出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
老 (ろう)
- 年をとること。また、年寄り。
- 1937年、李孝石「蕎麦の花の頃」[1]
- 半生を共にしてきた驢馬だった。一つ宿に寝、同じ月を浴び、市から市をてくり廻っているうち、二十年の歳月がめっきり老を齎らしてしまった。
- 1954年、佐藤春夫「人さまざまの苦労の話」[2]
- 老がもし醜ならば、少も壮も、人間はすべて醜であらう。青春や壮年だけが美のやうに思ふのは通俗で幼稚極る観念である。
- 律令制で、61歳から65歳までの者の呼称。老丁。
老 (ろう)
- 自分より年をとった人の名に付けて敬称として用いる。
- 1944-45年、海野十三「海野十三敗戦日記」[3]
- 今日関東配電の鈴木老が、電灯線不通の状況を見に来てくれた。高階さんの向こうのところでポールやトランスが焼け、柱が燃え折れているので、やっぱり当分通電はむずかしいらしい。
- 1951年、坂口安吾「悲しい新風」[4]
- 河盛先生の結論として、自分は法廷で理非を明かにするだけの決意をもっている。したがって、佐藤老よ、貴下の回答は重要なる証言になるものであるから慎重に答えてもらいたい、という挑戦の仕方は昔の文士の気がつかなかった新手法だろうと思うが、どんなものであろうか。
- 1955年、山本周五郎「花も刀も」[5]
- 「なにかあったんだな」と、幹太郎は呟いた、「富原老は確信ありげだった、証人を同伴する必要もないと云った、たしかに、そう云うだけの根拠があったに相違ない」
老 (ろう)
- 職業などの人間の属性を表す名詞に付いて「老いた~」「高齢の~」の意味を添える。
- 1936年、南部修太郎「死の接吻」[6]
- 雇女であります。一名は老家政婦のカロリナ・ヘルウ、一名は若い小間使のエツバ・ハム、どうぞあちらで御見分願ひます。
- 1939年、小川未明「少女と老兵士」[7]
- 老兵士も、みんなといっしょに、この歌に耳を傾けていましたが、汲み尽くせない悲しみが、胸の底から、新らしくこみ上げてくるのを覚えました。
- 1949年、宮本百合子「今日の日本の文化問題」[8]
- 永井荷風は、フランス文学の流れにたち、一九〇〇年代初頭の日本の半封建的な社会的空気に反撥しつつ、彼の抗議をデカダンスと孤独の中にとかしこんでしまった老作家である。
字典掲載
康熙字典 |
960ページ, 25文字目 |
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版) |
28842 |
新潮日本語漢字辞典 (2008) |
9390 |
角川大字源 (1992) |
7743 |
講談社新大字典 (1993) |
12853 |
大漢語林 (1992) |
9059 |
三星漢韓大辞典 (1988) |
1407ページ, 8文字目 |
漢語大字典 (1986-1989) |
4巻, 2778ページ, 1文字目 |