2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧 - 基本読書

基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

マニフェスト 本の未来

米国の電子書籍事情は諸々の理由があって日本より随分先に進んでいる。最近Kindleで洋書をよく物色していることもあって驚くのが、特にここ数年以内に出版されたものについてはほぼすべてKindleに揃ってるんですよね。「あ、これないな」と行き当たることが…

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

九井諒子さんの短篇集は味わい深い。僕は漫画は基本的に一冊で完結しているやつか、短篇集ぐらいしか買わないんだけど(出来のいい短編漫画がこの世にはたくさんあるのだ)、これはその中でもぴかいちのでき。前作からも個人的には大いに進化していると思いま…

本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術:小飼弾

著:小飼弾さん。ぱらぱらぱらーーーっと一冊の本をあっという間に読んでしまう方なので「年間だとどれぐらい読んでいるのかなあ」と不思議だったんですが1,000,000ページですか。一冊多めに300ページ平均としたらうーん……3300冊ぐらい? 正直言って…

企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書):松井博

前著である『僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる』がたいへんおもしろい一冊だったのでこちらも期待して読み始めたのですけど期待ハズレ。ばらっばらのテーマを「帝国化」なんていう適当なワードに押し込めて短い枚数で表面だ…

とても言葉では言い表せぬ『ニッケルオデオン 緑 (IKKI COMIX)』:道満晴明

たいへん素晴らしいので面白い漫画を探している人間であれば迷わず読むべし。全て8ページで完結しているショートショートで、話に繋がりはほぼない。ニッケルオデオン 赤 というのが過去に出ているがこれとも繋がりはほぼないので、緑から読もうが赤から読…

潤滑油『新編 SF翻訳講座 (河出文庫)』:大森望

書評家であり翻訳家である大森望さんによる翻訳講座(若干偽りあり)。今では本の雑誌で特集が組まれるまでになったすごい人である。僕もどこで名前を覚えたのかさっぱりわからないが、とにかくSF作家関係の講演会や対談(神林長平さんや円城塔さんとか他多数…

経済大陸アフリカ (中公新書):平野克己

最近の中公新書は『国際秩序』も良かったが、この経済大国アフリカも良い出来でとても良い思いをさせてもらっている。今国際関係というか、国と国の間でのパワーゲームというか、資源の配分や戦略を見ていくのをCivilizationのようなゲーム展開をみているよ…

ウサマ・ビンラディン暗殺という無理ゲー『ゼロ・ダーク・サーティ』

映画は極力前情報を仕入れずに見に行くのが好きなので、この映画もタイトルしか知らずにみてきたのだが、当たりだった。ウサマ・ビンラディンを長い期間にわたって追いかけ、HitするまでをCIA全面協力プラス多数の証言を元に構成した映画になる。見た後で調…

押井守監督最新作『ちまみれマイ・らぶ』

原作・監督押井守。キャラクターデザイン・左。脚本は山邑圭という方。この方、脚本家をやられているようですがあまり聞かない名前ですね。iPadなどのデジタルアプリとして出ておりまして、一話ごとに250円払って買っていくタイプのお話になります。現在…

ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書)

前に一度ライトノベルは電子書籍で読むのに適しているというような記事を書いたが、あれは何もライトノベルに限った話ではなく読み捨てるようなしょうもない本にも当てはまる。たとえば新書とか。僕は新書を読むのが結構好きで、さらっと30分ぐらいで読み…

ああ……心底好きだなあ……『咎人の星 (ハヤカワ文庫JA)』ゆずはらとしゆき

なんだかとってもいいものを読んだ。涙を流しながら感動に打ち震える作品でもないし、手に汗握って興奮する作品でもない。そのテーマの深さに感じ入るわけでもなければ描写の巧みさに見入るわけでもない。でもこの世界と、不器用なキャラクタと、簡単には納…

いろんなキミトピアがあるってこったよ『キミトピア』舞城王太郎

舞城王太郎の最新短篇集。原題(?)YOUTOPIA、ユートピアの語源は『どこにもない場所』になるけれど、YOUTOPIAはここでいうと君と私のどこまでも現実的な世界になるだろうか。7編の短編が収められていてそのどれもが身近にある人間関係の、夫婦関係の、ある…

興奮の草創期から没落、再起まで一通りの浪漫がここにある。『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』西田宗千佳

プレイステーション立ち上げ秘話みたいなものは一度『ゲームの流儀』というインタビュー集の中で、丸山茂雄さんが語っているのをよんだことがあって、おもしろい話だった。草創期の興奮というか、ゲームはどんなに高くても、どんなクソゲーでも出したら売れ…

歴史家は過去を想像し、未来を想起する『歴史とは何か (岩波新書)』E.H. カー

歴史と言われて思い浮かべるのは人様々だろうが僕の場合は学校の歴史の時間が最初に思い浮かぶ。年表が線上にあって、その時時でなにがあって、どんなことになったのかだけが整然と羅列していくさまをみて、覚えていくのが歴史なのだと思っていた。当然苦痛…

偉大な文学作品であり、かつ偉大な講義『ナボコフの文学講義』:ナボコフ

日本では一度『ヨーロッパ文学講義』として出ていたが長らく絶版。今回こうして文庫として出ることになり、僕もたまたま興味を持って読んでみた。ナボコフは1940年の5月にアメリカにやってきて、国際教育研究所で抗議し、スタンフォード大学でロシア文…