謎のイワナ?Hap-new36(ハップニューサブロク)
イトシロ原種1(Hap-new36)
これは昨年釣った石徹白の源流域に生息しているイワナの画像です。このタイプが石徹白水系の原種イワナだろうと思われます。というのは石徹白川の本流域で普通に釣れるイワナとは明らかに違うので研究機関に数箇所の源流で採取したサンプル細胞を送って遺伝子解析をしてもらったところ2箇所の谷のそれぞれ30尾合計60尾のミトコンドリアDNAのハプロタイプが一致したのでした。しかも今の所この60尾のみから採取されただけの新しいタイプということが分かったのです。つまり過去に移植放流などが行われていれば交雑がおきてハプロタイプが一つにそろわないので、これは原種である可能性がきわめて高いということになるらしい。今のところHap-new36という記号番号で分類されているんだそうです。
さて、ここまでは真実の報告ですが、
ここから先は「素人釣りバカ」の勝手な意見として読んでいただきい。
私のフライフィッシングのフィールドである中部山岳地帯では日本海に流れる河川にはニッコウイワナ、太平洋に流れる河川にはヤマトイワナというイワナが棲み分けて生息しているといわれてきました。しかし、近年養殖魚(ニッコウ系イワナ)の放流によりヤマトイワナの生息域で交雑が進み純粋なヤマトイワナの生息地が減っていることが危惧されています。たしかに私も木曽川や天竜川では何箇所か純粋な生息地を知っていますが長良川水系や揖斐川水系では、ここはヤマトイワナと確信を持てるところを知らないほどほとんどがニッコウ系タイプばかりです。
そんな昨今の事情において、上の画像を見てどう思われるでしょうか。
「これってヤマトイワナ?」って聞く人がいてもぜんぜんおかしくないですよね。
従来からの棲み分け論にてらすと石徹白川は日本海に注ぐ九頭竜川水系なのでこの岩魚はニッコウ系でなければならないことになります。
じつは、釣り仲間の情報によれば以前からこんな話をよく聞きます。ニッコウイワナ域のはずなのにヤマトイワナ的なタイプばかりの谷があったり、その逆にぜったいヤマトイワナのはずの谷で移植放流など考えられないのに不思議なことにニッコウタイプばかりだったりというのです。
今回原種と特定された2箇所の谷ともに昔から岩魚が多く棲むと言われてきた谷であり他の水系から移植放流などする理由がない。また、今回過去に見つかっていない新しいタイプの遺伝子型でそろった結果を考察すれば、太古より石徹白でえんえんと命をつないできた原種に違いないだろう。
近い将来、岩魚の遺伝子解析によってニッコウイワナ、ヤマトイワナというタイプの見極めかたやイワナの分布論もそんなに単純なものではないことが科学的に解明されるのかも知れませんね。
毎日寒い日が続くのでそんなことをツラツラと想像して一人で勝手にロマンに浸っている今日この頃です。
ところで私、本年をもちましてメデタク還暦を迎えFF歴も22年となりました。
いやぁ~、フライフィッシング 最高、こんな奥の深い趣味なかなかないですよ、おそらく死ぬまでやっていくんでしょう。
一緒にやりませんか。よかったら入門のお手伝いしますよ。
ssmkj@apost.plala.or.jp
(フライフィッシングを本気でやりたい人はメールください)
さて、雪がとけたら今年も探索です。
イトシロ原種2(Hap-new36もう一つの谷のイワナ)
木曽川原種イワナHap-28?(ヤマトイワナといわれているタイプ)
イトシロ川本流で釣れるイワナ(典型的なニッコウタイプ)
原種イワナの遺伝子解析は30尾分くらいないと完全ではないと言われているのでけっこう大変です。かんたんに30はそろいませんから何度も何度も入りました。協力してくれた仲間達に心から感謝です。そしてまた今年もよろしくお願い申し上げます。
そうそう、サンプルはアブラビレというヒレの一部をちょっと切ってくるだけなんで、イワナは一匹も殺していませんからね。
by itoshiro-sp | 2013-01-28 12:41