11月になったので今月読もうと思っているおもしろそうな本を紹介する - 基本読書

基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

11月になったので今月読もうと思っているおもしろそうな本を紹介する

11月になったので今月読もうと思っている本(の一部)を紹介しようと思う。別の記事を書いていた(異常論文アンソロジーの『異常論文』)のだけどあまりに重くて疲れ果ててしまったので別の文章を息抜きに書きたくなったのだ。

「これから読む本」なので、当然まだ読んでいない。完全に憶測でおもしろそうと思った本たちであり、特におすすめというわけではない。なぜ読みたいと思ったのかを書く。主に10月後半刊、11月刊行予定のもの。

小説

最初はSF関連からいくが、ジェームズ・ローレンス・パウエル『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』(国書刊行会)がおもしろそう。著者は本職の地質学者でレーガン、ブッシュ政権下での仕事もあるなどけっこうな重鎮だが、本作はSFらしい。

先月はギリシャの経済学者にして政治家のヤニス・バルファキスが資本主義以外の選択肢をSFの形で提示してみせた『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』も出ていたが、未来への警告や「ありえるかもしれない未来」をSF小説の形で發表する、というのは今後ますます増えていきそうな感じもある。たいていこういうのって小説としてはなんにもおもしろくないがシミュレーション的には楽しめる。

もう一冊国書刊行会からSFっぽいのがあって、それがピエール・マッコルラン『黄色い笑い/悪意』。黄色い笑いは「奇妙な笑い病のパンデミックがこの世を滅亡させる、世界終末論的疫病小説」(紹介文から引用)らしい。おもしろそう。この数年中国SFが話題だが、韓国SFもおもしろい作品・作家が数多くいて、こっちももっと話題になってもいいのになあと思っている(僕ももっとプッシュすればいいんだけど)。翻訳作品もちゃんと出続けていて、たとえばチョン・ソンランの『千個の青』も先月の19日ころに出ている。安楽死の危機に瀕した競走馬と廃棄が決まったヒューマノイド騎手の物語ということで、かなり泣かせにきているかんじ。同じく韓国作家の作品としてはイ・コンニム『世界を超えて私はあなたに会いに行く』が先月刊行。母のいない少女のもとに1982年を生きる別の時間線の自分自身から手紙が届く──というかんじで、これも好みではなさそうが読む。あと韓国ではないが細かいところだと『自転車泥棒』など幻想文学の名手呉明益の短編集『雨の島』が出るのでこれも読む。これにもSF短編っぽいのが含まれるらしい。SF以外だと早川書房がやけに気合を入れて送り出してきている新人賞受賞作の逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』が11月17日刊行。新人賞受賞作とは思えない部数(3万だったっけ??)に選考委員全員が5点満点など話題は豊富。これは必ず読む。ファンタジィの名手フランシス・ハーディングの新刊長篇『ガラスの顔』も11月12日刊行なので絶対読む。著者の作品は『カッコーの歌』、『嘘の木』、『影を呑んだ少女』など全部読んでいるが、一つたりとも外れがなく高水準でまとまっている。

ノンフィクション

ノンフィクションで一番楽しみにしているのはイアン・スチュアートの『不確実性を飼いならす——予測不能な世界を読み解く科学』。確率論、統計学、カオス理論、量子力学を使って予測不能な部分を予測しようとする試みについて書かれているらしい。著者はこの手のものを書かせたらうまいからハズレはないでしょう。みすず書房から10月の20日に出た『エッセンシャル仏教――教理・歴史・多様化』も読む予定。仏教を研究するアメリカの碩学がおくる世界標準の入門書だとか。みすず書房からは11月にジョン・グレイ『猫に学ぶ いかに良く生きるか』という猫哲学・猫考察の本も出る。興味あるが猫についてそんなに考えてどうするんだ感もある。あと『時間は存在しない』のカルロ・ロヴェッリの最新邦訳が『世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論』として10月末に出ているのでこれも読む予定。ただ、この人果たしてまだ書くことがあるんだろうか……。内容紹介を読んでも量子論について詩的に語っていることぐらいしかわからん……。幸田正典『魚にも自分がわかる ――動物認知研究の最先端』(ちくま新書)は書評依頼があったので仕事で読む本だが趣味的にもおもしろそう。魚も鏡をみてそこにうつった寄生虫をとろうとするんだとか。すごい。硬くないロボットについての話のようである鈴森康一『いいかげんなロボット: ソフトロボットが創るしなやかな未来』(化学同人)は絶対読む枠。著者の過去作的にも外れはなさそう。あと最後にSF関連だが巽孝之『サイバーパンク・アメリカ 増補新版』も読む予定。「W.ギブスン、B.スターリングとの対談を増補。」だとか。

11月はノンフィクションでこれは読みたいな〜〜という層が薄いのでなんかオススメがあれば教えて下さい。もちろん小説でも可。