中谷防衛大臣、沖縄出張に伴う臨時会見(1月22日)|Jディフェンスニュース(自衛隊・防衛省のニュース)

日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

中谷防衛大臣、沖縄出張に伴う臨時会見(1月22日)

  • 日本の防衛

2025-1-27 11:30

 令和7年1月22日(水)16時43分~17時00分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、出張先の沖縄県・与那国町役場において臨時会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

沖縄出張の成果報告

大臣 :今回、大臣就任後、初めて八重山の諸島を視察する機会を得ました。私としても、就任後できるだけ早くですね、現地を訪問したかったわけでありますし、また、非常に今、安全保障環境、戦後最も厳しく、そして複雑な状況にありまして、これは八重山諸島においてはですね、同様の状況でありますので、この与那国島諸島も含めまして、この地域の周辺の海空域においても、周辺の情勢がですね、非常に活発化しているということでございまして、本日ようやく視察をしまして、現場の隊員の状況や地域の情勢を伺うことができました。
 そして、昨日は石垣駐屯地、本日は与那国駐屯地の部隊視察を行いまして、この実情というものを把握することができました。24時間365日、一瞬の隙もなく、非常に緊張を強いられながらですね、非常に真剣に状況を監視を続けておられる隊員の仕事ぶりを見ましてですね、非常に崇高な任務に取り組む現場の隊員を直に激励ができたということは、大変有意義であったというふうに思います。
 また、昨日、竹富町の役場を訪問しまして、山城副町長から国民保護措置としての住民避難にかかるですね、取組について説明を受けました。実に綿密にですね、詳細にわたって計画をされておられまして、非常に国境離島における強い危機意識、これを感じました。非常に熱心で、現実的な検討が進んでいると印象を受けたわけでございます。そして本日は、竹富島と波照間島にまいりまして、島外避難の拠点となる空港並びに港湾の現場の確認をしてまいりました。国民保護においては、防衛省・自衛隊が果たすべき役割は非常に大きくてですね、沖縄県の国民保護共同訓練、これをはじめ政府や県が実施する各種訓練を通じまして、自治体との連携、これを一層強化をしていくということは極めて重要であると認識を新たにしました。そして、引き続き自治体の皆様と調整をしまして、声をまずよく聞くこと、そして地域の住民の安全・安心を確保するための取組を、具体的にですね、進めていくということが大切だなと思いました。
 先ほどは、この与那国町の糸数町長にお会いしまして、与那国島に駐屯地を開設して9年が経過をしようとしております。町民の皆様には、我が自衛隊の部隊を大変温かくですね、受け入れをいただいておりまして、そのことに感謝を申し上げるとともに、町長からいただいている様々な御要望を聞かせていただきましたので、これからしっかり取り組んでいこうということをお約束をさせていただきました。
 今回の訪問を通じまして、私は、まず、国民の生命と財産、これと我が国の領土・領海・領空、これを守り抜かなければならない、その思いを強くしたところであります。そして、強固な防衛体制を支えるのは、隊員一人ひとりの努力でありまして、いかなる場所においても、隊員一人ひとりが、この名誉と誇りをもってですね、そして安んじて、先ほど訓示をさせていただきましたけれども、自信と誇りと楽しさ、仕事の中に、そういうものも持ちながらですね、国防という極めて崇高な任務に専念できるようなですね、環境を整えていく必要があると感じました。
 そして最後に、地元の御協力を得るということは必要不可欠でありまして、引き続き地域社会との連携をより一層緊密にしていく所存でございます。今後とも、機会あるごとに現場、そして部隊に赴きまして、隊員や地元の皆様の声をですね、直接耳を傾けていくということを通じまして、我が国の国防に対して万全を期したいというふうに考えております。

質疑応答

軍事活動を活発化する中国への対応について

記者 :2点質問させていただきます。改めて2日間にわたる視察の感想と、中でも与那国駐屯地は台湾有事の際に最前線の離島部隊となりますが、軍事的活動をますます活発化させる中国を前に、今後どのように維持・強化していくか、お考えをお聞かせください。

大臣 :とにかく今回の視察におきましては、与那国島、石垣島というですね、最前線で国防の任を担う隊員と直接話をし、またその仕事ぶりを見させていただきましたけれども、非常に心強く思いました。彼らがいるから、この国の防衛が成り立っていると、非常に内容的にもですね、非常に難しくて専門的な事柄でありまして、これは日頃からやはり、しっかり訓練をし、勉強をしておかないとできない仕事であると思いましたが、きちんとそれをですね、こなしている姿を見まして、今後とも防衛力の抜本的な強化、これの実現に向けて決意を新たにしたということでございます。
 それから、今、この情勢が非常に急激に変わってきておりますので、特に、南西地域の防衛体制の強化、これは喫緊の課題でありまして、先ほど申しましたけれども、今から9年前の3月にですね、私はこの部隊の開所式に赴いて隊旗を授与した立場でありますが、非常にそれが活かされてきていると、そして、それまで空白だったんですね、この地域と沖縄本島までが。
 それが、空白が一つ一つ埋まってきたということでございますので、非常に部隊配備がスムーズに行うことができましたが、問題はこれからでありますので、こういった地域をより強靱化できるようにですね、努めると同時に、先ほど申し上げましたけれども、与那国駐屯地には防空を担う地対空誘導弾部隊、これを配備する計画でありますので、必要な施設整備を、引き続きしっかりと行ってまいりたいと、そして今後とも、島民の皆様の平和な暮らしを守るためにもですね、日々の訓練を積み重ねていくことによって、抑止力と対処力、これを向上させていきたいというふうに思っております。
 その上で、自衛隊が職務専心、邁進するためにはですね、地元の皆さんの理解と協力、これが得ることが不可欠でありまして、今回の視察を通じまして、本当に町民の皆さん、そしてこの役場の職員の方もそうでありますけれども、平素から部隊を温かくですね、御支援をしていただいているということを見まして、非常に感謝を申し上げる機会を得ました。今後も、糸数町長をはじめとする与那国町の皆様と緊密に連携しながら、丁寧な説明、また適切な情報提供を実施するとともに、町の様々な取組に対して最大限の協力、これも行っていきたいというふうに思いました。

有事の際の住民避難について

記者 :もう1点お尋ねします。有事の際の住民避難についてお尋ねします。シェルターの設置や避難計画の策定などの進捗状況と今後の課題について、大臣のお考えをお聞かせください。また、波照間島を含む竹富町内各島の住民らは船舶や飛行機で石垣島へ移動、その後福岡空港に向かうことが想定されていますが、実効性や課題についてどうお考えか教えてください。

大臣 :有事に際しては、まず住民の方々の安全ということで、それをしっかり確保するためにはですね、我が国に対する武力攻撃に十分先立って、攻撃される前に、住民の迅速な避難を実現するということが、何よりも重要であります。
 特に、沖縄県の離島の住民避難につきましては、島外に避難しなければなりませんので、この輸送手段、その制約という特有の困難等があることから、これは何といっても、国が積極的に支援をしなければならないということであります。
 このため、政府としては、沖縄県・先島5市町村・九州各県・山口県と連携をしまして、図上訓練を通じた離島地域から避難手順の確認・具体化、そして避難先地域における受入れ態勢の検討を進めるということで、住民避難を迅速に行うための取組を着実に進めているところであります。
 昨日は、そういう意味で、竹富町からですね、この同町における住民避難訓練の実施状況について話を伺いました。非常に力を入れられており、離島地域ならではの課題に向き合いつつ、現実的な検討がなされている印象を受けました。その上で、いわゆるシェルターについては、政府として、先島諸島の5市町村に一定期間避難可能で堅ろうな避難施設である特定臨時避難施設の整備を進めていくということとしておりまして、防衛省としては、そのうちのですね、防衛施設が所在する与那国町、石垣市、宮古島市の特定臨時避難施設の整備の助成のために、令和7年度予算案に所要の経費を計上したところでございます。
 防衛省としましては、避難手順の確認、また特定臨時避難施設の整備といった政府の取組にしっかりと協力をしまして、関係省庁、また地方自治体との連携を深めるなどして、国民保護の実効性、これを高めてまいりたいと考えております。

与那国町の空港と港湾のインフラ整備について

記者 :こちらからも2問質問させていただきます。今日も要請があったのですけれども、与那国町からは、空港の滑走路延長と比川地区の新港湾の整備の要請がかねてから出ています。防衛省・自衛隊が管理する飛行場・港湾は与那国町内には現在存在しないことも含めまして、先ほどニーズがあるというお話もありましたけれども、これらの空港・港湾のインフラ整備について、自衛隊の運用の観点から必要性をどのようにお考えか見解を伺います。また、比川地区の新港湾については、環境上の観点から地元住民からは懸念が出ているところですが、どのようにお考えか伺います。

大臣 :現下の大変厳しい安全保障環境、これを考えますとですね、自衛隊とか海上保安庁、これが平素から必要な民間の空港・港湾、これを円滑に利用できるようにすることが重要だと考えております。こういった観点からいたしますと、これまで全国で8空港、そして20港湾、これを特定利用空港・港湾として、民生利用を主としつつ、自衛隊や海上保安庁による円滑な利用にも資する整備等を実施をしているということでございます。
 自衛隊はこれまでも、与那国空港、そして与那国島内の港湾施設、これを訓練などで利用してきており、これらの空港・港湾のインフラ整備、これは自衛隊の運用の観点からもですね、重要だと考えております。その上で、新たな特定利用空港・港湾の対象候補は、現在検討中であり、本取組に基づく整備については、あくまで民生利用を主としており、自衛隊のニーズのみで行うものではありませんが、沖縄県を含む関係者の皆様の御意見を伺いながらですね、政府全体で検討を行っていく必要があると聞いております。
 回りましたら、非常に各市町村からはですね、こういった重要港湾や空港の要望というのは高いんですけれど、やはり沖縄県の方がしっかりとこの点について理解と、また納得をしていただくようにですね、防衛省としても今後協議を続けてまいりたいと考えております。

12式地対艦誘導弾能力向上型の開発状況と配備先の候補について

記者 :2点目です。安保関連3文書が閣議決定され、反撃能力の保有が可能となって2年が経ちました。他国の領土まで届く能力向上型の12式地対艦誘導弾の開発に関する進捗と検討している配備先の候補、そして沖縄県内と奄美への配備計画について教えてください。

大臣 :12式地対艦誘導弾の能力向上型の開発事業につきましては、まず令和3年度より地発型ですね、地上から発射する型、そして令和4年度よりは艦発型、艦艇から発射、及び空発型、これは航空機から発射するというような開発を開始しておりまして、それぞれ令和7年度、令和8年度、令和9年度までに完了する計画としております。現在のところ、開発は順調に進捗をしておりまして、例えば、地発型及び艦発型については、昨年10月から11月にかけて、国内で発射試験も実施をいたしております。
 お尋ねの12式地対艦誘導弾能力向上型の具体的な配備場所につきましては、現在検討中でありまして、これは総合的な検討を行った上で、適切な時期に決定してまいりたいということで、現在検討中ということであります。

波照間島と竹富島の視察について

記者 :波照間と竹富には、特定利用空港指定を念頭に行ったのかというのと実際に行って見てみてどうでしたか。

大臣 :行った理由は、国会の参議院の質疑でですね、国民避難の訓練の必要性につきまして、沖縄県選出の国会議員さんからですね、この竹富とかにおいて、過去ですね、戦時中に避難をした実例を挙げられましたので、現地の人に、そのことについてしっかり話を聞いてですね、どうであったのかということをこの耳で確認をするために、国民避難の在り方を検討するためにですね、伺った次第でございます。

記者 :特定利用を念頭ということでいいんですか、両方行ったのは。

大臣 :必ずしも、特定利用を念頭にはしておりません。

記者 :それも、ということですか。

大臣 :主たる目的は、先ほどお話しした国民の避難ですね、それの確認をしたということです、現地の。非常に、実際当時の話を聞かせていただいて、参考になりました。二度と戦争が起こらないように、そして、有事においても安全に住民を避難・誘導できるように、仕方をしっかり考えていかなければならないということを感じました。

(以上)

bnrname
bnrname

pagetop