NOTOPIA "Celebrating Life" (2017) |
ソファ・サウンドから購入したドイツのユニットNOTOPIAのアルバムが届きました。
"Celebrating Life" - NOTOPIA(2017)
1 Play (3:19) Voice – Divinity Roxx
2 Create (4:24) Voice – Divinity Roxx
3 Celebrate (5:34) Vocals – Peter Hammill
4 Trust (1:31)
5 Care (3:20) Voice – Divinity Roxx
6 Study (1:36)
7 Smile (3:34)
8 Arrive (1:57)
9 Change (7:41)
10 Inspire (6:27)
11 Heal (1:14)
12 Dream (5:45) Vocals – Mimi Ventura
13 Reward (1:56)
14 Enjoy (6:55)
15 Work (0:56)
16 Travel (3:17) Voice – Peter Alexius
17 Connect (5:09) Vocals – Peter Hammill
18 Love (1:17)
19 Dance (5:02)
Digital Bonus Track(Bandcampでの購入者のみ)
20 Relax 6:19
![NOTOPIA \"Celebrating Life\" (2017)_b0009391_11582268.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201712/21/91/b0009391_11582268.jpg)
Peter Alexius (guitar, soundscapes,voice on "Travel"),
Marc Mennigmann (keys),
Sven Kosakowski (drums),
Mike Keneally (guitar),
Jaan Wessman (bass),
Peter Hammill (vocals on"Celebrate" and "Connect"),
Divinity Roxx (voice on"Play", "Create" and "Care"),
Mimi Ventura (vocals on"Dream")
ピーターが参加しているのは2曲ですが、ともに、歌詞を書き、歌っています。
アルバムのクレジットによれば、このユニットはギター、キーボード、ドラムスの3人が中心になっており、このアルバム以前は、その三人のイニシャルを取ったSAMプロジェクトという名前を使用していました。そのSAMプロジェクト名義ではベースにエイドリアン・ブリューのパワー・トリオで有名なジュリー・スリック(Julie Slick)を迎えたアルバム「Another Life」を発表しています。
本作は、この3名に加えて、ギターにMike Keneallyを、ベースにはマイクのバンドのJaan Wessmanを入れた5人での即興演奏で出来上がっています。
このユニットの基本的な方針として、オーバーダビングなし、というのをずっとやってきたのだけど、次のステップに上がるために今回はボーカルに関してのみ、オーバーダビングを行っているとのこと。楽器演奏に関してはオーバーダビングはないとも言い切っています。
ギタリストが二人いることで、非常にスリリングなザッパ+クリムゾン的な部分があるのと同時に、ピアノ系とシンセ系を使い分けるマークの、特にアラン・ゴウエンを彷彿とさせる「一歩踏み外したような」音色のシンセが、時にカンタベリー的なジャズ・ロックを連想させます。結果として、現代的なノイジーさも同居したとてもユニークな音楽が現れています。
マイクの紹介でピーターは参加することになった訳ですが、参加した2曲は、3曲目のアルバム・タイトルとも共鳴するタイトルの「Celebrate」と17曲目「Connect」です。マイクは自身のメール・マガジンの中で次のように語っています。
I asked the extraordinary Peter Hammill if he'd be interested in creating vocal tracks to go along with a couple of industrial-ish drones we'd laid down in the studio, which he did almost immediately upon being asked, and to absolutely astonishing effect.
マイクの言葉によれば、ベースになった即興演奏は、「インダストリアルっぽいドローン」だとなっています。3曲目は、タイトル・ナンバーと言ってもいい曲だと思いますが、緊張感と外へと爆発していくようなパワーのある、ある種厳粛なまでの荒々しさを持った自然を想起させるような曲になっていますから、ちょっとイメージが合いません。
一方、17曲目「Connect」は、どちらかというとインダストリ合う風の無機質なボーカライゼーションを行っており、非常に対照的です。おそらくは、こちらの曲をイメージして、書かれた文章なのではないかと思います。
個人的な好みから行くと私はタイトル・ナンバーの方がすぐに気に入りました。ですが、聴き込んでいけばどうなるか分かりません。
作り方としては、バンドが自分たちの即興演奏を、ピーターに渡し、ピーターは自宅スタジオで歌をダビングしたということになります。先にご紹介したソファ・サウンドの更新の中でピーターは次のように書いています。
I also approached the two pieces onwhich I appear in a full spirit of improv, finding and recording tunes and theseeds of lyrical ideas on the first pass of hearing the material. I then veryquickly formed the full lyrics and sang the final vocal parts.
「1回目に聴きながら、歌詞的なアイディアの種を見付けて録音するという、完全に即興的なアプローチを行った。それから、とても素早く全部の歌詞を形作って、最終的なボーカル・パートを歌ったのだ。」
初聴の時に、聴きながら、即興的に言葉とメロディラインを見出して、それを録音し、その後で、全部の歌詞を素早く書いて録音した、ということですが、その場で作るというインプロビゼーションのお作法に加えて、やり直しをしないという意味でも非常に即興的なアプローチです。
このユニットは、このアルバムのために独立したサイトも用意しているようです。
また、キーボードのマークのサイトでもリリースについての記事を書いています。
録音は2016年。ピーターの歌うボーカルには、「...All That Might Have Been...」を連想させる部分もあり、自身の最新作「From the Trees」へと至る途中の姿を、そこに見て取ることも可能かもしれません。
ユニットの中心人物であるマークは、本作でフル参戦したマイク・ケネリーの提案で、ピアノ・デュオのアルバムをNOTOPIA名義で今月発表しました。マイクがフェンダー・ローズを弾き、マークがグランド・ピアノを弾いているそうです。
by BLOG Master 宮崎