7年ほど前に行ったポルトガル一人旅の旅行記を綴っています。本日は第3話の更新です。これから読まれる方はまずは第1話と第2話をお読みください。
ポルトの観光地:マジェスティックカフェ
この日は朝一で行きたかったカフェ、マジェスティックカフェに向かった。ここはポルトの鉄板の観光スポットらしい。電車の出発まで時間があまりないことは知っていたが、どうしても来てみたかった。
カフェはクラシックな世界感でとても賑わっていた。昔はJKローリングが通っていたそうで、メニューは魔法学校の教科書のように重厚感がある。なんと書いてあるのかはまるでわからなかったが、有名っぽいやつを頼んでみたら、すごくおいしかった。フレンチトーストみたいなやつだ。
かなりおいしいな!と思って甘い食べ物にうつつを抜かしていたら本当に時間がやばくなってきた。
急いでタクシーを拾い、大急ぎで駅に向かう。
やった、出発の10分前に到着できた…!のだが、電車の乗り方がよくわからなくてついモタモタしてしまった。そして乗るべき電車に乗り遅れてしまった。。
残念だが次の便で行くしかない。チケットを買って次の便に乗った。
ポルトからアゲダへ
ここで電車の乗り方は攻略できたものの、またミスをしてしまった。今度は降りるべき駅で降りるのを忘れてしまったのだ。
しまった……!と後悔しているうちにもグングンと電車は進む。
この電車は指定席タイプの新幹線みたいなやつだ。一駅乗り過ごすとそのまま次の駅まで1時間くらい止まらないのですごく不安になった。どうしよう…。
まぁどうしようもないので来た道を戻るしかない。時間をかけて来た道を電車で戻っていると、目を疑うような光景を窓の外に見た。ん??
それは窓の外の風景だ。途中までは普通の青空なのに、途中からありえないようなドンヨリとした茶色になっている。まるでマッドマックスの砂嵐みたいな、世紀末感が半端ない空模様だ。
しかも、嫌なことに茶色の空の方がこれから行く方向だ。
あれ、さっき来たときはこんな空じゃなかったのになぁ。これからあの中に向かうのか……。これは怖すぎるな。
竜巻か何かが起きているのかなと思ったが、あまりよくわからなかった。
新幹線を降り、各駅列車でさらに30分ほど進む。乗り換えの時に日本語のガイドブックを見ている男の人がいたので、話しかけてみた。
「これはアゲダ行きですか?」今度こそ間違えないぞ。
普通列車の車窓からの風景はとりわけローカルだ。どこまでもとうもろこし畑が続く。こんなに田舎でのどかなんだなぁ。
向かっているのはアゲダという小さな街。ここではアンブレラスカイプロジェクトという傘祭りが開催されている。これを見るためにポルトガルに来たようなものだ。
アゲダに到着
ついに目的の駅に到着し、ようやくこれた!と思ったが、やっぱり空の色はやばい。でも風は吹いていないしなぁ。アゲダについて、念願の傘祭りの写真をパシャリ。
写真をこれでもかと撮り、満足してカフェに入ってみると、4人くらいいる店員が皆、ポカーンとテレビを見ている。テレビは斜め上についていたので4人揃って同じ方向を見ていて、相当なアホズラにみえた。
しかもみんな私が入ってきたことに気づいていない。アジア人を無視しているとかじゃなくて、本当に気づいていなさそうなのだ。
しかたなく私もテレビを見てみると、ニュースがやっていた。
ニュースキャスターがシリアスな雰囲気で話をしている。どうやら、アゲダで大規模な山火事が起きたようだ。
えっ、今いるところじゃん!!
だからこんな空の色なのか……。そりゃ店員さんもテレビに釘付けになっちゃうよね。と納得した。(ちなみにそのニュースはその後2日間くらいはずっとニュースで報道されていた。)
店を出て歩いていると、確かに小さな灰のようなものが飛んでいた。こりゃ大変だな。
アゲダは小さな街なのでさっき電車で会った日本人とまた会った。写真を撮ってもらったり、帰りの電車の時間を聞いたりと、色々頼ってしまったが、快く対応してくれた。いい人だね。
それで帰りの電車でちょっと仲良くなった。その人は京都の大学の院生で私と同い年。来年からは銀行員になるのだそうだ。
「リスボンにマツケンと小雪がいたよ!」と教えてくれた。そうなんだぁ。あの人の名前、聞いておけばよかったな。
その人と別れてから、私はコスタノヴァというところに向かった。
コスタノヴァを観光
コスタノヴァは港町なのだが、ストライプ模様の家が一列に並んでいてとても可愛らしい。漁師が船から自分の家がわかるよう、派手な色を家の壁に塗ったのがこの景観の始まりなのだとか。
とても可愛いじゃないか……。変態カメラマン並みにわたしは写真を撮りまくった。
帰りはバスに乗った。その日はホテルを移動する日だったので、バスの終点地アヴェイロからホテルのあるコインブラへとまた電車のチケットを買った。
コスタノヴァで長居をしてしまったため、あたりはもう真っ暗だ。わたしは急いでコインブラ行きの電車に乗った。のだが、なかなか電車が動かない。
ありゃ?どれくらい経っただろうか。
電車が停電した。大丈夫なのか……?と思ったが、なんとか動き出した。かなり心もとない。
そのまま長い事電車に揺られ、ぽつりぽつりと次第に人が減って行き、同じ車両にはわたしと金髪の綺麗なおばさんとスパニッシュ系の女の人だけが残った。そして、また電車が止まった……。
車掌さんが出てきて、とりあえず乗り換えをして欲しいから電車を降りてくれと言われた。ここで鈴木の不安はMAXになった。
時刻は22時頃。わたしは果たしてちゃんとホテルに辿りつけるのだろうか……。
コインブラにつけるのか…?
降りたところはパンピリョーザという辺鄙な駅だ。ここは一体どこなんだ。。
パンピリョーザのホームでは10人くらいの乗客たちが待ちぼうけになっていた。
もはや成すすべもないが、不安が顔に表れていたのか、金髪の綺麗なおばさんが話しかけてくれた。
「コインブラに行くの?わたしもよ。友人とディナーをする予定なんだけど、戻らなきゃいけないから急いでいるのよ。」みたいなことを言っていたのだと思う。
わたしは初めての一人旅でポルトガルに来たと言った。
結局乗っていた電車が動けることになって、目的地までなんとか辿り着くことができた。おばさんは最後まで気にかけてくれた。
自分も急いでいるのになんていい人なんだろう。ありがとう。コインブラのホテルも綺麗だった。
テレビを見たらアゲダの山火事のことがずっとニュースでやっていた。今日もいろんなことがあったなぁ。それからすぐに寝た。
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