俺もラジオに来るようなお便りが欲しい。
欲しいものは自分で作る。
記事へのブコメを有効活用することにした。
お便りに憧れる
AfterShokzを使っているだろうか?
俺はあいかわらずプライベートではKindle読み上げやPodcastを聞くのに使っている。こういったコンテンツを消費しながらだと、掃除のような面倒な家事もちょっとは楽しくなるのが良い。
そうやっていろんなPodcastを聞いていると、ちょっと憧れることがある。それは「リスナーからのお便り」だ。
様々なリスナーからお便りが届き、読み上げられると、いかにも人気って感じがする。ちゃんとPodcastにはリスナーが存在し、わざわざお便りを出すほどに求められているのだ、と。
俺もこのブログに関するお便りが欲しい。
一応言っておくと、お便り的なものが皆無というわけではない。例えばマシュマロはお便りと言っていいだろう。
嬉しいことにちょいちょい質問が飛んでくる。これには感謝している。ただ、なんというか率直に言えば、もっと欲しい。こうドサッと来て、「答えきれなくてごめんな」みたいなことを言ってみたい。今のところ、飛んできたマシュマロは全部回答できている。
ではどうしたらお便りを増やせるか。こういうのは既にあるものを活用するのが手っ取り早い。ブコメである。
ブコメのお便り化
ブコメなら腐るほどある。例えば前回の記事についたブコメは現時点で128件ある*1。
もちろんブコメはこれだけでなく、他の記事にもついている。これなら「たくさんのお便りが届いています」を実現できる。
しかし、ブコメはそのまま「お便り」として使えない。知っての通りブコメは100字制限があり、原則として「記事に対するコメント」だ*2。俺はブコメにスターを連打するタイプではないため、この原則が守られたブコメ欄となっている。これではお便り感が出ない。
なのでコーティングして使うことにした。
お便りコーナー
ということでブクマカからのブコメお便りコーナーです。今年届いたお便りに答えていきたいと思います。
骨伝導
まずはid:yo4ma3さんからのお便りです。
骨しゃぶりさんこんにちは、初めてお便りを出します*3。
去年買って良かったものとして骨伝導イヤホンを挙げ*4、テレワークなどでは「Open Comm」が良いと書いていましたが、「eMeet Luna」のようなスピーカーフォンがお勧めですよ。
装着する必要がないので、自宅や会議室ならこっちの方が100倍楽です。
外に出てZoomすることも無いですしね。
もしよろしければ、調べてみてください。
自宅や会議室ならeMeet Luna のほうが100倍楽。外でzoomなんてしない。 - yo4ma3 のブックマーク / はてなブックマーク
id:yo4ma3さん、お便りありがとうございます。
「eMeet Luna」はこれですね。
俺はeMeet Lunaを使ったことないですが、スピーカーフォンなら「Jabra Speak 510」を仕事でよく使っています。
Web会議における快適さの観点から言えば、確かにスピーカーフォンはお薦めですよね。頭を締め付けることもないし、USB接続ならバッテリー切れの心配も無いですし。静かな環境を用意できるのであれば*5、スピーカーフォンは選択肢としてアリだと思います。
ただ俺のようにスマホとも接続して、電話の応対にも使おうとするならば、やはり骨伝導イヤホンの方が便利ですね。この手のスピーカーフォンはBluetoothでスマホと接続することもできますが、これで通話するくらいならスマホをそのまま使った方がいいです。
目的に応じて上手く機器を使い分けるのが大事ですね。
もう一つ骨伝導イヤホン関係として、id:nnbnnさんからのお便りです。
骨しゃぶりさん初めましてこんにちは*6。
骨伝導イヤホンを日中ずっと付けっぱなしということですが*7、長期にわたって使い続けると難聴になってしまうのではないでしょうか。
特に根拠はありませんが、難聴になってしまってからは遅く、後悔したくはありません。
どうぞ、お大事にしてください。
骨伝導は長期使うと難聴になると思うのでお大事に(根拠はないが難聴になって後悔したくない) - nnbnn のブックマーク / はてなブックマーク
id:nnbnnさん、お便りありがとうございます。
骨伝導イヤホンを使い続けることで、難聴にならないか不安ということですね。素人考えになりますが、持論を述べておきます。結論から言えば、普通のイヤホンと同程度に難聴リスクはあります。
普通のイヤホンは空気の振動である「気導音」が鼓膜を震わせ、その振動が耳小骨によって増幅されます。振動は内耳の「蝸牛」で電気信号に変換され、聴神経によって脳に伝わります。
対して「骨導音」は振動が骨を伝って蝸牛に伝わります。つまり、鼓膜や耳小骨への影響はありませんが、蝸牛に対しては気導音と同じなわけです。
大きな音を長期間聞くことで音を聞く能力が衰える「イヤホン難聴」は、蝸牛にある「有毛細胞」が壊れることで生じます*8。従って蝸牛を使って音を認識する以上、どちらの方法でも大きな音を長期間聞くならば、難聴リスクはあるということになります。重要なのは伝達手段ではなく、音量と時間というわけです。
骨伝導イヤホンの紹介の中には「骨伝導なら周囲がうるさくても音量を過度に上げなくても聞きやすいので、難聴リスクが低い」と謳っているものもありますが、個人的な経験から言えばそんなことはないです。普通に周囲がうるさければ音量を上げる必要があります。
難聴リスクを減らしたいなら骨伝導を使うよりも、WHOが言うようにノイズキャンセリングヘッドホンを使うほうがいいでしょう*9。俺はアニメを見る時や会議の時など、音声に集中したい時はワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンの「Jabra Elite 85h」を使っています。
タスク管理
次は別の記事からいきます。id:hibiki0358さんからのお便りです。
骨しゃぶりさんこんにちは、初めてのお便りです*10。 タスク管理の記事*11、興味深く読ませて頂きました。
骨しゃぶりさんは充実した休日を過ごすために、休日もタスク管理しているということですが、大変じゃないですか。
私の場合、休日くらいは予定や時間に縛られず、もっと自由に過ごす方が好きです。
休日までギチギチに予定を詰めることで、ストレスを感じたりしないのでしょうか。
休日くらい、タスク(予定)とか、時間とか、やらなアカン事とかに縛られんと、自由に過ごせばエエのに、としか。 - hibiki0358 のブックマーク / はてなブックマーク
id:hibiki0358さん、お便りありがとうございます。
休日を計画的に過ごしたくないという気持ち、俺もよく分かります。例えばこの記事ははてなブックマーク Advent Calendar 2021 - Adventarの記事として書いていますが、登録したのは当日の昼過ぎです。ネタ自体は11/24時点で思いついていたのですが、直前まで記事のネタを決めたくなかったので、ギリギリまで登録しませんでした。選択肢を減らすって嫌ですよね。
また、記事には書かなかったのですが、一時期はやることを書き出すだけでなく、何時から始めるかも書き、タスクによっては何時に完了したかまで書いたことがありました。
これは失敗でした。想像以上にプレッシャーがかかり、休日なのに全く心が休まらなかったのです。なので早々に止めました。
かといって何も書き出さないでいると、ついついネットサーフィンをしてしまい、大したことをせずに1日が終わってしまいます。それでも満足感を得られるならいいですが、俺の場合は後悔するのでよくありません。
俺にとっては「次に何をすべきか」が分かるくらいがちょうどいいみたいです。この辺は人それぞれでしょうね。
行動経済学
それではまた別の記事からのお便りです。
骨しゃぶりさんこんにちは、いつも楽しく読んでいます。
今回読んだ本の勧め方の記事*12も面白かったです。
この記事では様々な本が紹介されていましたが、今回は行動経済学の本がありませんでしたね。
骨しゃぶりさんと言えば行動経済学好きのイメージがあったので、ちょっと意外でした。
やっぱりダン・アリエリーのデータ捏造疑惑があった*13せいでしょうか。
もう行動経済学の本はダメですかね。
ちゃんとした本を見極めるのは難しいですが、これからも面白い本を紹介して頂けたらと思います。
行動経済学系の本は残らずオススメ出来なくなったのかな。 - morita_non のブックマーク / はてなブックマーク
id:morita_nonさん、お便りありがとうございます。id:morita_nonさんはダン・アリエリーの記事でもお便りを頂いているので*14、今回の質問をしたのかと思います。
そうですね、やっぱり行動経済学の本は俺の知識レベルだと勧めにくいですね。とはいえ行動経済学が完全に死んだとは思ってはいないです。行動経済学の研究の中には強い効果があるもの、弱い効果があるもの、実は全く効果が無いものが混在していると思います。
これは行動経済学に限った話ではありません。俺が知らないだけで、他にも今となっては間違った知識が書かれた本を使って記事を書いているはずです。現時点で分かっている例を一つ挙げると、id:morita_nonさんもお便りをくれた記事*15があります。
この記事では、動物には近親相姦を避ける傾向があると述べましたが、記事公開の2日後にそれを否定するメタアナリシスが出ました。
この記事が出て2日後にNatureに動物は近親相姦を避けるという説を否定するメタアナリシスが出てるの災難だがウケるな。 https://t.co/ctTGNrQM1I / 他103件のコメント https://t.co/VXXIIbycc3 “幼なじみが絶対に勝てる気がしない進化心理学 - 本しゃぶり” (406 users) https://t.co/eHTWakO6nU
— ☔IHALA☂️ (@VoiIa_VioIa) May 5, 2021
従って、絶対に間違わないようにしようと思ったら、この手の研究を元にした通俗科学本は一切取り上げない方がいいでしょう。しかし俺は誤りを含むリスクがあっても、紹介する方が読者に対してメリットがあると考えています。なので今後も紹介しますし、参考にするかは読者の判断に任せます*16。
行動経済学に対しても同じスタンスですが、問題は最も有名な2冊である『ファスト&スロー』と『予想どおりに不合理』の両方が勧めにくいということです。
『ファスト&スロー』は著者ら自身の論文だけでなく、他の研究者の論文を元にした章もあります。その中の多くで再現性が疑われている*17ようです。そのため『ファスト&スロー』を勧める時は、そのことも合わせて言う必要があります。
『予想どおりに不合理』については、上で述べたように著者のダン・アリエリーにデータ捏造の疑惑がありました。問題の「宣誓効果」は、『予想通りに不合理』の13章にも登場しています*18。やはり勧めるなら、この件についても合わせて伝えるべきでしょう*19。
もちろん行動経済学の本はこの2冊だけではありません。実はあの後でも行動経済学の本を紹介したことはあります。
『欠乏の行動経済学』については、現時点では誤りを知らないので紹介しています。しかし、「行動経済学でお勧めの本ある?」と訊かれて出すようなタイプではないため、行動経済学を勧めるのは控えているというのが現状ですね。
他にもたくさんのお便りが届いていますが、今回はこれで終わりにしたいと思います。答えきれなくてすみません*20。
それでもまだまだ募集していますので、ご意見やご質問があれば遠慮なく出してください。
終わりに
今回紹介したように、不躾に思えても有用なブコメは多い。グサッくることが書かれていたとしても、上手く読み解いてあげれば、より良い記事を書くのに役立つだろう。まあ、中には読解力や想像力が貧弱で、見当違いなブコメもあるのだが。
しかし一年分のブコメを一気に読むと、さすがの俺でも精神を消耗するな。やはり多くの人はマシュマロくらいがいいのかもしれない。感想や意見をもらうのであれば。
ブコメは飲み込むには尖りすぎている。
はてなブックマークの記事
*1:内1件はセルクマだが。
*2:はてなブログ公式もそう言っている。はてなブログではてなブックマークを活用!知っておきたいルールや使い方 - 週刊はてなブログ
*3:「"b.hatena.ne.jp/entry/s/honeshabri.hatenablog.com/entry" "yo4ma3"」で検索した結果、1件しかヒットしなかった。無言ブクマなら過去にもあり。
*4:去年買って今も使い続けている良かったもの5選 - 本しゃぶり
*5:会議室内の声を拾うための機器なので、家族の声が聞こえるような部屋であれば使うのは向いていない。逆に会議の内容も漏れるし。
*6:「"b.hatena.ne.jp/entry/s/honeshabri.hatenablog.com/entry" "nnbnn"」で検索した結果、ヒットなし。直近約4年分のブクマを確認しても他に無し。
*7:骨伝導ヘッドセット着けっぱなしな生活を始めて1年が過ぎた - 本しゃぶり
*8:ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について | e-ヘルスネット(厚生労働省)
*9:WHO Tips for safe listening-Make Listening Safe 2017.
*10:「"b.hatena.ne.jp/entry/s/honeshabri.hatenablog.com/entry" "hibiki0358"」で検索した結果、1件のみ。直近約1年分のブクマを確認しても他に無し。
*12:「おすすめの本を教えて」という雑な質問に対する解 - 本しゃぶり
*13:行動経済学の『ずる』は予想以上に不合理 - 本しゃぶり
*14:ズルとごまかしの本で、自らズルとごまかしをやって、本で伝えたいことをメタ的に実証していくスタイル。 - morita_non のブックマーク / はてなブックマーク
*15:そもそもヤりたくならないような仕組みになってる。シンプア(小さい花嫁)とキブツの話は文化人類学の講義で聞いたな。心情的にはビアンカ推しでも本能はフローラを選んでしまう。。。 - morita_non のブックマーク / はてなブックマーク
*16:この判断の材料とすべく、なるべくソースを記載するところまでが俺の責任だと思っている。
*17:Thinking Fast and Slow | Replicability-Index
*18:ただしデータ捏造疑惑の研究そのものは記載されていない。問題の研究が記載されているのは『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』の方だ。
*19:ダン・アリエリーのデータ捏造疑惑については、例の記事を書いてから調べていない。どうなったのか知っている人がいたら教えて。
*20:言えた。