会社員(竹内水産)
竹内 祐紀さん
取材月:2024年9月
「 ここは自然との距離が近くて、四季それぞれの“濃度”が高い。日本一きれいなオフィスだと思います」。窓の向こうに広がる海と山を眺めて、目を細める竹内さん。阿南市・椿泊漁港のほど近くでしらすの加工や鮮魚の仲卸を手がける竹内水産の一員として、販売や経理を担っています。
生まれも育ちも東京都。就職活動時も「 東京にいられること」を条件に転勤のない求人を探し、首都圏で自動販売機の運営や管理を行う企業に新卒入社しました。そこで任された人事の仕事に魅了され、さらなるスキルアップのためにスポーツメーカーに転職。都会での華やかな生活を満喫していました。
その後、都内の大手電機メーカーに勤めていた竹内昌平さんと出会い、2022年に結婚。家族への挨拶などで昌平さんの地元「徳島県に足を運ぶうちに、昌平さんが実家の家業である竹内水産の仕事に興味を持ちはじめたといいます。 「実は私、魚が大の苦手で……。でも、夫の実家から届いた魚は、初めて美味しく食べられたんです。そんな私だからこそ、すでに魚が好きな人はもちろん『魚が苦手で食べられない』と悩んでいる人にも、徳島の魚の魅力を広められる可能性があるかもしれない。そう思って夫の転職を後押ししました」。
決断の裏にはスポーツメーカーでの経験も。 「釣りやゴルフ、サイクルスポーツといった自然に密接した事業を展開していた前職。出張でいろんな地方を訪れる機会があって『自然の中で暮らすのもおもしろいかも』と考えていたところでした。それから、都内で育った私にとっては、全国各地から集まった同僚が話す“地元トーク”が羨ましくて。だから『第二のふるさとを作りたい!』とポジティブな気持ちで移住を決めました」。
2023年8月に徳島県での生活をスタート。「 移住前に数回訪れていたこともあって、ほとんど想像通り。ただ、自然環境に対する満足度は想像の何倍も大きかったです。実際に住んでみて、その良さをより感じられました」。
唯一苦労したのが自動車の運転。 やっぱり車がないと不便。長年ペーパードライバーだったので今でも練習中です。でも、自由でプライベートな空間で移動できて、たくさん買い物をしても荷物の心配がないのはすごく大きなメリット。満員電車のストレスから解放されたのが何より嬉しいです!」。
「2024年5月に第一子が誕生。出産を機に阿南市から徳島市へと引っ越しました。」出産前や出産後には、徳島市の交流施設「ふれあい健康館」で開かれた講座に参加して、助産師さんに子どもとの接し方を教わったり、他のお母さんたちと交流したりしたそう。 「徳島市内は保育所や小児科も充実していて、今のところ子育てをするうえでの困りごとはありません」。
現在は育児が中心の生活ですが、これから仕事にも徐々に復帰予定。「前職で人事として会社の魅力を伝えてきた経験を活かして、PRやマーケティング、ブランディングに取り組み、椿泊産しらすのさらなる販路拡大を目指します。」
【おすすめスポット】
竹内水産から車で10分ほどの高台に建つお宿「椿自然園」。宿泊はもちろん日帰りでの食事も楽しめ、館内のいたるところから橘湾の絶景を眺められます。敷地内の椿園では約700種3000本もの椿を栽培。見頃を迎える毎年3月頃には「 徳島つばきまつり」が開催されますよ。
【メッセージ、アドバイス】
豊かな海、山、川が揃っていて、それぞれのエリアによって異なる暮らしや産業が息づく徳島県。もし移住先を迷っている方がいれば、自分がしたいことを明確にしてから探すことをおすすめします!