中国にてEVの火災が増加。保険料はガソリン車よりも20%高く、各社とも激化する競争に対応するため開発期間を短縮し発売を急いだことが原因か - Life in the FAST LANE.

■そのほか自動車関連/ネタなど

中国にてEVの火災が増加。保険料はガソリン車よりも20%高く、各社とも激化する競争に対応するため開発期間を短縮し発売を急いだことが原因か

2022/10/05

中国にてEVの火災が増加。保険料はガソリン車よりも20%高く、各社とも激化する競争に対応するため開発期間を短縮し発売を急いだことが原因か

| 中国だけではなく、世界中で同様の問題が起こりうる |

やはり急激なEVシフトは様々なひずみを生むようだ

さて、中国にて「EVの保険料は、ガソリン車に比較して20%ほど高い」という報道。

現在中国はもっとも電動化が進んでいる国のひとつでもありますが、その理由としてはEVの(免税や減税など)政策が手厚いこと、そしてEVのナンバープレートは取得しやすくコストも安いこと。

日本では考えにくいものの、中国では自動車のナンバープレートを取得するのに多額のコストが掛かり(地域や時期によっても異なる。この取得費用によって中国は登録台数の抑制を行っている)、ガソリン車だと都市部では150万円くらいかかる、という話も。

ただしEVであればこういった取得費用が非常に低く、かつ待ち時間なしに(ガソリン車の場合は、コストの他、交付の順番待ちが長いといった問題もある)取得できることが多く、つまり中国政府は暗に「ガソリン車を買うな」と示しているわけですね。

保険料の高さは「修理コスト」に起因

ただ、今回報じられている「EVの保険費用の高さ」はそういった国の方針にかかわるものではなく、単に「修理コストが高いから」。

S&Pグローバル・レーティングスのディレクターであり保険に関する調査プロジェクトを推進しているウェンウェン・チェン氏によれば、「中国政府期間は2021年に、少なくとも3,000件の新エネルギー車(PHEV、EV、FCV)の火災が報告されている(ただし、具体的に、ガソリン車に比較してどう、という統計は無いようだ)」とのこと。

ポルシェ・タイカンのメーター
EVの火災発生率はガソリン車の2倍!かつEVは深刻かつ大規模リコールが多く、メーカーに大きなダメージを与えている模様。消費者にとっては車両コスト高、任意保険高騰など負担増か

| このまま「未体験ゾーン」へと一気に踏み込むと、自動車メーカーを苦しめ、社会的にも大きな問題を引き起こす可能性がありそうだ | やはりもうちょっとエレクトリック化はゆっくり進んだほうがいいのだと思う ...

続きを見る

そして自動車保険の料金を決定する要素は複数あり、その中の一つが「修理コスト」なのですが、EVの場合は、従来のクルマとパーツの互換性が殆どなく、かつ量産され始めて間もないのでパーツのコストが下がっておらず、よってどうしても修理にかかる費用が高くなってしまうようですね。

なお、アメリカでも同様の傾向が報告されていて、そもそもEVを修理できる工場も少なく、需給のバランスにて修理コストが高くなることも(米国でのEVの保険料高騰の理由として)指摘されています。

参考までに、アメリカでは、EVの保険料がガソリン車に比較して15%ほど高いそうですが、ほかの要因としては「アメリカで売れているEVが高価格帯のクルマばかりであること」も影響しているのだそう。

中国ではEVの販売が全体の25%までに上昇

現在中国では新エネルギー車の販売が急増しており、今年1月から8月というタームだと、新車販売の25%が新エネルギー車だといい、昨年の15%から大きく伸びています。

そして中国の危機管理省が発表した数値によると、火災が発生した新エネルギー車の数は昨年比で32%増加しているとされ、これは全車両平均の火災発生増加率である8.8%よりもずっと高い数字(全車両平均の8.8%もかなり高いとは思う)。

中国(上海)

保険会社「EVの事故はEVの特殊性に起因して修理費用が高額になる傾向がある。なおEVの事故は加速時に多く、ガソリン車に比較して50%多い」
保険会社「EVの事故はEVの特殊性に起因して修理費用が高額になる傾向がある。なおEVの事故は加速時に多く、ガソリン車に比較して50%多い」

| このままではEV普及のツケはそのユーザーに回ってきそう | これもまた急速にEVを普及させようとした副作用なのかもしれない さて、保険会社アクサ(AXA)がEV(電気自動車)の事故に関する特殊性を ...

続きを見る

電気自動車は一般に設計がシンプルになり、よって新規参入障壁がガソリン車に比較して著しく低いと言われ、そのため異業種からの参入が相次いでいる状況ですが、たとえば(スマートフォンの)ファーウェイは自動車メーカーのセレスとの提携によって「Aito」ブランドからわずか1年の間に3台ものニューモデルを発売しています。

実際のところ、ファーウェイは「自動車100年の歴史の中で、我々よりも素早く新型車を開発し市場に投入した例はない」とも語っており、今後も同様の例が続きそう(検索大手、バイドゥ(百度)も新エネルギー車への参入を表明している)。

ちなみにこのファーウェイの3台の新型車については、発売までの速度が記録的ならば量産の速度も記録的で、発売から87日で1万台の納車を突破し、これについてもファーウェイは「(自動車業界における)新型車の納車最速記録」だと主張。

「短期間で開発された自動車が急速に普及すること」自体は問題ではなく、ただし恐ろしいのは「問題を予見できないまま発売してしまった可能性があること」で、今後の成り行きについては注視を要するところだと思います。

合わせて読みたい、関連投稿

中国の新興EVメーカー、Xpeng(シャオペン)が驚異の成長を見せ、ついに20万台目を生産。10万台目から数えてわずか8ヶ月後に達成
中国の新興EVメーカー、Xpeng(シャオペン)が驚異の成長を見せ、ついに20万台目を生産。10万台目から数えてわずか8ヶ月後に達成

| この1−2年で自動車業界の勢力図は大きく変わりそうだ | 中国メーカーが「ガソリン禁止推進国」での販売を行うようになると、もはや日本の自動車メーカーの入り込むスペースはなくなるだろう さて、現在中 ...

続きを見る

no image
「ちょっとした事故でも車両購入金額の2倍の修理費用を請求された」。中国にてEVオーナーから苦情が噴出。いったいなぜこんなことに?

| EVのコストの40~60%がバッテリーパックによって占められ、これを損傷すると「全交換」に | 加えてEVは販売台数がまだ少なく、パーツ価格が割高だとも指摘されている さて、現在「EV先進国」とい ...

続きを見る

【動画】3週間廃車置場に放置していたテスラが突如燃える!EVはガソリン車と違い「乗ってなくても燃える」「燃えると消火が難しい」のが問題だ
【動画】3週間廃車置場に放置していたテスラが突如燃える!EVはガソリン車と違い「乗ってなくても燃える」「燃えると消火が難しい」のが問題だ

| さらには特殊な消化方法が必要となり、消化にかかる手間と時間もガソリン車とは大きく異る | EVの普及とともに様々な問題が出てくることになりそうだ さて、EVには発火の可能性が常につきまとい、統計上 ...

続きを見る

参照:CNBC

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, , , , , , ,