夕食後――
洗い物をしていると
旦那が怒涛の勢いでやって来た。
「アレはとても大切デス!」
「ドコに隠したんデスカ!?」
成長の兆しが全く見えない
我が家のお坊ちゃまは
またしても見付からないモノは
嫁の仕業と思うらしい。
とりあえず
ちょっと黙ってくれるかな。
探してやるから叫ぶな。
私はパニックに陥った坊ちゃんを
そうあやしながら
手を拭き拭き寝室へと向かった。
私は旦那が置いていたと言う
引き出し棚の上を探し始めた。
すると
私の耳元でヤツが叫んだ。
「ソコはすでに探しました!
デモ見つかりマセン!
だからキミを呼びマシタ!」
・・・さようか。
とりあえず
近づかないでくれ。
うるさい。
と、心の中でぼやきながら
私はすぐさま探す場所を変え
ベッドサイドテーブルや
ベッドの下などを捜索する。
その間も
旦那はひとり
手伝う事も応援する事もなく
ヒステリーなサルの如く
キーキー雄叫びをあげていた。
さすがの私も
イライラして来たので
さっきから
ウルサイ!
探してるのに
文句を言うな!
と、うっかり
ブチ切れてみた。
すると、やはりヤツは
「ハァ!?」
と、逆ギレしてきた。
「手を止メテ!」
突如、意味不明な命が下され
捜索の手を止められた。
私は旦那に怪訝な表情を向けると
彼は堰を切ったように
懇々とこう語り始めた。
「キミは今探している物の
大切さが全く分かってナイ!
アレにはワタシが
大学で学んだスベテの事が
入ってマス!
中略(聞き取れなかった)
デスので
トテモ大切なんデス!
ソレを踏まえて
キミはスティックを
一生懸命探さねばなりまセン!」
探し物に
そんなストーリーは
いらねぇ(真顔
もはや
探して欲しいのか
聞いて欲しいだけなのか
分かりかねるこの状況に
私はただとてつもなく――
ぶっちぎれた(殺意
旦那の脱ぎ散らかされた服を
2メートル向こうに投げ飛ばし
ベッドサイドテーブルをぶっ倒し
引き出し棚の
引き出しという引き出しを
全部引き抜き
ベッドの上にひたすら積み重ね
思いっきり棚を手前に
引っ張り倒してみた。
きっと
本場の空き巣も
ここまではするまい。
すると
その棚と壁の間に
お探しのスティックが
申し訳なさそうに挟まっていた。
「・・・アリマシタ」
そう、旦那が呟いた。
ほうら。
見付けてやったぞ。
というドヤ顔で
私は寝室をあとにした――
その後
旦那はせっせと
引き出しを元に戻していた(微笑
コメント
コメント一覧 (3)
読んでいるうちに わが胸も詰まります
よくやった ブチぎれたこと
これからも幾年月
このようなことが続くかとおもえば
本がたくさん売れて印税が入り
二人の娘ともども
日本へどうぞお越しを
願いまする。。。。
言葉が見つからない
ホリーさま
良く判らないけどありがとうございます
この件は、わたしの中で"女神の怒り"になりました
なんかありがとう。
私もよく分からないケド勇気が出ました。