2006年 06月 24日
昨日予告した地口行燈の続きは、用例の整理に時間がかかるので、もうしばらく待って下さい。 その代わりに別の話題を用意しました。 この写真は、牛肉と豆腐の煮込みが看板肴の、その筋にはよく知られた某居酒屋、そこのボトルキープ棚です。並んでいるのは600ml入り焼酎の酒瓶。"目の子勘定"でも200本以上あるのは確実。この店の馴染み客の多さを如実に示しています。 瓶のラベル表面にマジックで書かれた所有者の名前をぼんやり眺めているうちに、それらがどういう基準で並べられているのかを知りたくなり、梅割りを呑みながら目視点検をしてみました。 縦横の棚は五十音図の行ごとに仕切られています。ところがその順序は必ずしもアカサタナ・・ではないことに気づきました。 棚の配列順を左上から写真に対応させて示すと、次のようになります。 ナ ヤ・ワ マ ア① ハ タ ア② カ① (ストック) サ① カ② (ストック) サ② ? (空き棚) アカサの三行は、それぞれ二つに分けられ、ア①は「ア・イ」、ア②は「ウ・エ・オ」という具合に細分されています。この三行だけで全体の半数以上を占めるのは、辞書の見出し語に見られる状況と同じことで、はからずも日本語語彙の頭音の分布状況を示す結果となっています。 ヤ・ワ行の棚にはラ行の名前も入ることになっているはずですが、一見したところでは一本もなさそう。これは、ラ行音で始まる単語が、本来の和語にはなかったことを示す現象ですね。 ただ、どうして行の配列が五十音順になっていないのか。 そのわけをご亭主に聞いてみようかとも思ったのですが、なにしろ客がひっきりなしに入ってくるので、とてもそんな暇はない。私のも中央二段目の棚にキープしておいたので、いつか折を見つけて聞いてみたいと思ってます。しかしその前に、誰かその理由を推理してみませんか。 ものの名前の並べ方という問題も、立派な社会言語学的テーマになります。 「居酒屋のボトルキープ棚における配列順をめぐって」などという卒論題目はアリです。 ただしその調査に少々お金がかかるのと、下戸には向かないところが欠点ですがね(^^; *撮影機材:RICOH GR-DIGITAL 28mm f2.4
by YOSHIO_HAYASHI
| 2006-06-24 12:10
| 身辺雑記
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