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2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!
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ブクログの抽選に見事当たり、早速読みました。
とても面白かった!
火山などの事に詳しくなくてもどんどん読み進めることが出来ました。
自分の身に起こりうることを分かりやすく解説してくれて
良かったです。
やっぱり自然の力には抗えない。現代の社会は形だけで、
実はとても弱いんだと思った。
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南海トラフについて知りたかったんだけど、
やっぱ 富士山!ほとんど富士山!
やがて霊峰 が荒ぶる時が来るのかと思うと、怖い。
世界の活火山に被災した街がどうしたか教えてくれる。
来るとわかっているなら備えないと。
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日本列島の中には3枚ものプレート(北米、ユーラシア、フィリピン海)が重なり合う地球上でも極めて珍しい場所がある。
そんなプレートが引き裂かれる場所に富士山はある。
こんな場所だから噴火を繰り返し造られたのが富士山だ。
「日本を代表する」と言われる富士山は、実は特異な性格を持つ「巨大」な活火山だということを忘れてはならない。
富士山噴火の影響を受ける東京に住んでいると、最も長期的に被害をもたらす火山灰に怖さを感じる。
火山灰は細かいガラスの粉で、積もれば雪のようには融けてくれない。
水を含めば粘土のように固まる。よって洗い流そうとすると下水管が詰まる。
エアコンや車のフィルターが詰まり故障する。
気管や肺が傷つけられる。農作物がやられる。太陽光が遮られる。、、、などなど。
300年前の宝永噴火の時代とは異なり、複雑に発達した現代のインフラが機能マヒに陥る恐れがある。
しかしながら危機管理に過剰なコストはかけられないので、起こってから「想定外」と言い訳するしかない役所や企業が大多数なのだろうな。
今日も、明日も、明後日も、大地震と大噴火が起きませんように!
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南海トラフ地震と富士山噴火は連動する
可能性が大きいらしい。
経済にしても自然にしても、僕らは極めてリスキーな
稀有な時代に生きているんだな‥
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火山噴火災害についてのアウトリーチ(研究成果を広く一般に告知すること)に取り組んでおられる鎌田氏による、富士山噴火の可能性と南海トラフ地震の関係について解説している本です。
前半部分は火山灰、溶岩流や火砕流といった火山災害の例を富士山が噴火したケースを想定して解説しています。
そして後半部分では富士山の噴火と、近い将来に発生が予想されている南海トラフ地震との関係について触れています。海溝型地震とその震源近傍に位置する火山の噴火とは極めて連動性があるというのが結論で、その理由について最新の研究成果を紹介しています。
富士山というと美しい稜線と日本を象徴するような存在として「静」のイメージでとらえがちです。しかし地質学的には非常に若い火山であり、今の富士山の姿に至るまでには日本全域に影響を与えるほどの爆発的噴火や山体崩壊といった非常に激しい噴火を起こしており、いつ激しい噴火が起こっても不思議ではない「動」の火山であることなど、興味深い切り口が満載です。本書でも言及されていますが、あの美しい稜線の姿は富士山の生涯のうちでも限られた期間でしか見られない貴重な姿なのです。
津波などの南海トラフ地震に関わる被害想定がマスコミでは頻繁に言及されていますが、実は富士山の大規模噴火はそれに匹敵するほどの被害が出る自然災害であることを読者に強く訴える1冊です。
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第1部 富士山噴火で起こること(火山灰―都市を麻痺させるガラスのかけら;溶岩流―断ち切られる日本の大動脈;噴石と火山弾―登山者を突然襲う重爆撃;火砕流と火砕サージ―山麓を焼き尽くす高速の熱雲;泥流―数十年間も続く氾濫と破壊)
第2部 南海トラフと富士山噴火(地理と歴史からみた富士山噴火;「3・11」は日本列島をどう変えたか;南海トラフ巨大地震との連動はあるか;山体崩壊のおそるべきリスク;富士山の噴火予知はどこまで可能か;活火山の大いなる「恵み」)
著者:鎌田浩毅(1955-、東京都、地球科学)
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富士山が噴火したら?その影響を淡々と予想していく。富士山噴火は単体では起きず、その前後に南海トラフ地震も起きる、という認識から富士山噴火が起きたら、という内容にもなかかわらずこのタイトルになっている。
【火山灰】富士山が吹き上げる火山灰は風に乗り遠くまで届く。成層圏まで達すれば偏西風に乗り地球を一周する。灰と名がついているので誤解されるが火山灰は灰ではない。軽石などが砕かれた、細かいガラスのかけら、が実態。このため人間の肺に入れば呼吸障害を起こす。目に入れば炎症を起こす。マスクやゴーグルが必須となる。
パソコンなど精密機器に入れば故障の原因となる。車両や航空機も火山灰の中では動けなくなる。工場の機械類、電力会社の発電機なども動かせなくなる。
火山灰がつもり固まるとコンクリートのように硬くなる。また水で流そうとしてもドロドロになるだけで流れていかない。屋根に火山灰が積もると重みで家屋は倒壊する。これに雨が降り、水の重さが加わるとほとんどの家屋はひとたまりもない。
火山灰や泥流、などで高速道路や新幹線が分断される可能性も高い。
富士山が噴火すれば相当期間に渡り首都圏は機能を失う。
【溶岩流】富士山から流れ出す溶岩流の範囲は比較的狭いが、流出してから数ヶ月から1年は熱が冷めない。噴出したてであればほとんどのものを発火させる温度がある。狙ったところに流す、という制御は非常に難しい。
【噴石と火山弾】噴火の形態(ボルカノ式、ストロンボリ式、プリニー式)により飛距離が変わってくるが予測が難しい。火口付近にいた場合避けるは困難である。
【火砕流、火砕サージ】形成原因はいくつかあるが高温の火山ガス、火山灰が時速100キロ高速で山肌を下っていく、というのが特徴。富士山山頂を中心とする半径7ー8キロのほぼ円形の範囲が被害を受ける可能性がある。
【泥流】一旦火口付近に堆積した火山灰などが雨や噴火の熱で溶けた氷雪を伴い斜面を下るのが泥流。これは噴火後数十年もリスクが続く。これが到達する可能性のある範囲は富士山の裾野を超え、富士吉田市、富士宮市、御殿場市などにもかかる。
【噴火予測】噴火の前には火山性微動や山体の変化(マグマが吹き上がってくるときに山を押し拡げるため傾斜が変わる)、水蒸気が漏れ出すなどの前兆が必ずあり、それは観測できる。
【富士山が特異な理由】
世界でも珍しい、3枚の大陸プレートが重なるところに位置している。このため、平坦な場所がひらけ、そこに地下からふんだんにマグマが供給されることであの山体ができた。
【地震と噴火】地震で火山直下のマグマだまりに水が入ったりマグマに溶け込んだ二酸化炭素が気泡化することで火山噴火が誘発される。富士山もその法則が当てはまる。宝永の富士山噴火は2週間続き江戸に5ー10センチの火山灰を降らせたが噴火の数十日前に宝永の大地震があった。地震で倒壊した家の立て直しをしようとしていた矢先に富士山噴火があったということになる。この関連は現在にも当てはまる。南海トラフ自身は2030年代までには必ず起こ���、と言われている。それが高い確率で富士山噴火を引き起こすことになる。
【短期の災いと長期の恵み】このように富士山噴火は日本に甚大な被害を与える。しかし、最後の噴火から300年、我々が富士山から受けていた恵み、も厳然としてある。癒しのある美しい外観。火山性の細かい穴の空いた地層を年月をかけて通ってくる澄んだ水。泥流も厄介だが扇状地を形成し農業の発展に寄与した、という側面もある。被害を恐れるだけではなく長い目で自然と付き合うという目線も必要である。
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◯地学や火山に関する知識のない初学者でも非常にわかりやすい。東日本大震災の後に、何故、政府内の議論で南海トラフが盛り上がったのかがよく理解できた。
◯富士山の噴火に関する危機の裏に、しっかりと富士の恵みを紹介していることや、日本人が愛してやまない富士山のまさに文化的な面まで網羅されている。
◯形が変わる前に富士山に登ってみたくなるし、形が変わっても愛し続けたくなる。
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火山の噴火による様々な被害。例えば、火山灰、溶岩流、噴石、火砕流、泥流。こうした被害はどこの火山でも起こり得るが、富士山が噴火した場合、その山体規模や東側に首都東京があることなど、日本に与える影響は計り知れない。富士山はここ300年ほど噴火していないが、いまも活火山であり、近いうちに噴火する可能性も十分あるという。著者は、東日本大震災や、近く起こるであろう南海トラフを震源とする東南海地震によって富士山の噴火が誘発されるという。実際、過去にもそのような関係性が見られる。
そのリスクに警鐘を鳴らすとともに、他方で、火山の恵みは噴火の被害よりもずっと長期にわたって恩恵を与えるという点にも留意を促し、いざという時のための準備を怠らないことが重要だと主張する。なるほど。
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地学の専門家がこれから起きるであろう富士山噴火さらには南海地震について詳細に述べた本。影響範囲を幅広く記載してるあたり、非常に有用な本ではないだろうか。下手なハザードマップより参考になると思う。
私は鹿児島の人間でもなければ、噴火に立ち会ったことはないが、この本を読んで、自然災害には備えたいと思った。
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2030年には南海トラフ地震が発生し、富士山も影響を受ける。噴火につながるかも知れない。現在、地震の兆候は1ヶ月程度前に分かるようになったが、やはり1人1人の意識の持ち様で被害が抑えられる。
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富士山噴火が近いことはわかった。噴火したら致命的な打撃を受けることもわかった。なんで東京集中が変わらないかがわからない。
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ーー2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!ーー
本書は、2007年の「富士山噴火」を最新のデータを付加して加筆したものです。そもそも日本列島には活火山111個もあり、多くの学者からも南海トラフ地震は2030年代に「必ず」起こると「予言」されています。またあえて、富士山なのは、日本の象徴であり首都圏に近く想定被害が甚大だという2点にあります。火山活動はマグマだまりの刺激から起因することから、大地震との連動は必然で、南海トラフ地震が起こればかなりの確率で富士山噴火も起こりえるわけです。その被害は噴火自体の近隣地域への直接的なもの以外にも首都圏を含め広範囲な火山灰による交通マヒや通信遮断によるライフラインまでもの影響が想定されています。そこまでわかっていながら、首都機能を東京へ一極集中している政治の怠慢は目に余ります。有事に富士山周辺で東西の物流が断絶される危険性もあるのに無策な状況は、「見たくないものは見えない」愚かな態度ですが、国を統治する政治家が「ダチョウ(危険が迫ると砂に頭を突っ込んでみないようにする)」では困ります。
では、有史以来記録に残っている富士山噴火についてみてみましょう。
最近では、江戸時代の1707年までさかのぼります。(信ぴょう性の高い記録では800年前後に3回、900年代に2回、1000年代に2回、1400年代と1500年代に1回づつの計9回)つまり、現時点で313年の休止ブランクがあるわけですが、一度起これば噴火サイクルが早くなることも言えそうです。
また3.11から地下地震が活発となった20山(阿蘇山や箱根山、白山、乗鞍岳、焼岳、浅間山、伊豆大島、新島、丸山など)の動向も気になります。
菅新政権は喫緊の武漢ウィルス対策も必要ですが、目先の問題ばかり対処するのではなく、直前に迫る危機にも余裕をもって準備し、国民を安心させてほしいものです。
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富士山は「噴火のデパート」そして、必ず噴火はおこり、それは南海トラフの巨大地震と連動する可能性が高い。我々は自分で知識を得て、自分を守るという意識を持つことが大切。激甚な被害が予想される次回の噴火に備えていこう!