曲を組み合わせている中に、オリジナル曲が入っている編成だった。
「夜会VOL.3 KAN-TAN」の物語は、年末のパーティの帰り道から始まる。やっと拾ったタクシーに乗っているわずかな時間で見た夢。幼女から老婆になるまでを「不思議の国のアリス」などのイメージと重ねながら描いている。
「萩野原」はオリジナル曲だけに、ある夢の場面と目を覚ました時の様子を描いている。
ある少年の夢で、今はその人と接点がなく、目を覚ますと「知らぬ人の腕の中で泣いて」いる女性のつぶやきのような詞だ。
女性としているのは「夜会」の主人公がそうだから。
萩の花は紫と思っていたが、白いものもあるそうだ。
河原に多く生えているそうなので、この萩野原は川の近くなのかもしれない。
萩の花の名所はあるようだが、広く分布しているので場所の特定はできない。
ただ、東京にある大悲願寺は白萩の名所で、「境内に咲く白萩は美しく、伊達政宗公が大悲願寺を訪れた際に、見事に咲いている白萩を見て、その時は欲しいと言い出しかね、後日わざわざ「分けて欲しい」と言ってきたという「白萩文書」が保管されて」いる。
また、萩の花は、万葉集で最も多く歌われている花だそうだ。
少女時代に一緒の時間を過ごしていた少年とは、その時だけにしか思い出がなく、今の自分はその時の自分ではなくなっているけれど、夢ではあの時にまだ戻れている。
自分がいずれこの世を去った時に、その場に居られるかと嘆いているのは、古風ではある。
誰しも「この少年」のような存在がいるのではないだろうか。