ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書) - 基本読書

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ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書)

前に一度ライトノベル電子書籍で読むのに適しているというような記事を書いたが、あれは何もライトノベルに限った話ではなく読み捨てるようなしょうもない本にも当てはまる。たとえば新書とか。僕は新書を読むのが結構好きで、さらっと30分ぐらいで読み流すのも好きだし、ガッツリ取り組むようなものもあるのでそれらをだらだらと楽しんでいる。最近はさらっと読み流すような新書をぽちぽち買って一応全部目を通す。

そしてアスキー新書はたいていさらっと30分ぐらいで興味のあるところを読み流すのに適しているような、あんまり中身の無い新書が多い。この電子書籍大国アメリカもそんな感じで、まあさくっとアメリカの電子書籍事情について知りたいときに読むと、そこそこ満足できるような内容。馬鹿なことを言っているわけでもないし、特段なんじゃそりゃーー!! ということもないけれど、「へえ〜そうなのか〜」と知らなかったがちょこちょこある。

ただし2010年の話。ただしまあ、状況はそう大きく変わっているわけではないので(日本でKindleが開始したりはしたけれど)、よしよし。日本とアメリカは事情が違うのでそのまま適用できないのはもちろんだけど、まああまり騒ぎ立てるものでもないでしょう。たかだかメディアが変わるだけですよ。文字もしくはイメージ情報があって、人から人に情報が伝わるっていう、ことの本質が変わるわけじゃない。コンテンツがメディアによって影響を受けるのは確かだけど。

面白かったのはだから、電子書籍をめぐる状況ちうよりかは、アメリカの出版社と日本の出版社の違いみたいなところですね。たとえば本のサイクルがまったく違う。日本はブームとか旬とかがあるので、さっと書いてさっと出して、初動が出たらあとはもう知らん、みたいな状況があるけど(特にこの新書みたいな読み飛ばし推奨本)それをアメリカの編集者にいうと「本当に本を書いているの? 雑誌記事の間違いじゃないの?」という反応が帰ってくるらしい。

ちうのもアメリカの出版社は1年は増刷しなくてもすむぐらいのペースで計算して初版部数を決めて、恒久的、普遍的に残っていくものであることを要求される。つまり「今コレが話題になっているからコレをサッとつくって売り抜けちまおう!」という視点は基本的に本ではやらずに、雑誌や新聞にまかせているわけですね。まあそらそーだよなあと思うものの、日本の場合はとにかく出る数が多いもんでアメリカには存在しない隙間狙いのさまざまなパッケージが出ているだけじゃないかなーという気もする。

あとアメリカでは「ブック・ドクター」と呼ばれるフリーの編集者やら、本のマーケティングだけを請け負うPR会社がたくさんあるそうで、そういうのは日本にないので読んでて面白かったですね。フリーの編集者って今どんだけいるもんなんだろうな。正直言って紙の本であまり部数がでないんだったら、あとは出版社の役割って宣伝と編集ぐらいだと思うんだけど、それだったらわざわざ出版社を通さなくてもいいよねと思う。

今後は少人数のチーム(著者と、編集と、あとは営業・宣伝がいたらいいかなって感じ?)で物をぽんぽんと出して、仕事が終わったら解散してもいいし、あるいはその少人数チームでやってもいいしっていう感じで小規模な仕事が増えるのではなかろうか。もっともそれが生活できるほどの利益になるのかっていったら、そんなものは人によるとしかいえないわけだけど。

電子書籍がうんたら〜と語る時に必要なのは自分がどの立場にいる人間で、今後どうしていきたいのかってことなんだろうけど、僕にはそれはない。

ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書)

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