父と息子、丸い土俵と固い絆
新十両の若碇、感動の瞬間
2024年11月、九州場所の初日、若碇という名の19歳の新十両が、その名を轟かせました。
土俵で塩をまく姿は、一見その年齢を感じさせないほど堂々としたもので、その背後には家族や仲間の支えがあったのです。
若碇、本名は斎藤成剛。
伊勢ノ海部屋に所属し、176センチ・117キロという小兵ながら、しぶとくしなやかな相撲を取るその姿には、多くの人々が魅了されています。
ここまでの道のりは決して平坦ではなかったのですが、その一歩一歩がどれほどの苦労と喜びを伴っていたのかを知れば、思わず感動してしまいます。
父と子の絆、特別な日
9月の秋場所での千秋楽、若碇は親方という父、甲山親方が解説を務める中での闘いでした。
このほとんど偶然とも言える状況下で、若碇は勝利を収め、関取の座を手中に収めることができました!その瞬間、テレビを通じて響く「ボコッ」という音、これは実は、父の甲山親方が興奮のあまりマイクに手をぶつけてしまった音だったのです。
このエピソードからも感じられるように、丸い土俵の上では、親子の深い絆が感じられ、共に闘う姿は何とも言えない感動を呼び起こします。
まさに、両者の夢が現実となった瞬間でした。
悲しみからの再出発
若碇がここまで成長する過程では、特に忘れられない悲しい出来事があります。
それは、母親の急逝です。
お母さんの直美さんががんにより34歳でこの世を去り、若碇は小学3年生の頃でした。
想像を絶する悲しみの中、彼自身どのように立ち直っていったのか、その内面を少しでも理解することができれば、心に響くものがあるはずです。
父親の甲山さんもまた、失意のどん底にあったことでしょう。
しかし、逆境を乗り越える子どもたちの姿が彼に勇気を与え、進むべき道を照らしていったのです。
絆と感謝の思い
日々の努力と周囲の支えを忘れない若碇の姿勢は、彼を支えてきた多くの人々への感謝の思いの表れです。
そして、彼の相撲にかける情熱や、その背景にある家族の愛が、彼を新十両へと押し上げたのです。
私たちもそのエネルギーを受け取りながら、日常の一瞬一瞬を大切にして生きていきたいものです。
若碇のこれからの成長と活躍を見守りつつ、彼の力士としての未来が楽しみでならないのは私だけではないでしょう。