三時間近い長丁場ということでなかなか行けずに躊躇していたんですがこれがまあ素晴らしい。なんというかピーター・ジャクソン監督のこの世界は観ると「わあ、帰ってきた」という気分にさせられる。壮大な青空、険しい山道、のどかな森の中、薄暗くゴミゴミした洞窟の中、エルフ達が住む神秘的な場所に、それからなんといっても平凡そのもののホビット荘。彼らは故郷を得るために、つらい冒険に出る。竜殺しだ。
絶景の中を歩いて行く大小様々な身長を持ったホビット、ドワーフ、魔法使い、それを遠景で広大な風景と一緒に映しだした映像を連続して流すところなど、うわーーーこれだぜーーーーと一人興奮してしまった。いやー冒険なんてしたことないけど、危険なところに飛び込むギリギリのスリル! 求める物を追い求める純粋さ、熱意! それからなんといっても、「観たこともない風景」を次々と追い求めていくのが冒険なんだよ!!
そこをねー、ガンダルフやその半分ぐらいの身長しか無いドワーフとホビットが一列になって歩くのがいい。ちぐはぐで。ちぐはぐがいい。戦闘の場面は、まだまだ序章な為ロード・オブ・ザ・リング程派手ではない(最後のほうの戦争を想像)。当たり前だけど。でもなんかこじんまりした戦闘でも、良かったと思ったのはなぜなんだろう。
広大な大地の上を走って逃げたり、岩山を飛び跳ねて逃げたり、せせこましい場所でトロールと戦ったり(ホビットとドワーフは小さいので戦いがちぐはぐで面白い)、洞窟の中で逃げながら、もみくちゃにされながら戦ったり、木の上に追い詰められたり、とにかく戦場がバラエティ富んでいて状況も多様なのは面白さの一つだと思う。
どれひとつとして同じ状況は無い上に、常に絶対的なピンチに襲われる。まるでかなわない! と尻尾をまいて逃げ出すときもあれば、走って逃げながらなんとか戦況を整えようとするときもある。まあ考えてみればドワーフなんてちびっこい奴らがそんなに強いようにも思えないんだけど、とにかく負けまくるのはみていておもしろい。
あとなんといってもこの映画のウリは大量のイケメン親父がみれるところだろう。大半はドワーフなので、子どもみたいな身体におっさんの顔が載っているが、これがまたいい。今時ヒロインもおらず、美形の女の子がほぼ画面に出てこないハリウッド映画なんてなかなかお目にかかれないぞ。
オススメ。