蝶の毒 華の鎖 幻想夜話 | オッターテイル
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蝶の毒 華の鎖 幻想夜話

2023.06.03 Sat
choudoku_gensouyawa.jpg
「蝶の毒 華の鎖 幻想夜話」(PC)の感想です。
FDです。

※大人向けの作品なので苦手な方はご注意下さい※



蝶毒のリパッケージ版の感想はこちら
今作をプレイする為に再プレイしたのに、
こちらの作品に手を付けるのに時間が掛かってしまいました。

本編を初見でクリアした時は綺麗に終わってるし、
あれ以上のエピソードは蛇足だと思ったので、FDは遊ぶまいと思ってました。
乙女ゲーに限らず、多くのFDでせっかく綺麗な終わり方をしてるのに
ほじくりかえして 台無しになってしまう作品は少なからず存在するので
蝶毒は綺麗な思い出のままにしておきたいとFDに触れて無かったです。

リパッケージ版を手にするまでは本当に遊ぶつもりは無かったんですが、
FDを遊んでみて私の心配は杞憂に終わって良かったです。

【システム】
ノベル系の乙女ゲー。
蝶の毒 華の鎖のFDです。

グッドエンド、バッドエンドそれぞれの後日談が描かれてます。
全てのキャラを終えるとグッドルートでの
攻略対象目線が垣間見れるエピソードが解放されます。

あの場面ではそういう葛藤や思惑があったのか、と知れて面白かった。
ミニゲームで解放される「ご褒美」もあるんですが、
完全におふざけオマケシナリオです。
本編では絶対に見られる事無いドタバタ展開なので、好みは分かれそう。
私は蝶毒には正直こういうの求めて無かったから無くても良かったかな。


ボリュームはFDという感じで短編ではありますが、
地の文もしっかりしてるし、スチルも綺麗なので
本編が楽しめた方には楽しい作品です。

文章読んでて楽しい!
蛇足を恐れずにもっと早くプレイしてれば良かった。




※ネタバレを含むので畳みます※











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尾崎 秀雄
百合子と幼馴染。
堅物でややツンデレで初心な所が可愛い。

バッドエンド
百合子と秀雄さんは不倫関係エンドからの続き。
百合子は斯波さんとの子を産んでる上に斯波さんもこの二人の関係に容認してて
なんとも奇妙な状態。

二人が密会をし始めた頃はお互いだけを愛すると誓い合うも、
時が流れ百合子には心境の変化が見られ、
秀雄さんだけが取り残されてるお話しでした。

佐和子さんが懐妊した事を聞いても百合子はさほどショックは受けて無く
その上秀雄さんとの不倫関係も解消しても良いと持ち掛けた所を見るに
彼はただの都合の良い相手になってたみたいですね。

斯波さんが秀雄さんに「女は順応する生き物」だと
説き伏せたシーンは凄い印象的です。
百合子は母になった事で愛情は子供へ向けられ、
安定した生活を望んでて秀雄さんに対して以前の様な情熱は無くなってます。

一途だった秀雄さんには彼女の変化には
グロテスクに聞こえたのかもしれないけど、
百合子は母親になってしまったから遅かれ早かれそうなってたと思います。

百合子が妊娠するまで自由を許さなかったのは
斯波さんもそれを見越しての事だったんでしょうし。

佐和子さんの妊娠でお互いの両親が祝福してくれたり、
幸せそうな様子を見せられ己の幸せを問い苦悩する秀雄さんがとても哀れでした。


グッドエンド
事件から日が置かず、二人が新婚さん時代のお話し。
本編のグッドエンドでは既に二人の間には子供が居て
新種の鳥を見つける為にジャングルに居たから
普通に秀雄さんと百合子がラブラブしてる場面が見られなくて
残念だった事は覚えてます。

この後日談で過去に家の間にあった確執がまだ解消されて無い事とか、
嫁姑問題やら、秀雄さんの不器用さなどが見れて良かった。
ジャングルエンドは別に良いんだけど、
なんか色々飛ばされて勿体無く感じてしまった。

夜中屋敷の広場でこっそりとダンスの練習をしてる秀雄さんにはキュンと来たよ。



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瑞人
血が繋がって無い百合子の兄。
世間体もあるんだろうけど、血が繋がって無いと公表すれば
こそこそしなくても済む気がするんだけど、
そう簡単な事では無いのかな。


バッドエンド
秀雄さんを共犯者にする為に百合子、瑞人との乱交エンド後。

瑞人さんはこれで百合子との関係を保てると安心したのもつかの間、
百合子はあの乱交を経て 自分の体を使って人を手玉にする事を覚えてしまう。
色んな人と体の関係を持ち、黒幕である真島にたどり着いてしまう。

瑞人さんがこれ以上 男娼をしなくても良い様にと
百合子自らが男たちに体を差し出しでしまう。
本来は妹を守る為に瑞人さんが身売りをしてたのに
彼の思惑が全て裏目に出てしまった。

何が一番怖いって 鏡子さんや藤田も何食わぬ顔で瑞人さんと接してて
実は裏では百合子と体の関係を持ってるという事。

借財が無くなっても、百合子がこれからも体を売っていく事に変わりが無いので
彼女と瑞人さんはとことん落ちて行く運命。
藤田バットエンドの秘密倶楽部エンドみたいな結末になるのかな。


グッドエンド
瑞人さんと百合子がフランスへ行く前のお話し。
瑞人さんの実の叔母の家に厄介になってて、血は繋がって無くとも
兄妹として振るわなければいけない事に悩まされる百合子。

百合子と瑞人さんが恋人関係だと知らない斯波さんが
熱烈に彼女に求愛してる所も心苦しかった。

荒縄で縛られるのって痛そうだし苦しそうなのに
百合子さん縛られて興奮するって凄い上級者ですね・・・。

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藤田 均
執事さん。
なんだろう、年上系のキャラで普段ならば美味しいキャラなのに
何故か藤田さんイマイチ刺さらない。シチュエーションが特殊だからかな。
いじめられっ子気質でもあるから可哀想な気持ちになってしまう。

バッドエンド
百合子は斯波さんと結婚し、藤田は男妾として付いていったエンド後。

藤田さんを徹底的に苛め抜いてて 彼が可哀想でした。
百合子も分かって鏡子さんとの関係を疑う素振りを見せたり、
藤田さんに冷たい態度を取ったり、それで他の使用人の噂の的になったりと
誰も藤田さんの味方が居ない状況が 読んでて辛かった。

女性キャラが積極的になったり、Sになったりする展開は好きだけど
こういう立場の弱い人間を精神的に追い込むのは好きじゃないなー。


グッドエンド
藤田さんと百合子が屋敷を出る前のお話し。
お祖母さんに二人の仲を許してもらうも、
藤田さんが瑞人さんに嫉妬する様子を描いてます。

瑞人さんに対して嫉妬してるのは、
瑞人さんが実の兄では無い事を知ってるから百合子を取られるのでは無いかと
藤田さんは気が気では無かったんだろうけど・・・。

まさかバッドエンドのスパンキングが逆転してるとは思わなかった。
こういうプレイは好みでは無いので萌えなかった。

タバコを吸ってるスチルはドキっとしました。
百合子さん、藤田がタバコを吸ってる事知らないと言ってたけど
匂いは分からなかったのかな。


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斯波 純一
豪快な成り上がり。
二次元に良くある俺様キャラとは違い
無礼な所はあるけどあるけど礼儀も弁えてて
とても魅力的なキャラクターです。

嫌味を言われても笑い飛ばせる余裕を持ってる所も素敵だと思いました。

バッドエンド
百合子自殺未遂で失明。
斯波さんの屋敷の地下座敷牢で性奴隷エンド後のお話し。

私は毒を盛られて病死してしまう斯波さんのバッドエンドの方が印象深いです。
毒を盛られててるの知っててもあえて口にして、百合子と共に居られるだけで
幸せだと 日記に綴ってたのは胸が締め付けられました。
百合子は後悔しても後の祭り、ずっとその罪を背負って行く事になります。

あの後日談は無理だから分かってるんですが、
毒エンドの方が座敷牢エンドよりパンチ力強かったです。


グッドエンド
斯波さんと百合子が夫婦になった後日談。
他のルートのグッドエンド、バッドエンド共に
百合子に対してずっと一途で報われない彼を見るのが辛かったので、
この後日談で百合子と幸せそうにしてる姿を見れただけでも満足。

百合子に釣り合う為に身を粉にして成り上がって行ったのだから
本当にただただ幸せになって欲しいです。

子供と一緒に桜を見たいというささやかな夢を語り合う場面は凄い好き。

真島も好きだけど、斯波さんも好きだから
どっちかを選べと言われても選べない。

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真島 芳樹
父親違いの百合子の兄。
私は近親相姦物は苦手なんですが、
物語や文章がしっかりしてる作品だと
苦手な物でも純粋に楽しめるのが良いですね。

真島さんはものすごい悪党なのに、
百合子に接する時には爽やかな好青年で
このギャップがとても魅力的。

バッドエンド
共通バッドエンドの続き。
三郎の交通事故で百合子は一命を取り止めるが、
失明・聴覚を失い 真島に上海へ拉致される。

近親相姦を繰り返してる一族を悍ましく思い
復讐に燃えてても、百合子(妹)にどうしても惹かれてしまう
苦悩や愛憎入り混じる真島の独白は声優の大石恵三さんの
迫真の演技も相まってとても迫力があります。

本編でも何度か真島の呪詛を聞きましたが、
台詞の端々に彼が地べたを這いつくばって必死に生きて来たか
感じさせられる素晴らしい演技だと思います。

本編は何度か再プレイしてますが、
真島の台詞は飛ばさず聞き入ってしまいますね。

百合子は目も見えず、聞こえず一人では何も出来ない体になってしまい、
屋敷に居た時と同じ様に彼女に聞こえずとも百合子を「姫様」と呼び
甲斐甲斐しく世話をしたりと心からこの状況を喜んでる真島が悲しい。


グッドエンド
駆け落ちエンドの後日談。
百合子が居なくなってから両親の精神が不安定になったりだとか、
瑞人さんが抜け殻の様になっただとか、
睡眠薬を飲まないと眠れない状態に陥ってたりと
崩壊への一途を辿ってます。

真島さんの復讐計画は百合子の告白によって中断されてしまいましたが、
結局は彼の望んだ様な形に収まったという事でしょうか。

実は百合子の母親の様子がどうなってるか
もうちょっと知りたかったですが、
秀雄さんの報告以上に知る事が出来なかったのは残念。

本編の感想でも書いたんですが、
「女探偵」ルートみたいに百合子が全てを知った状態で
真島と向き合う後日談とかも見て見たかった。
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長い間寝かしてましたが、ようやく遊ぶ事が出来ました。
もっと早く遊んでれば良かったな、と思いつつも
FDを遊ぶのに蝶毒を再プレイする切っ掛けをくれたのは良かったと思ってます。

再プレイして思ったけど、やっぱり蝶毒面白かった。
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