「飽く」vs.「飽きる」 #2 : 専修大学文学部林ゼミ写真帳
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2006年 09月 19日
「飽く」vs.「飽きる」 #2
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昨日の記事に取り上げたように、日本の東の地域では一般に上一段型の動詞「飽きる」を使います。

 飽きるまで続ける興味本位のブログです。



一方、これとは別に次のように使われる「あく」があります。

 あくまで(も)私個人の主観に基づくものです。

こちらは、文法的には「あくまで(も)」で一語の副詞として扱われます。しかし、これは本来四段活用の動詞「飽く」に助詞の「まで(も)」が付いて副詞となったもので、それに応じて語義も《いやになるまで》の意から《どこまでも・徹底的に》の意に転じたものです。

つまり、動詞としては下一段型動詞の「飽きる」を使う地域にも、このような四段型の「飽く」の使われた痕跡が、言葉の化石として残っているわけです。

二つ以上の言葉の結びついた複合語の中には、古い形が閉じこめられていることがよくあります。「あくまで(も)」もそのようなものの一つにあたる言葉です。

一昨日の曼珠沙華がもうすぐ花を開きそうです。
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*撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm(SC) f1.4

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-09-19 14:42 | 言語・文化雑考


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