タイヤを外した状態で空気圧を調整してもいいのでしょうか?
結論は、適正タイヤ空気圧付近であれば、問題ありません。
以下に、どうしてなのか説明していきます。
タイヤを車に装着し接地すると、車の重量の影響でタイヤが圧縮されて、接地側タイヤ外周の接点が線から面に変わります。
私の車のタイヤ、235/50R18では、接地面の長さは130mmでした。
では、下図をモデルに、最外周の円を取付け前のタイヤ、濃いグレーに塗りつぶした部分を取付け後に変形したタイヤとして、タイヤ内空間体積の違いを計算します。
なお、薄いグレーに塗りつぶした部分を ” 弓形 ” といいます。
計算には、下に示すタイヤの数字を使います。
タイヤサイズ | 235/50R18 |
タイヤ幅 | 235mm |
タイヤ高さ | 117.5mm |
タイヤ外径 | 692.2mm |
ホイール直径 | 457.2mm |
タイヤ半径(r)は、346.1mm。
弦の長さ(c)は、実測値より130mm。
式 c=2√h(2r-h) ⇒ h=r-√(4r^2-c^2)/2
なので、弓型の高さ(h)は、6.16mm。
あとは手抜きして計算サイト(kei!+san)を利用すると、弓形の面積(S)は534.9mm2。
タイヤ径、ホイール径、タイヤ幅、エアー空間の断面積比(下図)などから、エアー空間体積を計算すると34897542mm2。
弓形の面積とタイヤ幅とエアー空間の断面積比(下図)から計算した体積を引くと、タイヤ装着後のエアー空間体積は34822121mm2。
よって、タイヤ取付け前後での体積変化率を計算すると、0.9978。
例えば、タイヤ取付け前の空気圧(ゲージ圧)が ” 250kPa ” の場合、
圧力(P1)*体積(V1)=圧力(P2)*体積(V2)
により、取り付け後の空気圧(ゲージ圧)を絶対圧を用いて計算すると、
(250+101.3)/0.9978-101.3=250.8kPa
となります。
空気圧の増加は+0.8kPaなので、ほとんど変化しないことが分かります。
なお、接地面からのタイヤ高さを実測したところ686mmでした。
よって、タイヤがつぶれた高さは692.2-686=6.2mmとなり、弓形の高さ(h)の計算値と合っていました。
では、次にもっと極端なモデルを考えてみます。
タイヤの空気圧(ゲージ圧)が0kPaのとき、タイヤを車に取付けるとホイールのリムまでペシャンコになります。
この場合、空気圧(ゲージ圧)はいくらになるのか計算します。
hは、117.5mm。
cは、519.72mm。
弓形の面積(S)は、42,330.5mm2
弓形の面積とタイヤ幅とエアー空間の断面積比から計算した体積を引くと、28431558.1mm2。
タイヤ取付け前後での体積変化率を計算すると、0.81。
絶対圧を用いて計算します。
(0+101.3)/0.81-101.3=24kPa
タイヤ取付け後の空気圧(ゲージ圧)は24kPaになります。
つまり、タイヤの空気充填量が増えるにしたがって、タイヤ装着と非装着における空気圧の差が小さくなります。
そして、非装着の状態でも車をジャッキアップした状態でもタイヤを適正空気圧に調整するならば、自動車へ取り付け接地した際の空気圧は大きく変わらないということになります。
以上、タイヤ装着前後での空気圧の変化について、単純なモデルケースを想定したシミュレーションを行いました。
全く空気圧が変わらないということはありませんが、タイヤ圧力計の測定誤差範囲に十分収まる程度のわずかな変化しかないということが判明し、安心しました。
インターネット上には、タイヤ装着前後で空気圧が変化するという情報、変化しないという情報の両方があります。
そして、自分でモデルを立ててシミュレーションすることによって明らかにできたことは有意義でした。
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