【茨城新聞】いばらき春秋

【いばらき春秋】

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校歌を聞くと特別な思いがよみがえる人は多いだろう。歌詞には古里の情景や学びやの楽しさが込められている。将来の目標を奮い立たせる内容や、時代を映す言葉も多い。年代によって「校歌らしさ」の違いはあるかもしれない

▼不思議な感覚になるものもある。作者は、先日92歳で亡くなった詩人の谷川俊太郎さん。全国100を超える学校で作詞してきた。県内でも中学校や高校にその名が刻まれている

▼県立中央高では「ひとりはるかを夢見るときも 人は人に学んで生きる 国々をこえ時代をこえて」、磯原郷英高では「この星をふるさととして 無限の宇宙へまなざし高く」と表現した

▼星や宇宙という言葉に触れるとどきりとするが、作者の名前を聞けば納得がいく。数々の詩集で宇宙の壮大さと小さな人間の対比を描きつつ、心は無限に広く大きいことをつづっている

▼校歌からは自由や学びの深さも読み取れる。詩人のまなざしは、歌詞を胸に刻んで歩み出す児童生徒の背中をそっと押すようだ

▼谷川さんは作詞に当たって、学校の個性を大切にして書いたと記している。その上で「校歌を本当に実らせることができるのは皆さん自身」と訴えかける。子どもたちの励みになるに違いない。(綿)



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