新書 カテゴリーの記事一覧 - 基本読書

基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

新書

がん治療を一変させる可能性を持った、新たな治療法の誕生と発展──『がんの消滅―天才医師が挑む光免疫療法―』

がんの消滅:天才医師が挑む光免疫療法 (新潮新書)作者:芹澤 健介新潮社Amazonこの『がんの消滅』は、新たながんの治療法として注目を集める「光免疫療法」について書かれた一冊である。光免疫療法はすでに米国や日本で一部の症例に対して承認され、標準治療…

魚にはどれだけの知性があるのか?──『魚にも自分がわかる──動物認知研究の最先端』

魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書)作者:幸田正典筑摩書房Amazonこの『魚にも自分がわかる』は、「魚の自己認識」、はてはその先の問いかけとして魚の知性について書かれた一冊である。魚は脳も小さいし、餌に飛びつくような本能的な動…

認知科学の観点からいえる、最強の英語学習法──『英語独習法』

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)作者:今井 むつみ発売日: 2020/12/19メディア: 新書この『英語独習法』は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみによる、認知科学の観点から考えた最強の英語学習について書かれた一冊である。『「わかりやすく教え…

東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』

ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ)作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版この『ゲンロン戦記』は、ゲンロンという、SF作家養成や批評家養成スクールを開いたり、批評家や作家や哲学者らの対談イベントを自前のカフェで開いた…

様々な宇宙の形、時空の形を知ることができる格好の時間入門──『時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて』

時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて (ブルーバックス)作者:高水裕一発売日: 2020/07/20メディア: Kindle版時間は逆戻りするのか。普通に生きていると時間は一定の方角に向かって流れていくので逆戻りなどするような感じはしないが、実は…

ペストから新型コロナまで──『人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差』

人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)作者:詫摩 佳代発売日: 2020/04/18メディア: 新書4月18日頃刊行の新書なのでなんともタイムリーな……と読み始めてみたが、コロナ騒動が持ち上がってから書き飛ばされたような新書ではなく、数年に…

チバニアン認定の歴史が、科学的な意義深さも含めてしっかり理解できる──『地磁気逆転と「チバニアン」 地球の磁場は、なぜ逆転するのか』

地磁気逆転と「チバニアン」 地球の磁場は、なぜ逆転するのか (ブルーバックス)作者:菅沼 悠介発売日: 2020/03/18メディア: 新書2020年の1月に、46億年の地球の歴史区分して表す世界共通の地質年代のひとつとして「チバニアン」が採用されることになった。「…

「思い通りにいかないこと」を前提として考える──『悲観する力』

悲観する力 (幻冬舎新書)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2019/01/30メディア: 新書この商品を含むブログを見る「悲観」についての本である。著者は作家の森博嗣氏。この書名を見た時、「ああ、これは(森氏が書くのに)ぴったりだなあ」と思った…

失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』

本書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一本の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発さ…

ロケットエンジンの基礎が概観できる最高の一冊──『宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来』

宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来 (中公新書)作者: 小泉宏之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る中公新書は『小惑星探査機はやぶさ』や『NASA─宇宙開発の60年』など、素晴…

けものフレンズのプロデューサーが語る、アニメビジネスの金の流れ──『アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み』

アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み (星海社新書)作者: 福原慶匡出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/03/25メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る福原慶匡さんは、今では『けものフレンズ』の制作会社ヤオヨロズの…

本は自分で選ぶべし──『読書の価値』

読書の価値 (NHK出版新書 547)作者: 森博嗣出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2018/04/06メディア: 新書この商品を含むブログを見る森博嗣さんによる読書についてのテーマ・エッセイ本である。これまでも森博嗣さんはエッセイや日記の中でも繰り返し、あるい…

人の意識を機械に移植できるのか──『脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦』

脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)作者: 渡辺正峰出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/11/18メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る人の意識は機械に移植できるのだろうか。SFなどではおなじみのテーマだけれども、現実…

我々の宇宙はなぜ「できすぎて」いるのか──『マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか』

マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書)作者: 野村泰紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/07/26メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る本書はその書名のとおりに、この世界には我々が今住んでいる宇宙以外に…

サイエンス重視の意思決定ではもはややっていけない──『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)作者: 山口周出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/07/19メディア: 新書この商品を含むブログを見るHONZは自分の好き勝手に本を紹介するサイトなので、同…

見せかけの繁栄に潜む空前絶後の社会矛盾──『「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄』

「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄 (文春新書)作者: 顔伯鈞,安田峰俊出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る本書は著者である顔伯鈞さんの当局から逃げ続ける逃亡記を元に、編訳者で…

映画の売り方──『ジブリの仲間たち』

ジブリの仲間たち (新潮新書)作者: 鈴木敏夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/06/16メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見るジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんが今まで「どのようにして映画を売ってきたのか」をわりと率直に語っている聞き…

人間と機械の境界を探る──『明日、機械がヒトになる ルポ最新科学』

明日、機械がヒトになる ルポ最新科学 (講談社現代新書)作者: 海猫沢めろん出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/05/18メディア: 新書この商品を含むブログを見るSR(代替現実)、3Dプリンタ、アンドロイド、AI(人工知能)、ヒューマンビッグデータ、BM…

なぜ疑似科学が社会を動かすのか

なぜ疑似科学が社会を動かすのか (PHP新書)作者: 石川幹人出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2016/02/16メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る「なぜ疑似科学が社会を動かすのか」という書名だが、これ自体はそうそう不思議なものではない。何し…

作家・冲方丁による物語論/人生論──『偶然を生きる』

偶然を生きる (角川新書)作者: 冲方丁出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2016/03/10メディア: 新書この商品を含むブログを見るもうすぐ(3/24)マルドゥック・スクランブルをはじめとするシリーズ最新作『マルドゥック・アノニマス』の一巻が出るので…

ロボットを通じて人間を知る──『アンドロイドは人間になれるか』

アンドロイドは人間になれるか (文春新書)作者: 石黒浩出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/12/18メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見るロボット演劇、ロボット落語、機能を絞ることで達成目標を明確にしたロボットの数々など幅広い活動を通し…

「使命」ではなく職業的作家の「仕事」として──『作家の収支』

作家の収支 (幻冬舎新書)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/11/28メディア: 新書この商品を含むブログを見る作家・森博嗣さんによる作家業における全体の収支を明かした一冊になる。そもそも、いくら儲かりましたぜげへへみたいな金儲けの話…

職業がもたらす特殊な習慣や傾向──『作家という病』

作家という病 (講談社現代新書)作者: 校條剛出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/07/16メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る長年新潮社に勤め、文芸、文学界で編集者として活躍してきた校條剛さんが放つ作品ではなくエピソード集/作家評論のよ…

(面白さ)の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書) by 都留泰作

面白さというのは基本的には主観的なものであり、「何が面白くて」「何が面白く無いのか」と分類するのは脳科学的な研究でもなければ随分難しいことだ。プロット等の構造的な部分については、受け手側の体験から切り離してある程度穴などをチェックできるか…

鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書) by 川上量生

これは凄く良かった。どこかが突出して良い、コンセプトがいいというよりかは全体的に満遍なく良い。スタジオジブリの「熱風」という一般には販売されていない雑誌に連載されていたもので、「鈴木敏夫さんでもわかるように」書かれているので僕の両親(50代半…

文系の壁 (PHP新書) by 養老孟司

久々に新書。なんか五年ぐらい前と比べると今の新書はどれも大変うすっぺらくつまらない上に対談本含有率が高くなって(主観的な割合だが)げんなりなのだが、本書もまた対談本である。それでも何故買ったのかといえば対談相手の一人が森博嗣さんだったからだ…

友だちはいらない。 by 押井守

友だちはいらない。(TV Bros.新書) (TOKYO NEWS MOOK 481号)作者: 押井守出版社/メーカー: 東京ニュース通信社発売日: 2015/04/30メディア: ムックこの商品を含むブログを見るぱらっとめくってみて「げ、聞き書きかよお」と思ってしまったけどめっぽう面白…

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書) by 荒木飛呂彦

漫画家荒木飛呂彦による漫画術。どういう意図でタイトルをつけて、情報を与えることを意図して一コマ目を設定し、ページの割り振りを決定し、情報量をコントロールして展開していくのかを自作を使って解説しくれるめちゃくちゃ贅沢な本だ。これはあれかな、…

一本の槍──『声優魂 (星海社新書) 』by 大塚明夫

自分のやりたいことが明確に規定できている人間は圧倒的に強い。それはいってみれば覚悟がキマっているということだから。この道で生きていく、あるいは自分はこれをやる為に生まれてきたのだという強烈な「思い込み」。もちろんかみさまーが上から現れて「…

イスラーム国の衝撃 (文春新書) by 池内恵

イスラム国関連の書籍をざっと4,5冊読んだが1冊選ぶとしたらこれだな。次点としてロレッタ・ナポリオーニの『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』はイスラム国のメディア戦略とテクノロジー、あとは世界政治の中での立位置にページを割いていてまと…