2021年1月6日に、 VTuberの岸嶺ミミムさん(Twitter)のチャンネルで、思惟かねさん(Twitter)とゲスト出演した配信の書き起こしです。
2020年のVTuber業界を振り返る座談会でしたが、そこで泉が「VTuber業界にとってアイドルとは何か?」を語る時間がありました。
そもそもVTuber界では「アイドルVTuber」やアイドル事務所の存在が大きく目立っているものの、空想や偏見のイメージで「アイドル」が語られることが多く(その最も俗的で理解の薄い語り口といえば、アイドルを「水商売」の仕事に喩えるような話でしょう)、ちゃんと歴史の成り立ちから「アイドル」を分かってもらおう、という意図がありました。
VTuber論の世界で、そこまでちゃんとしたアイドル論というのはまだなく、元々何かの形で発表してみたかったのですが、せっかくなので書き起こしに加筆修正をした記事にして読んでもらおうと考えたものです。
まずは「バーチャルタレント」論から
泉信行(泉) 前回の配信では、「VTuber」と「アバター文化」の比較をして、そこを切り分けようという話をしていたんですが。
岸嶺ミミム(ミ) そうですね。
泉 今回はそのアバター文化とは逆に、「バーチャルタレント」という言葉があると。このベン図の左下にあたる部分ですね。前回は「VTuberと重なる部分はあるけど分けたほうがいい」って説明したのがアバター文化でした。
混同してしまうとお互いの文化に迷惑を掛けるし、敬意を払いつつ、互いの文化が重なるところでは協力していきたいですよねっていうのがVTuberとアバターの関係になります。
ミ はいはい。
泉 それに対して「VTuber」と「バーチャルタレント」の関係というと、まぁホロライブの話の占める大きさからも分かるように、だいたい「VTuber=バーチャルタレント」になってるんですよね今って。もっとラジカルに言えば、ねこますさんなんかは完全にVTuberをタレントだと定義しているくらい。
バーチャルYouTuberの定義を「アバターを使ってYouTubeに投稿する人」だとするなら自分もそれに当てはまるけど、個人的には「アバターを活用したタレントさん」と定義してる。
— けもみみおーこく (@kemomimi_oukoku) January 24, 2020
定義が前者だとVRC民が投稿したら全員vtuberだけど、たぶんそういうわけじゃないんだよな。
この機微を伝えるのが難しい
思惟かね(思) ちょっとバーチャルタレントというものについて分かるように教えていただいてもいいですか?
泉 あのー、「upd8」の概念なんですよ、これって。あれは「VTuber支援プロジェクト」ではないんですよね。「バーチャルタレント支援プロジェクト」だったんですよ。
思 ああ~。
泉 だからupd8に参加している人たちはみんなバーチャルタレントなんですよ。もしupd8がもっと大成していたら、バーチャルタレントという概念ももっと広がっていたと思うんですけど。まぁもっと言うと「キズナアイさんがもっと大きくなっていたら」か。本当にキズナアイが、押しも押されもせぬVTuber界の代表になっていたら、「キズナアイがバーチャルタレントなんだから、私たちもバーチャルタレントなんだ」っていう意識が強まっていた可能性は充分ある。ただ、現実として彼女が「バーチャルYouTuber」ではなく「バーチャルタレント」の肩書をプロフィールに用いているという事実があまり知られてない。
思 そうですね、言葉としてあまりピンとこないですね。
泉 そこまで浸透していないという意味では、upd8のやろうとしたバーチャルタレント観というものは広がってないんですけど。ただ理念としては、upd8が支援していたのは「Vシンガー」に「Vアーティスト」もいるし、「Vクリエイター」もいると。つまり「芸能人」という意味でのタレントではなくて、原義の「才能」という意味で「タレント(talent)」という言葉を使ってるんですね。
ミ ああ~。
泉 「才能を持っている人=タレント」。それは芸能人という意味のタレントの語源なんですけど。
思 なるほど。VTuberというのは「放送をする人」とかいうニュアンスが強いですけど、バーチャルタレントはクリエイターとかも含んだ概念になってくると。
泉 まぁもっと言うと、「手に職を持っている人」とか、「何らかの仕事に繋げられる人」という意味もあるのかなと。そもそもupd8自体が、そういう案件紹介をビジネスモデルにして始まってますからね。だからそこに参加している人というのは、仕事に繋がる何らかの「タレント(才能)」を持っていることになる。
思 確かに「VTuber」と「Vシンガー」を一緒にするのはなんだか違和感があるなと思っていたので、その説明ですごくしっくり来た感じがします。
泉 で、ですね。時間もないので一気呵成に説明を進めていきたいんですけど。その、ねこますさんは「VTuberはタレントだ」って言って同一視するんですけど、ただ、客観的にはやはり「VTuber」と「バーチャルタレント」は分けられるんです。重なるところはあるけれど、ホロライブであるとかにじさんじであるとか、大手VTuber……まぁ「案件持ってこれる人たち」とか、ライブイベントを開催できて客を集められる人たちっていうのは、ほぼタレントだと思われるし。実際に公式サイトを見に行くと「所属タレント」という書き方をしているので、芸能事務所という感覚で運営しているのは間違いないと。ちなみに.LIVEの公式で「タレント」を使っているのは見付けられなかったんですが(※当時)、ホロライブやにじさんじの他には、774 inc.やバルスとかも「タレント」でした。
ミ なるほど。
泉 で、そうしたタレント活動に結びつかないアマチュアのVTuberもいる以上、VTuberとバーチャルタレントは分けておいたほうが無難だし。さらに言うと、「VTuberと重ならないバーチャルタレント」というのも想定しないといけないんですよね。
思 適切なジャンル論として機能しなくなる、ということですね。
泉 「VTuber」という枠から漏れるバーチャルタレント、っていうのも一応あって……。そういうマージンは用意しておいたほうがいいかなと。それこそ、ライブイベントに初音ミクが出演した時に、「ミクはバーチャルタレントなのか」っていうと非常に難しい問題なんですけど。「ARPはそもそもバーチャルじゃないしな」とか。
ミ ARP知らない人もいるんじゃないですか? あれはエイベックスのやっている……でも、あれこそバーチャルタレントに近い存在という気もしますけど。
泉 あと「テレビにしか出ないバーチャルタレント」とかいてもいいですしね。そういう例外が色々ある。「バーチャル店員」とかいますしね。(中略)でですね、予定していたホロライブとにじさんじの比較の話に行きたいんですけど。
ミ おお、行きましょう行きましょう。
タレントとアイドルは何が違うのか
泉 なんでその比較が重要かっていうと、両方とも「所属タレント」っていう言い方をしていると。
ミ はいはい。
【所属タレントに対する誹謗中傷行為への対応について】
— ANYCOLOR株式会社 (@ANYCOLOR_Inc) 2020年11月19日
弊社では、所属タレントや弊社従業員に対するインターネット上での誹謗中傷行為に対し、以下のような対応を行っております。
攻撃的行為や誹謗中傷行為を発見された方は、下記窓口にご一報いただけますと幸甚です。https://t.co/Tc3AjilRKX pic.twitter.com/a7FKBTBNTa
泉 ただ皆さんお分かりだと思いますが、ホロライブはアイドルグループなんですよね。そこで「アイドル」と「タレント」の違いっていうものを、もっとちゃんと理解していただきたい。ちょっと短く、ちょっ早で説明しますけど、イチから説明します!
思 お願いします。
泉 アイドルとタレントはなんで違うのか? で、アイドルという言葉がよく分かっていないと、例えば大空スバルとかは、「自分はアイドルっぽくない」とか「アイドルっぽくないからこそアイドルを目指したい」みたいなこと言うんですけど。で、ファンのほうも、(2次元の)オタクって大抵アイドルに詳しくない。ふんわり、アイドルという言葉を使ってる。
思 あぁ~。
泉 例えば、すいちゃん(星街すいせい)は「アイドルVTuber」を名乗ってるんだけど、歌がうますぎるおかげで、「すいちゃんはアーティストなんじゃないの?」ってファンに言われるんですよね。
ミ (泉が話を進めようとする前に)あの子は、完全に歌手ですよね。
思 ときのそらさんと同じ枠ですよね。
ミ そうそう、AZKiとか。
泉 いや……そこも、ロジカルにちゃんと区別が付くところで、そらちゃんと、すいちゃんと、AZKiちゃんは全員、違うんです!
ミ おおっ!?
泉 タイプが違う。「アーティスト」と「アイドル」のバランスが全員違うんです。だからすいちゃんは「アイドルの定義なんて、アイドルと感じた瞬間にもうそれはアイドルでしょ」って、あの人はフィーリングの人なんでそう言い張るだけなんですけど、そこはちゃんと言語化して説明ができる。
思 ふむふむ。
始まりはビートルズから
泉 で、成り立ちから言うと、海外のビートルズに遡るんですよね実は。
泉 なんでビートルズをアイドルと呼ぶようになったかというと……。今のアメリカではもう「アイドル」という言葉は使わなくなって、「スター」とか「セレブ」とか「ポップ・アイコン」とかに置き換わっていくんですね。
ミ ですよね、今は全然違いますもんね。
泉 ただ、日本に伝わってくるアイドルという概念の始まりはビートルズであって。なんでかというと、ファッションであるとか、あと映画やMVを作ったっていうのが大きくて。
泉 それ以前にもフランク・シナトラとかエルヴィス・プレスリーとか、ファッション性の高いアーティストっていたわけですけど、そこをビートルズはさらに押し出していって、「歌ってるだけのバンドじゃないぞ」っていうグループになっていったんですね。「俺たちを見ろ」みたいな。音楽だけを楽しむんじゃなくて、「本人たちに魅力があるんだ」という売り方を加速させていった。元々、イギリスでロックバンドをやってたデビュー前のビートルズって、普通に革ジャンとか着て、不良っぽいファッションをしてたところに、「5人目のビートルズ」として有名なマネージャーがファッションのお仕着せをしてメジャーにさせたっていう経緯があるんですけど。
ミ へえ~。
泉 「歌もいいけど、本人たちに魅力がある」。まぁ、だから日本に来た時なんかも、ビートルズを見て卒倒するファンもいたくらい人気があったって語り継がれてますけど。で、海外でアイドルっていう言葉は使われなくなったんですが、じゃあ日本でその後どう受容されていったかというと、別の事情がありまして。
ミ ほうほう。
泉 昔の日本の芸能界って、かなり実力主義が激しかったんですよ。例えば女優や俳優なんかも、美人とイケメンしかなれないのが当たり前の時代があって。ちょっと「不美人」と言ってはなんですけど、ちょっと地味な顔立ちの人が主演になれる、というのは後の時代になってからの話になる。例えば大竹しのぶさんとかがそういうタイプの女優さんだと言われるんですけど。「いや、美人じゃないでしょ」って言われるような時代の人なんですよね。そこを跳ね除けて、顔立ちがちょっと地味だったり暗かったり、こう派手な美人じゃなくても、演技力があれば主演できるんだって証明しなければいけなかった。で、歌手も全くそうで、「歌手=歌の上手い人」なんです。
思 ふむふむ。
泉 とにかく歌唱力が高くなければ歌手とは呼べないっていう基準があった。「ちょっと味がある」とか「個性がある」とか、そういうのは評価として見られないんですよね。あと、歌一本で、マイクの前に立って圧倒できる人じゃないと歌手じゃないってことだから、踊るなんてもっての外なんですよね。
ミ ああ~、なるほど。今とは全然違いますね、考え方が。すごく区別がハッキリしてたんですね昔はね。
思 そう考えると、アイドルは歌手ではないんですねぇ……その時期の考え方でいうと。
泉 だからビートルズは「圧倒的な音楽性」プラス「パフォーマンス」のアイドルだったんですけど、日本にその概念が輸入されてくると、あの……「歌一本でやってない人たち」っていうニュアンスが生まれてくるんですよ。
思 はあ~。
泉 バンドに対するコミックバンドみたいなもんで。「歌だけで勝負してない人たち」を入れる枠がなかったから、そこにアイドルという概念が当てはまったと。
ミ それは昔の基準から言ったら、ゴールデンボンバーはダメなんですね。
泉 全然ダメ(笑)。あと、これは誰の受け売りかというと、クリス松村さんのアイドル論の受け売りで今喋ってるんですけど、なんと初期のサザンオールスターズはアイドルだったらしいんですよね。今だとすごく有名な音楽バンドだし、パフォーマンス集団って感じで、「アイドルなんだ?」って感じると思うんですけど。
- この著書では言及されていないが、クリス松村が「NMBとまなぶくん」第128回(2015年10月22日放送)に講師として出演した際、「歌謡曲しかないのが常識の時代だから、後のニューミュージックは仕方なくアイドルにさせられた」とサザンオールスターズについて語っている。
- ちなみに「サザンオールスターズはアイドルだった」と言い切れる証拠は定かでないが、著書の記述も照らしてみると、『明星』『平凡』といった当時のアイドル誌の表紙を飾っていたことを根拠のひとつにしているようだ。
泉 つまり「その他」っていう枠なんですよ、アイドルって元々。
ミ ……「その他」!
思 対応する概念がなかったからこそ、アイドルと呼ばれたと。
泉 さらに言うと、「実力をそれ以外で補っている人たち」っていうニュアンスになってくるんですよね。だから、アイドル評論で有名なライムスター宇多丸は「魅力が実力を凌駕している存在」とアイドルを定義していて、地下アイドル兼ライターの姫乃たまによる「本人の人間的な魅力が歌やダンスなどの技術力よりも上回っている人」という言い方があったりもします。
思 ああ……、容姿であったり、トークであったり、キャラであったり。
泉 いや、容姿ならモデル、トークなら司会者っていうプロの仕事がありますから。ここでタレントって言葉がまた出てくるんですけど、「実力」っていうのは「才能」なんですよね。
思 ふう~む。
泉 「タレント(才能)を凌駕した人間的魅力を持つ人たち」。だからぶっちゃけトークが下手でも、人を惹きつけられる空間さえあればアイドル的な魅力を持ってることになるんですよ。さて、何か私たちは、そういう存在を知ってませんか? まぁ、VTuberが大抵それですよねっていう。
思 うんうん。そう、トーク単体でも、歌単体でも、専門の人には及ばないっていう方がどうしても多いですが、トータルでは魅力的だったりしますよね。確かにVTuberって。
泉 「VTuberって結局生主じゃん」って言われるのは、全く同じ話で。生主もやっぱり、タレントに対するアイドルなんですよね。だから実力よりも、「囲いがいて~」みたいな話になってくる。
思 はいはい。その場合は、身近さとか親しみやすさとか、そういうところが魅力になってくるわけですね。
泉 そうですね。身近さは、雲の上のタレントにはないものですからね。で、こういう前提があって、「アーティスト系アイドル」という言い方があるんですね。
ミ ほう?
思 難しくなってきましたね。
泉 アイドル活動って基本的に「歌って踊って」っていう世界なんですけど、歌って踊ってにプラスして、愛嬌を振りまいているわけじゃないですか。その愛嬌の部分が人間的魅力に繋がるんですけど。でも、その歌って踊ってのパフォーマンスだけで人を惹きつけられた場合、それはアーティストに近いっていう評価になる。だからももクロなんかも、最初からアイドルですけど、どんどん楽曲のほうに力を入れていくと、「いやぁ、ももクロもアーティスト売りするようになったな」みたいなこと言われるようになってくる。
思 はぁ~、BABYMETALなんかそんな感じですねぇ。
泉 ファンとの接触の機会も減らしていったりして。
ミ でもそれって、相対的な位置の問題なんですか? アイドル売りなのかアーティスト売りなのかというのは。
思 つまり、明確な境界線があるのか、グラデーションになっているのかということですかね。
泉 本当に、「寄るか寄らないか」ですよね。あの、ここで肝心なのは、「実力を凌駕する」という言葉は、二面的な言い方ができるってことで。「実力の乏しさを、人間的魅力で補っている」という人もアイドルだし、「あまりある実力を、さらに遥かに凌駕する人間的魅力で愛されている」という人もアイドルなんですね。
思 ビートルズなんかがね、後者の例なんですね。
泉 そうそう、ビートルズに戻っていくアイドルもいるんですね。
ミ ちなみに今、コメントでもありましたけどPerfumeはどっちだと思います?
泉 Perfumeはアーティスト系だと思います。でも、アイドル的な面もあるっていう……。Perfumeもそうだし、ぼくの好きなアーティスト系アイドルっていうと東京女子流とか出てくるんですけど。女子流ちゃんが海外展開に力を入れようとしていたっていうのも、楽曲で勝負してたからだと思いますけどね。歌に力があれば、言葉いらないじゃないですか。
ミ 確かにね、言葉いらないですね。
泉 だから海外でウケたBABYMETALもそうなんじゃないかな。音楽性で勝負できれば、アーティストに寄っていくと思いますけど。ただ、そこまで行くと、どんなタレントにしたってオフショットで見せる表情とか、インタビューで小出しにするプライベートであったりとか、その人間性にファンが興味を持つっていうのはありうることなんで。本当に、(人間的魅力の)総量が大きいか小さいかの違いでしかないですけどね。
ミ 最初の切り口でどの部分を見せていくかで、結構変わるんですかね。
ときのそら、AZKi、星街すいせいのアイドル性の違い
泉 その点、そらちゃんは本当にデビューからどんどん成長していくタイプのアイドルなんで。「頑張っている」っていう姿をずっと見せ続けている。今ではもう、イベント慣れしているので、今そらちゃんを知った人は「完成したアイドル」だと思う人が多いかもしれませんけど、まぁファンからすると、そらちゃんイコール努力型の子、「成長するまで止まらない子」っていう認識になる。
思 2018年頃ね、初期のそらさんからね。
泉 元々、カバーの開発していたアプリケーションの、デフォルトの「個性のないモデル」として本来デザインされていた子なので。意図して個性を与えられていない姿だから、本人もそこがコンプレックスだったんですけど、逆にその個性の無さを個性にして、っていう素朴さもあるし。あと歌唱力にしても、本人にすごく自信があるわけではない。そこで「歌のうまさは努力して身に付けるものだ」って認識をしているのは、実際、本人が思っている通りの歌声だっていう気はするんですよね。彼女は声楽出身だし、声楽の歌い方ってポップスに向いてないから、そこを矯正するのがまず苦労しそうだし。ただ、その代わりに音域のトレーニングを徹底的にしているので、「初音ミクの曲を原キーで歌える」っていう他にない武器を持っていることとか……。
思 原キーはすごいですよね(笑)。
泉 そういう「何にしても前向きに頑張っている感じ」っていうのが人間的魅力に繋がってくるところ。なので、ここまでをひっくるめてそらちゃんは「正統派アイドル中の正統派アイドル」!
思 そういう文脈にあるわけですね~。
泉 で、AZKiちゃんは元々「Virtual Diva」(※Divaは「歌姫」の意味)っていう売り出され方をしていたんですけど、彼女は本当に元々アーティスト、シンガーですよね。ただ、完膚なきまでにアーティストなんですけど、アイドルって「いきなりアイドルになってもいい」ものではあるので。
ミ はいはい。
泉 「わけあってアイドル」をやってもいいのがアイドルだから。全体ライブ(hololive 1st fes.)の時にアイドル衣装を着たAZKiちゃんがいてもいいってことになるんですね。「AZKiちゃんがアイドル衣装を着て、同じ事務所の仲間と一緒に踊りました」っていう、その瞬間はアイドルでいいんですよ。だからアーティストに戻ってもいいんですけどね。
ミ あ~、なるほどね。
泉 その上で、ホロライブには「所属タレントは全員アイドルです」っていう、ふんわりとした別のテイがあるんですよね。そのなかに、最もアーティスト的なAZKiちゃんがいて、みんなと一緒にアイドル衣装を着てもいいっていう。だから彼女は、「アーティスト寄りのアイドル」という以前に、「アイドルにもなれるアーティスト」っていう。ちょっと順番が逆なんですよ。
思 マルチタレントって言ったらいいんですかね~。
泉 で、すいちゃんは、圧倒的な実力があった上で、アイドル的なセルフプロデュースがすごく上手くて。どちらかと言えばアーティスト寄りのアイドルではあると思うんですけど、普段の喋り方と、歌声のトーンが違っていたりとか、あれだけカッコいい歌い方をしておいて、「すいちゃんは~、今日もかわいい!」ってコール&レスポンスをずっと言わせられるだけのことはあるんですよね。
思 アーティスト的な実力があるからこそ、他の魅力も引き立つという。
泉 あの、AZKiちゃんの場合は、普段の配信よりも音楽活動に注力してるタイプだとしたら、すいちゃんは両立できてるタイプなんだと思いますけどね。あとやっぱり、そらちゃんの努力型とは全然違うシンデレラ・ストーリーがあって。何年もあらゆるオーディションに落ち続けた結果、「落とした連中を見返してやる」っていう意地で個人VTuberを始めたという。その話を聞くと、本当に「すいちゃんを落とした連中は節穴か」って思わせるし、そこでもうガッツリ掴まれますよね。
思 応援したくなりますねぇ。ともかくそういう感じで、ときのそらちゃんも、AZKiさんも、星街すいせいさんも、それぞれ違うタイプになってくるんですね。
「タレント未満」のアイドルたち
泉 ただ、そういう分け方をする時の前提……前知識として必要となってくるのが、タレントとアイドルがどう違うかっていう最初の話なんですね。基本的にアイドルっていうのは「タレント未満」という意味で使われてきたので、逆にそこを超えたりはみ出して行ったりするのがアイドルの面白いところ。
ミ その本人たちの魅力が、タレントの実力を凌駕していくっていう話ですね。
泉 タレントの実力と組み合わされていくこともありますね。だから「グラビアアイドル」はグラビア女優とアイドルを重ねてるわけだし、バラドルはバラエティタレントとアイドルを重ねてるわけですしね。
ミ なるほどね、その基本概念があるからこそ、ホロライブのアイドルたちも分けて考えられるし、これからどういう風になっていくかも分かるということですね。
泉 で、現実のアイドル業界がどうなのかっていうのを、予測としては参考にするべきだと思うんですけど。うまくやろうとしてできなかった例とか、みんなで幻想を抱いてたんだけど「そうはならなかったよね」ってのがリアルのアイドル業界にはありまして。まぁ、カバーの谷郷さんは世代的なものなのか、ホロライブをAKB48に喩えてましたが、それはたぶん知名度だけで話してて。
ミ ああ、AKBというあの形式を踏襲しようってことではないと。
泉 実態としては全然違う。まぁ、ホロライブは過剰にグループを拡大することも、総選挙システムもないですし。ハロプロ系とか坂道シリーズのほうが近い。AKBっていうのは、やっぱりグループアイドル戦国時代において一度覇者になったという意味で、色々と難しいんですよね。なんか未完成な部分を残した状態で、手当り次第になりふり構わず大きくなったようなところもあって、全部を参考にすればいいっていうグループじゃないですから。でですね、AKBが評論筋ではどういう風に残念がられていたかというと……。まずは劇場型のアイドルというところから評価されていって。
ミ ふむ。
泉 専用劇場を持つということは、既存のメディアに依存しない形で活動してるわけですよね。かといって、地下アイドルでもないっていう。そこに動員力さえあれば、マスメディアに利用されない形で新しいムーブメントが起こせるんじゃないかと期待されていたんですね。
ミ ああ、自分の場を持つことによって、マスメディアからの影響力を軽減できるということですね。
泉 で、そこから力関係……力学が難しくなってくるのは、さっきした話のようにアイドルっていうのは基本的に「タレント未満」の人たち、実力のない人たちなんですね。要は、タレントのオーディションに受からない人たちなんですよ。正面玄関からは芸能界に入れない人たち……、まぁ単純に10代とか、「若いから」っていうのもありますけど。普通に芸能界デビューできなかった子たちが、アイドルのオーディションを受ける。それでも何千人分の一人だけが通るような倍率ではあるんですが、素人同然の地力なんだけど、ちょっと個性があって可愛いとか、将来性を見込まれて「この子をみんなで育てましょう」という形でデビューするわけです。それこそ本当に、「女優としても歌手としても活かせない何かの魅力を持っている」のがアイドルの魅力なんですよね。「そういう個性が発見される場」としての48グループっていうのがまずあって。まぁ色んな子がいるんですよ。あと、秋元康の考え方的に「クラスで一番可愛い子はアイドルとして面白くない」っていうのがあって。
ミ ああ、言ってましたね。
泉 だから正統派アイドルじゃなくて、個性派アイドルをどんどん集めようっていう理念で行くと、分かりやすい実力はないかもしれないけど、突出した個性を見付けることに繋がっていくという。だからそこから指原莉乃とかが発掘されていくわけですけど。
ミ 個性的な子たちを集めるという意味では、AKBとホロライブは近い形にはなったのかなと思いますけど。
泉 いや、実はここまでにした話のレベルっていうのは、にじさんじもホロライブも共通して言える話で。
ミ ほう?
泉 でもここから分岐するんですよ。
思 ここからようやく、にじさんじとホロライブの比較が!
泉 そういう個性の発掘場所、本来ならすくい上げられないような……。例えばVTuberは「声優くずれ」みたいな言われ方もするんですけど、どう考えても声優になるのってすごく専門的なスキルが必要になるんですよね。
ミ すみません、そこで聞いてみたいんですけど、「声優アイドル」って言葉はどう思います? ぼくは今までおかしな言い方だなって思ってたんですが。
泉 声優……はタレントですよね。声優というプロフェッショナルな才能と実力に、アイドル性を付加しているのがアイドル声優。もちろん、圧倒的な実力のある声優がアイドルをやってもいいっていうのは、今までしてきた話と同じです。あるいは、本人がめちゃくちゃ可愛いというだけで、声優としての実力は低いっていう子もありえるでしょうね。
ミ あ~、なるほどね。では引き続きお願いします。
泉 さっきチャット欄に「アイドルを卒業する」っていうフレーズが出てましたけど、卒業するってことは進路があるわけですよね。それってやっぱりアイドルって、芸能界の「下」なんですよ、ニュアンス的に。モラトリアムだと言ってもいいかな。その結果ですね、AKBの運営の仕組みっていうのは、まずAKSっていう事務所がありまして。まずメンバー全員AKSに所属することになるんですけど、まぁここは何もやらない、無能運営だと思ってよくて。芸能活動をしようと思った場合、例えばホリプロであるとか太田プロであるとか、複数の大手芸能事務所に分散して所属させる。坂道シリーズなんかは全部ソニーの事務所ですけど、AKBはそうして大手同士のパワーバランスを取って、争わないようにさせるんですね。特定の事務所から圧力を掛けられないように、人気メンバーを複数の事務所に所属させるということをやった。そうすることでテレビの仕事をたくさん取らしていって、毎日のように「AKBを見ない日はない」と言われた時期があったのは、そういうこと。そんな様子について、秋元康本人が言ってたんだったかな。「芸能界の裏口入学」っていう喩え方をしてたんですけど。
ミ はあはあ、なるほどね。
泉 だから話は戻るんですけど、正面玄関から芸能界に入っていけない人たちが、個性とか可愛さだけで入って、本来なら発掘されにくい才能を開花させていくプロセスとしてアイドルがある。それを「芸能界の裏口入学」と呼んでるんですね。ただ、これは一見うまく行っているようなシステムなんですけど、評論筋での評判がどうだったかというと、元々期待されていたような「マスメディアに依存しない裏の世界」で活躍するんじゃなくて、結局「芸能界のシステムにアイドルが組み込まれただけ」であって、「なんか俺たちが想像していたほど面白くなってない」ってことなんですよね。
思 新しい仕組みを作ってくれるというところに期待されていたのが、結局今まで通りということなんですね。
泉 発掘されにくかった才能が発掘されるぶんにはいいんですけど、結局は実力主義のシステムのなかに放り込まれるというだけで。さらに言うと、そこでは指原莉乃クラスの実力じゃないと戦えないんですよね。
ミ まぁそうでしょうね。
泉 結局は、既存の芸能界に適応できるかできないかの話になってしまって。「この子はめちゃくちゃ個性がある」「この個性を俺たちで大事にしなきゃ」って思うような子が伸びなかったりする。ってなってくると、そういう「かけがえのない才能」を大事にできる土壌を育ててこれなかったことが責められてしまうんですよね。
ミ そういうことが、にじさんじやホロライブにどう関わってくるんですか?
泉 思惟かねさんの記事を思い出してほしいんですけど、「2020年に目立って伸びていたホロライブに対して、にじさんじは番組制作に力を入れていた」という分析をされてましたよね。
思 私のほうから記事の内容を説明しておくと、ホロライブは確かに去年かなり伸びましたね。実際にじさんじに対して、すでに総再生数が1.5倍くらいになっているというのが今の分析なのですが。アイドル路線のホロライブからにじさんじを考えると、「その目指している路線は何なのか」という話になってきます。そこでまぁ、去年のにじさんじは番組を色々作っているわけですね。
ミ ラジオ番組とかやってますよね。
思 そうですね、文化放送の「だいたいにじさんじのらじお」はちょっと前からやってますが、去年からはYouTubeの公式チャンネルで「ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン」というゲーム番組とか、「にじクイ」というQuizKnock協賛のクイズ番組とかが始まりましたね。先日は「にじさんじのB級バラエティ(仮)」という番組も始まりまして、バラエティ番組も作り始めていると。過去にも単発企画としてはありましたが、こういうレギュラー番組として定期配信を始めるというのは他のグループと比べても結構異例ですよね。番組ごとに出演者も違いますし、そこを色んな人材でカバーできるところがにじさんじの強みなのかなぁと。
泉 思惟かねさんの把握しているデータかは分からないんですけど、今のにじさんじの趨勢として、「個人配信の同時接続視聴者数は低いけども、公式配信や大規模コラボ配信は伸びる」という傾向があるとお気付きだと思うんですが。
思 ああ、マリカ杯とかですね。
泉 これはぼくの考える、「にじさんじライバーのタレント化」という現象だと思うんですね。今までしてきた話が、全部繋がってくると思うんですよ。要は番組を作る方向に行くというのは、つまりタレントの才能がメンバーに求められていくという話なんですよね。
思 あぁ……。
泉 「人間的魅力よりも、実力が凌駕していなければいけない」のが芸能界なんですよ。
思 ふ~~~む、つまり番組に出て、面白く盛り上げられるかが問われていると。
ミ じゃあ、にじさんじがそっちの方向にシフトしはじめているという予兆? というか傾向が見て取れるということですか。
泉 方向性としては、その見立てが軸になってくると思うんですよね。だから芸能界化していくというのは、さっきのAKBの話と同じで、芸能人になることをゴールにしてしまうと、やはり劇場のほうの魅力を失っていくことになりますから。
思 あぁ、それこそアイドル的なアマチュア感と言いますか……。
泉 タレント化をゴールにすると、ぶっちゃけファンは「タレントになるまでアイドルを待てばいい」になっちゃうんですよ。
ミ あ~~~っ。「だったら初めから実力のあるタレントを出せよ」って話になっちゃいますよね。
泉 ちなみにアイドルオタクには「現場ヲタ」と「在宅ヲタ」って言い方があるんですけど。現場ヲタっていうのは、劇場とか握手会とかの現地まで足を運んで、「人間的魅力を発掘しよう」とする人たちですね。未完成な、未熟な才能を見に行って、どう頑張ってるのか、どんな人間的魅力があるのかを発見する。実際に会いに行って「君のこういうところに僕は励まされてるよ」って言葉で伝えたり、応援していくサイクルを作り出そうとするわけですけど。
ミ はい。
泉 逆に、そういう風に現場のファンに育てられて芽が出て、「メディアに出てきた」子たちしか見ないっていうのが在宅ヲタ。AKBでいう「選抜」ってのがそれなんです。選抜メンバーというのは、現場に押し上げられてメディア進出を許された子たちなので、在宅ヲタはそれを追うんですね。まぁオタクなので、一般人よりは深堀りをするんですけど。例えば、雑誌のグラビアにはインタビューが付いてくるので、そういう「遠出しなくても金で買えるもの」が在宅の見るメディアに含まれます。そこで人間的魅力を探るっていうアプローチがあるのは間違いないんですけど。
ミ へえ~。
泉 そこには、現場ヲタと、在宅ヲタと、本当の一般層っていう、アイドルの楽しみ方の違いがある。で、芸能人が好きな一般人って、我々もですけど、本人のブログとかわざわざ読みに行きます?
ミ あ~~~~っ、なるほど?
泉 熱心なファンになれば読みに行きますし、芸人の追っかけとかいますけど。出待ちをしたりとか。そういう人たちは、タレント本人を好きになっている。まぁ、それを「アイドル」とか言ったりはしないですけど、消費の仕方……愛し方はアイドルに近い。まぁ、「推し」ですよね。
思 それがさっきの、現場ヲタと、在宅ヲタと、一般層という違いになってくるわけですね。
泉 だから、にじさんじは公式チャンネルでテレビっぽい番組作ってますねという話に戻りますけど、テレビ的な面白さを追求していけばいくほど、「番組内で面白いことができればいい」ってなっちゃうので。実力……ウデですよね。タレントとしてのウデだけが評価されるのであって、普段何をしてるのかなんて興味持たれなくなる可能性があるんですよね。
思 は~~~っ。つまりその……大規模コラボとか、公式番組の同接が伸びて、個人配信がそこまで増えないっていうのは、そこを受けての話なわけですね。
諸刃の剣になる「テレビ的な面白さ」
ミ それは消費の方法が違うってことですか? その、テレビやラジオのような旧メディアと、ブログや個人チャンネルのようなニューメディアとは。
泉 そうですね。思惟かねさんも記事でも、VTuberファンはてぇてぇの関係性を求めているんじゃないかという分析がありましたけど。もっと言えば、個人の人間的魅力でもいいんですよ。「てぇてぇ」っていうのは自然と、仕事ではなくオフショット的な空間で生まれやすいので……。素を出した掛け合いが求められますからね。だから個人チャンネルの配信を見に行くって形になりやすい。「芸ではない人間的魅力を見に行きたい」という意味では結局、1人の雑談配信を見るのも、コラボ配信で関係性を見るのも、たぶんあんまり変わらないんですよね。人間的な部分さえ見られればいいんですよ。
ミ なるほどなるほど。
泉 まぁ個人配信のゲーム実況なんかでよく言われるのが、「友達の家で一緒にゲームしているような感覚」っていう。そういう身近さを感じられる子は人気になりやすい。そういう需要を満たしているかが、個人配信が特に伸びやすいかどうかのキーにもなっている。ホロライブの場合、兎田ぺこらや戌神ころねがそういうゲーム実況のタイプに当てはまると思うんですけど、それがタレント的な魅力かというと、やっぱりアイドルに近いんですね。人間的魅力で売っているという。
思 うんうん。
泉 それに対して、「ゲーム番組」に求められるのはやっぱりタレントとしての魅力になってしまう。だって収録時間とかも決まってて、スタッフが構成して編集することになりますし。ムダがないほうが番組としては面白いはずですからね。
思 ふむふむ。表舞台で輝くか、舞台裏を見たくなるかの違いという……。
泉 逆に言えば、番組のなかで充分面白ければ、視聴者を満足させることができるので。だからホント、ビジネスとして「番組が面白い」というのは諸刃の剣なんですよね。だって完成していればいるほど面白いっていうのが、テレビ的な面白さですから。未完成な作りだと不満が出てしまう。
ミ それはありますね。
泉 まぁ、そういう意味では色々やり方はあると思いますけどね。例えば、有名タレントのYouTube進出とか増えてますが、それは2つの見方があって、「テレビ番組で完成された芸を見せつつ、未完成な人間性の部分を見たいファンが付いてくる」というパターンなのか、彼らにはテレビ番組のノウハウがあるのだから「YouTubeにテレビ番組と同じくらいの無料コンテンツを流すことで単純にその実力が評価されている」というパターンなのか。って考えると、にじさんじライバーの「選抜組」というか、公式番組に出演できるクラスの人たちが個人配信で求められるものって何か? って問いになる。それは人間的魅力を感じさせる部分なのか、それとも「おっ、公式番組で面白いことやってた人だ」「個人チャンネルを見に行ってみるか」ってなった時に、果たして「公式番組と同じくらい面白いことやってる!」ってなるのか? と。ここなんですよ。
思 なるほど……。
泉 「公式番組と同じだ」って思わせるだけのことを個人配信でやっている意識があるのか? という。どっちが正しいのかは、さすがに判断は付かないですけど。ただ、ぼくの感覚からすると芸能的な面白さというのは、特に舞台裏を知らなくても楽しめないといけないものなので。
ミ うんうん。それはそうですよね。
- この配信では言及しなかったが、地上波で放送される「アイドルの冠番組」の多くは、形式はバラエティ番組であっても、「テレビ的な面白さ」をある程度捨てて、「在宅ヲタ向けのファンサービス」に振っている比率が高い。
- スポンサーが付きにくく、Blu-ray販売を想定したビジネスモデルでもあり、番組内で完結した面白さよりも「メンバーのファン(になる人)が楽しめるもの」を優先する構造があるため、上述していたような意味での「テレビ番組」からすれば特殊性がある。
- だからこそ「アイドル番組」と呼ばれるのだと言えるし、番組にかぎらず、「アイドルのライブイベント」が他の商業音楽と異なる性質を持つことも説明できるだろう。
- 実際、アイドルグループであるホロライブのレギュラー公式番組(旧/新)は、広く視聴者数を集めるというよりも、ファンクラブの会員向けサービスとして制作されており、その他の公式番組は 「ゲームショップ◯△駅前」を除いて「レギュラーではない特番形式」で占められている。
思 ただまぁ、さっきの話で言うと、今までの芸能界の楽しみ方を、新しいプラットフォームで壊してくれることを期待するのであれば、「公式番組を見ても面白い」し、「その人にちょっと興味が湧いて個人配信に行ったらその人の個人的な話が聞ける」という、両方の楽しみ方ができると可能性は広がりますよね。
泉 理想はそうです。
思 ですね、それが定着するかはさておいて。
泉 (中略)ちなみに、吉本には「吉本坂46」っていう坂道シリーズのアイドルグループがあるんですけど。
思 えっ?
泉 あれが例として分かりやすくて、「男女混合芸人アイドルグループ」っていう、「まさににじさんじ」っていうグループなんですけど(笑)。だから「にじさんじが好きな人は、吉本坂46の番組を見て参考にすればいい」って思ってたんですけど。まぁ別に、VTuberファンと坂道のオタクが重なっているわけではないので……(以下、冠番組が放送されていた頃の吉本坂から見たにじさんじの話へと続く)。
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