Pendo.ioは、2013年に米国ノースカロライナ州ローリーで設立された企業。ソフトウェアのユーザー体験を向上させるプラットフォームを提供している。共同創業者で最高経営責任者(CEO)のTodd Olson(トッド・オルソン)氏は、同社を創業した理由について、「ソフトウェア製品のユーザー体験を向上させる必要性を強く感じたからだ」と話す。
同氏は、過去にソフトウェア企業に勤めていた際、ユーザーがどのように製品を使用しているかを把握できず、その結果、製品の改善が難しいという課題に直面していた。この経験から、ユーザーの行動やフィードバックを収集し、製品の改善に役立てるためのプラットフォームを作ることを決意した。
Pendoは、ソフトウェアやアプリケーションの使用状況を分析し、ユーザー体験を向上させるためのデータを提供することを目的としている。具体的には、ユーザーがアプリやウェブサイトをどのように使っているかを追跡し、分析するプロダクトアナリティクス、ユーザーがアプリを効果的に利用できるようにインタラクティブなガイドやメッセージを提供するアプリ内ガイド、ユーザーからのフィードバックを収集し、製品改善に役立てるためのフィードバック収集、ユーザーの感情や意見を把握するためのセンチメント分析などの機能を備えている。
「ソフトウェアは過去20年で安く早く開発できるようになり、新機能を迅速に提供できるようになった。しかし、現在の課題はユーザーがそのソフトウェアを使いこなせるかどうかである。ソフトウェア開発者がフラストレーションを感じるのは、せっかく開発してリリースしたソフトウェアが、ユーザーに全く使われていないと分かった時だ。ユーザーの利用率を最大限に高めるために何ができるかを検討し、Pendoを立ち上げた」(Olson氏)
例えば、ユーザーはアプリケーションのどの部分が難しくて使えていないのか、そしてどこで離脱してしまっているのかを確認し、その問題を解決するために必要なアドバイスやツールを提供する。それによって、ソフトウェアの使用率や採用率を高めていく。
プロダクト(製品)そのものが顧客の獲得や維持、拡大を主導するソフトウェア事業戦略は「Product-Led Growth」(PLG)と呼ばれ、特にSaaS業界で広く採用されている。Pendoは、PLG戦略を支援するためのツールとして位置付けられている。
「PLGが優れている理由は、ソフトウェアを効果的かつ効率的に使うための証明された方法だからだ」とOlson氏。「われわれが目指すのは、全てがデジタルで完結し、プロダクトを使うだけでソフトウェアを最大限に活用できる状態を作ることだ」
同氏はまた、「PLGの基本はシンプルだ。ユーザーがソフトウェアを使用する際には多様な期待やニーズがあり、そのソフトウェアがそれらに応えているかどうかを確認することにある」と語った。
「PLGで成功するためには、失敗を恐れずに実験を行うことが不可欠だ。実験には成功と失敗が伴うため、その結果を受け入れることが重要になる。フィードバックは貴重な贈り物であるというのが私の信念だ。フィードバックは失敗から学ぶ機会を提供し、自動化や効率化を追求する過程でさまざまな手法を試し、その中には失敗も含まれるという前提を価値あるものとして受け入れるべきだと考えている」(Olson氏)