ビズリーチ・AMBI・エンミドルの転職を徹底比較! ハイキャリア向けダイレクトリクルーティングの特徴とは? | HRog | 人材業界の一歩先を照らすメディア

ビズリーチ・AMBI・エンミドルの転職を徹底比較! ハイキャリア向けダイレクトリクルーティングの特徴とは?

人材獲得競争が激化する中、従来の求人広告だけで専門人材やハイクラス人材を獲得するのは難しくなりつつあります。そんな中、経験者採用において注目を集めている採用手法がダイレクトリクルーティングです。本記事では求人データ分析ツール「HRogチャート」を活用し、ハイキャリア向けダイレクトリクルーティングサービスの特徴についてWeb上で一般公開されている求人情報から分析していきます。

ハイキャリア向けダイレクトリクルーティング、各サービスから見る市場の特徴は?

求人データ分析を行う前に、今回分析する3つのサービスの特徴を解説します。ハイキャリア人材の獲得競争が激しさを増す中で、これらのサービスはどのように事業規模を拡大しているのでしょうか?

ビズリーチ

ビズリーチ」は、Visionalグループにて人材採用・HR関連事業を扱う株式会社ビズリーチが運営する、管理職・スペシャリスト・グローバル人材などのハイクラス人材に特化したダイレクトリクルーティングサービスです。

求職者は「ビズリーチ」による独自審査を通過した人のみが登録できるシステムとなっている他、人材サービスには珍しい有料会員プランを設けており、即戦力かつ転職意欲の高い会員が登録しているのが特徴です。

2024年7月期 第3四半期のグループ決算説明資料によると、現在のスカウト可能会員数は247万人(前年比104%)、年次利用企業数は企業数13,400社(前年比128%)と堅調に増加。プロフェッショナル人材への採用ニーズの高まりや、雇用の流動化を背景に、安定的な顧客基盤を構築していることが窺えます。

AMBI・エンミドルの転職

AMBI」「エンミドルの転職」は、ともにエン・ジャパン株式会社が運営するハイキャリア人材向けのダイレクトリクルーティングサービスです。

「AMBI」は20代〜30代前半のハイクラス人材向けのサービスで、幹部候補や若手リーダーなど、「キャリアの早期からレベルの高い仕事に挑戦したい」という人材に訴求する求人が多いのが特徴です。直接スカウトを送れるだけでなく、公開求人への自主応募機能もあり、モチベーションとスキルの高い若手ハイパフォーマーに出会えるサービスです。

一方、「エンミドルの転職」は30代〜40代を中心としたミドル世代に特化しています。経営幹部・CxO・部長クラスの募集など年収1000万円を超えるハイクラス求人を多数掲載しており、会員に対して一般公開していない求人のスカウトを送ることもできます。

続いて、2つのサービスの直近の成長率を見ていきましょう。2024年3月期 通期の決算説明資料によると、「AMBI」「エンミドルの転職」によって構成される人財プラットフォーム事業の会員数は382万人(前年比119%)、利用企業数8026社(前年比163%)と、どちらも堅調に成長。特に利用企業側のニーズが増加していることがわかりました。

安定的なニーズを背景に、ハイキャリア領域の市場は堅調に成長中

各社のIR情報を見てみると、直近の利用企業数は拡大しており、ハイキャリア人材の採用ニーズが高まっていることがわかりました。

では次に、それぞれのハイキャリア向けダイレクトリクルーティングサービスごとにどんな違いがあるのかを、株式会社フロッグが収集している求人媒体データを元に分析していきます。

ハイキャリア向けダイレクトリクルーティング3サービスを徹底比較!

ここではそれぞれのダイレクトリクルーティングサービスについて。募集職種と年収にどんな特徴があるのか分析しました。正社員系の求人広告媒体との違いはあるのでしょうか?

各サービスでもっとも多く掲載されている職種は?

はじめに、各サービスにおける募集職種の割合を見ていきましょう。「ビズリーチ」「AMBI」「エンミドルの転職」ともに最も求人掲載数が多かった職種は「エンジニア」、次に「営業」が続きました。

この2つの職種は他の求人サービスでも比較的掲載数が多い職種であり、ハイキャリア層においても根強いニーズがあることがわかります。

「ビズリーチ」では「専門職」が3位にランクイン、コンサルタントや士業などの求人が多く見られました。また「エンミドル」は3位「建設/エネルギー系」4位「電気系」5位「製造系」と、比較的技術系の専門職の求人が多いことが窺えます。

求人広告媒体と比較した、ダイレクトリクルーティングの求人の特徴は?

では比較対象として、大手転職サイト「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」の募集職種の割合も見ていきしょう。

調査の結果、「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」ともに、求人掲載数が最も多かったのは「営業」でした。

その後「doda」では「エンジニア」「専門職」、「リクナビNEXT」では「運輸・物流系」「エンジニア」、「マイナビ転職」では「建設/エネルギー系」「運輸・物流系」とそれぞれランキングが続きます。

エンジニア系求人の占める割合が最も多かったダイレクトリクルーティングとは対照的に、求人広告媒体では営業系の求人が最も多いことがわかりました。

現在のエンジニア採用市場ではよりハイスキルな人材が求められており、採用難易度も非常に高いことから、ダイレクトリクルーティングの活用が積極的に行われているのかもしれません。

ダイレクトリクルーティング3サービスの年収ボリュームゾーンは?

続いて「ビズリーチ」「AMBI」「エンミドルの転職」について、掲載求人の年収レンジがどのようになっているか見ていきます。

今回調査したダイレクトリクルーティングサービスの中では「ビズリーチ」の求人が最も年収が高く、掲載されているもののうち85%以上が年収800〜999万円の求人で構成されていました。

もっとも低い年収帯でも、年収600~699万円の求人が10件あるのみ。1000万円以上の求人の割合も他2つと比べて多く、より高いポジション・スキルを求めている企業の掲載が多いことがわかります。

一方で「AMBI」は若手に特化していることもあり、「ビズリーチ」と比較するとボリュームゾーンはやや低めの年収に抑えられているのが特徴です。グラフ集計前の10万円単位の区切りで見てみると、最も多いのは年収500〜509万円のレンジ(42,307件)、続いて年収600〜609万円のレンジ(28,134件)となっていました。また年収1000万円以上の求人は全体の約3%と、その割合は比較的少なくなっています。

「エンミドルの転職」も、「ビズリーチ」と比較すると掲載されている年収帯が幅広くなっています。10万円単位の区切りで見てみると、最も多いのは年収500〜509万円(65,559件)、続いて年収400〜409万円(48,790件)の求人が多くなっていました。

「エンミドルの転職」と「AMBI」の掲載求人の間で大きな年収差が見られなかった理由として、「エンミドルの転職」には非公開の求人も多いことが考えられます。非公開求人は会員登録者限定のスカウトでしか見られないため、公開求人だけで比較すると若手ハイキャリア求人が中心の「AMBI」と同等レベルに年収が抑えられているようです。

ハイキャリア求人はどれぐらい高年収なのか?正社員系の大手求人広告媒体と比較

さらに「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」といった大手転職サイトと、ハイキャリア向けダイレクトリクルーティングサービスで掲載求人の年収帯を比較してみましょう

調査の結果、「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」の3媒体に掲載されている求人のほとんどは、年収400万円未満の求人であることがわかりました。

媒体別にボリュームゾーンを見てみると「doda」は年収300~399万円、「リクナビNEXT」「マイナビ転職」は年収299万円以下の求人の割合が最多となっています。また、月収換算・1万円単位で年収を調査してみると、3媒体ともに「月収25万~25万9999円」(年収換算で約300万円)が求人の中で最も多くなっていました。

まとめ

今回はフロッグが保有する求人データを活用し、ダイレクトリクルーティングサービスに掲載されている求人の特徴を調査しました。

分析の結果、媒体・サービスごとに下記のような特徴が浮かび上がってきました。

・職種割合で見ると、ハイキャリア向けダイレクトリクルーティングは「エンジニア」、求人広告媒体は「営業」が最も多い
・年収で見ると、若手ハイキャリア向けダイレクトリクルーティングは年収500〜599万円が多い
・ミドル世代含むハイキャリア向けダイレクトリクルーティングは年収800万円以上が多い
・求人広告媒体は年収400万円未満の求人が多い

このように、媒体・サービス別に職種割合や年収のボリュームゾーンを比較することで、各サービスの特徴や「若手ハイキャリア求人」「ハイキャリア求人」といった言葉が指す具体的な年収帯をイメージできるようになったのではないでしょうか。

求人ビッグデータを活用することで、各社のサービスサイトに記載されていること以上の情報を手にいれることが可能です。ぜひこれらのデータを参考に、今後の営業活動や採用活動に役立ててください。

調査概要

・使用ツール:人材業界・採用担当者向け求人データ分析ツール「HRogチャート

・対象期間:2024年6月3日

・対象雇用形態:全て

・職種:複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の職種カテゴリーを使用せず、「HRogチャート」独自のキーワードマッピング処理に基づいた職種カテゴリーを使用して求人情報を分類・集計した。グラフ作成に当たって、求人数11位以降の職種は「その他」に合算して集計しなおした。また小数点第2位以下は四捨五入している。

・年収ボリュームゾーン(ダイレクトリクルーティング媒体):求人情報の給与項目内にある年俸情報を数値に変換し、下限の金額を合算・平均して算出した。グラフ作成にあたって「400~409万」など10万円単位のデータを「400~499万」と100万円単位に合算し集計しなおした。

・年収ボリュームゾーン(求人広告媒体):求人情報の給与項目内にある月給情報を数値に変換し、下限の金額を合算・平均して算出した。グラフ作成にあたって「330000~339999」などの月給レンジに12を掛けて年収とした。その際「3960000~4079988」となり複数の年収ゾーンにまたがる場合は、後者を前者に合算して「300~399万」のゾーンに含めている。

(鈴木 智華)