2010年 03月 14日
社宅街
鉱山萌えのワタクシ、一気に読み終えた。
鉱山町は忽然と出現しきらびやかな栄華に酔い、そして資源の枯渇でかならず衰退しさいごに消滅する。ここが滲みるだよ。
第1部では社宅の先進性、街の形、コミュニティの特徴などを概観、第2部では具体的な地域を紹介している。
「北海道・苫小牧」
王子製紙が単独でつくった企業城下町、開拓北海道ならではだ。苫小牧は北海道の海の玄関のひとつ、フェリーで街に降り立ったとき出迎えてくれた、独特のくぐもった甘い異臭を今も憶えている。
「北海道・鴻之舞(こうのまい)金山」
オホーツク紋別から山に入った厳寒の地、戦争中はたくさんの朝鮮人ロームシャが投入されたはずだ。辛かったろうなあ・・・紋別は今、流氷観光シーズン。行ったことないが多分行くこともないだろうな・・
「岩手・釜石」
赤錆っぽい・・・・というのが訪問の第一印象。駅もすでに新日鉄構内という感じ。でも死に体かな。そうそう、この街には観光で人気の橋上市場がある。
「秋田・小坂」かつて、専用鉄道で秋田の山中を小一時間行くと、そこに最大6万人が暮らす独立国のような街があり、夜は銀座より明るいといわれるほどの繁栄だった。いまは数棟の保存建築が静かに佇んでいる。そのなかの「康楽館」という芝居小屋は若い人たちの手で元気に現役稼動していて嬉しかった。行ったのはちょうど今頃、雪と春が譲り合っている季節だった。よかったよ~
「茨城・日立」
常磐自動車道でこれまで何度ICを通り過ぎた。もともと「大煙突」を見たいなぁと思っていたが数年前に途中からポキリと折れてしまった。HITACHIの原点はこの日立鉱山の排水ポンプだそうだ。よし、行ってみる!
「岡山・倉敷」100年以上前、倉紡の2代目社長大原孫三郎は、労働と生活と芸術文化が融合した理想都市の建設と健康福祉活動に真摯に取り組んだ。実業家のこういった高い志、ベンチャー企業の社長たちはどう思うかな・・・ホリエモンさんは元気かしらね。
来週行く予定だったけどキャンセルになりました。
「愛媛・新居浜」
別子銅山から運ばれてきた銅を精錬する街、その後煙害により精錬所は瀬戸内海の四阪島へ移されて四国山中から島までの輸送ラインがつながった。島は亜硫酸ガスにより丸裸、そこに苔のように社宅がびっしり。
小学校5年のとき、瀬戸内海航路の甲板から煙突だけが目立つハゲ小島をいくつか見た。四阪島だけではなかったようだ。理由はわからなかったが無性に恐かった。
「樺太」「台湾・金瓜石鉱山」「南洋群島」これらはかつての植民地に残された日本企業の社宅街も紹介されている。
社宅街~企業が育んだ住宅地 社宅研究会・編著 学芸出版社