ようやくまとまった雨が降ったことで、新たな延焼は確認されなかった。
避難生活疲れの住民の皆さんにとっては待ち望んでいた恵みの雨となったことだろう。
今から30年ほど前、ウチの裏山が火事になった。
近所の人が焼却炉の中から捨てた灰が発火し、裏山にも燃え移ったのが出火原因。
あのころはまだ畑に穴を掘って野焼きしたり、焼却炉でゴミを燃やしている人もいた。
その日、俺たち消防団は日中模擬火災訓練の日だった。
そして夜は、その訓練の慰労会も兼ねて分団の新年会の日でもあった。
模擬火災訓練を終え、新年会に向け昼間の活動服からよそ行きの服に着替えて、
皆が詰所に集まったところに突然のサイレン吹鳴。
詰所からもウチの裏山の方面から白煙が確認できた。
慌てて皆消防車に乗り込み、すぐ近くの火災現場へと向かった。
ウチの部歩車両は水槽付きポンプ車(タンク車)なので火点直近し、
火点に向けてのホースと後方支援車両用への逆延長ホースを伸ばした。
そこはウチの部の管轄で、普段から訓練をしているので水利も山の形状も熟知しているので、
最短ルートで山をよじ登り、本職より早く初期消火し、延焼拡大を防ぐことに成功した。
よそ行きのままホースを担いで山を登ったので、せっかくの服と靴はドロドロ。
火は鎮圧状態となり、残火処理もほぼ終わり鎮火報を待つばかりとなっていた。
しかし、新年会は急きょ中止かな?と思っていたら、
急に雨が降って来て、そのうち雨がみぞれ、それから雪に変わった。
まさに恵みの雨というか恵みの雪である。
新年会場にも迷惑をかけてしまうし、来賓者も呼んでいたということもあり、
本団役員の許可を得て、俺たちは再度着替えて2時間遅れの新年会に向かった。
新年会から帰って来たころには、ウチの裏山は雪で真っ白になっていた。
火元となった人は、最後まで自分の非を認めなかった。
終いには。近所に住む俺の親父のタバコの火の不始末とさえ言った。
鎮火後にその場所に行ってその焼却炉周りを見れば一目瞭然、火元は素人でもわかる。
まあ普段からそういう人なので誰もその人の言うことを信じなかった。
後日、当時俺お親父が地区の区長、そして自分も元団員だしをしていたので、
気の優しい親父は、出火元となったお宅の人と、各詰所に一升瓶を持って謝りに回った。
雨が降るとまた野焼きを始める人が必ずと言って良いほど出てくる。
全国各地で大きな山林火災が相次いでいる。
無神経な野焼きは是非ともやめてもらいたいものだ。
つづく。

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