最先端の技術を用いれば女神も色付くのではないか。
これはその挑戦の軌跡である。
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Automatic Image Colorization
こんなものがあることを知った。
Automatic Image Colorization・白黒画像の自動色付け
AI技術を用いて白黒写真を自動で色付けするサービスです。
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詳細はここを見るといい。
飯塚里志 — ディープネットワークを用いた大域特徴と局所特徴の学習による白黒写真の自動色付け
以前ニュースで見たことはあったが、それがサービスになっているということは知らなかった。白黒写真をアップロードすると、カラーにしてくれる。
そこでふと思う。これを使えば色のない物にも色を付けることが出来るのではないか、と。さっそく遊んでみることにした。
脱色されたギリシア
ところでギリシアのパルテノン神殿を知っているだろうか。古代ギリシアの建造物の中で最も有名であるから、名前を知らなくても画像で見たことはあるだろう。
By Steve Swayne - File:O Partenon de Atenas.jpg, originally posted to Flickr as The Parthenon Athens, CC 表示 2.0, Link
古代ギリシアというと、このパルテノン神殿のように美しい白亜なイメージを持つ人が多い。しかしこれは本来の古代ギリシア文明カラーではない。パルテノン神殿をはじめ、古代ギリシアの彫刻は極彩色に着色されていた。日本もそうだが、だいたい古代の人達は派手にしたがるものである。特にギリシアは古代エジプトの影響を受けていたのだから、当然だろう。
しかし、極彩色のギリシアは失われてしまった。彫刻群の洗浄が行われたからである。当時ギリシア彫刻の色はあせていたため、古代ギリシアと言えば白のイメージが広がっていた。そこで彫刻を展示する際、より白くするために彫刻の洗浄が行われのだ。これによって汚れだけではなく、当時の色の痕跡までもが消え去ってしまった。
そこで今回のAutomatic Image Colorizationである。これを使えばギリシア彫刻に色を付けられるのではないだろうか。彫刻の写真を一度白黒にし、そしてAutomatic Image Colorizationを通せば彫刻に色がつく、という魂胆である。もちろん本来の色を再現できるとは思っていない。あくまでもお遊びだ。
ヴィーナス達
というわけで試してみる。まずはこれからやってみた。
ご存じ『ミロのヴィーナス』である。
これを選んだことに他意は無い。純粋に古代ギリシアへの好奇心によるものである。
結果はこうなった。
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うん、まぁ…… といったクォリティだ。
だが諦めるのはまだ早い。単純にミロのヴィーナスとAutomatic Image Colorizationの相性が悪いだけかもしれない。他のも試してみる。
『ウエヌス・ジェニトリックス』
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『アフロディテとパンとエロスの像』
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やはりディープネットワークにも限界があるのだろうか。さらに古代ギリシアにこだわらず試してみる。
カノーヴァの『ヴィーナス』
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バレンシア市の博物館の『ヴィーナス』
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多少はそれっぽくなった。なお冒頭のモザイク画像はAutomatic Image Colorizationの出力に俺が着色している。期待させてすまなかった。
そんな中、着色が完璧にできた作品が現れた。ミケランジェロの『ダビデ像』である。
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見よこの圧倒的な存在感を。うっかりすれば裸体を載せたということでBANされそうなくらいだ。しかしそんな心配をする必要は無いだろう。これはあのミケランジェロの作品である。500年前ならいざ知らず、現代においてこれを猥褻美術と呼ぶ者はいるまい。はてなは芸術を理解すると信じている。やったぜマイキー。
二次元なら
ここで終わっても良かったのだが、俺はさらにその先を試したくなった。それは二次元、すなわち白黒イラストの着色である。見た目は人間そっくりな彫像は着色できた。ならば見た目が実在の人間と大きく異なるキャラクターならどうなのか。やってみる価値はある。
選んだ作品はこれだ。
『To LOVEる ダークネス』である。
さて、着色する前に注意事項を書いておこう。漫画を芸術とは別の存在だと思っている人はここで戻ったほうがいい。俺はちゃんとゾーニングできる人間なのだ。ちなみに俺は漫画を芸術の一つだと思っている。ソースはルーヴル*1。
というわけで結果をご覧いただこう。
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なかなか良くできている。だがこれは対象がネメシスだからできたことだ。リトさんの顔に注目してみると着色がほとんどされていない。これはトーンの有無によるものだ。褐色キャラでないと漫画は上手く着色されないのである。
この結果を見て残念に感じた人もいると思う。だが安心して欲しい。『To LOVEる』にはこのようなバージョンがある。
フルカラー版である。これならばどのようなキャラであろうと、全て着色済みだ。
例えば今回のシーンならば……
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今日はここまで。